琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート102 九州ホーローの旅② 佐賀・長崎編

2006.8.9
福岡県福岡市~糸島市~二丈町~佐賀県唐津市~伊万里市~有田町~長崎県佐世保市~西海市~長崎市


探検レポート102

早朝の光がキラキラと反射する、たおやかに凪ぐ海を眺めながら走る。唐津市までの国道202号線は、気持ちがなごむドライブコースだ。
今日は長崎までの行程だが、カミさんの希望を受けて、午後からは長崎市内観光にたっぷりと時間を取った。看板探しに割ける時間は少ないが、情報と勘、そして動体視力をフルに活かせば、効率よく見つけることができるだろう。
福岡県から佐賀県伊万里市に入ると、思ったとおり看板ラッシュになってきた。うれしいことに初日の撃沈がウソのようである。
それを象徴づけるかのように、最初に見つけたのがJR筑肥線沿いにある看板屋敷。水原弘&由美かおるのアースツーショットをはじめ、学生服やミシンなど9枚が貼られている。周りの田園風景によくなじんで、ほのぼのとした懐かしい思いにさせてくれた。
これに気をよくして勘が冴えてきたのか、新聞や綿の看板を次々にゲットしていく。カミさんのナビも冴えてきて、確実に旧道や脇道をフォローしてくれた。
結婚以来19年、これまで二人三脚で人生を歩いてきたが、看板探しという遊びでも、よもや“あうんの呼吸”の役割分担ができるとは思わなかった(笑)。
佐賀県に別れを告げ、長崎県佐世保市に入ると、ハウステンボスも近い。
数年前に会社の社員旅行で訪れたが、そのときの印象が、だだっ広いだけで見るところがないというおそまつなものだった。カミさんはちょっと未練がありそうだが、「つまらないよ!」を押し通して先を急いだ(笑)。
それには理由がある。佐世保から長崎に行くコースはいろいろ考えられるが、これまで収集した情報を整理すると、どうやら、西彼杵半島を西周りの海岸線に沿って行くコースが看板を見つける可能性が一番高そうなのである。ひょっとしたら超レアものに遭遇できるかもしれないのだ。
西回りコースは東回りと違って、入り組んだ海岸に沿って走るために時間がかかりそうだ。それこそハウステンボスに寄っていてはとても長崎にたどり着けない。カミさんには悪いが、そんな理由でここは看板探し優先を選んだ。

探検レポート102

さて、希望のコースに車を進めたのは良いが、収穫はさっぱりだった。出てくるものはカクイわたばかりで、情報によるとボンタンアメやレアものの綿看板などがあったというが、すでに時遅しだったようだ。
ここ数年で急速に看板が貼られた木造家屋が消失しているのだろう。残念だが、これも看板の運命だ。
結局は、日本列島の東の端を走っていることに少しばかし感動しながら、ぽつんと浮かぶ小島やきれいな海に歓声を上げ、のんびりとハンドルを握ることになった。
長崎市内には午後2時過ぎに着いた。路面電車がのんびりと走り、その横をぎっしり詰まった車の列がノロノロと続く。
8月9日、今日は長崎に原爆が投下された日なのである。多少の因果を感じないわけではないが、これも何かの縁かもしれないというこで、午前中に記念式典が終わったばかりの平和公園に寄った。
平和記念像に手を合わせた後、セミしぐれが降り注ぐなか、爆心地から浦上天主堂、原爆資料館を歩いて回った。
そこから更に移動し、今度はカミさんが行きたかったグラバー邸の坂を登る。
私にとっても長崎は2度目の訪問だったが、グラバー邸から一望できる暮れなずむ長崎市内の景観を見ると、今日一日、あくせくと探してきた看板のことを忘れ、ただ、その景色のすばらしさに感動している自分が可笑しかった。(つづく)
(2006.9.2記)
※画像上/大衆店の代表である長崎駅近くの「飛龍園」。ちゃんぽんはエビ入りで650円、皿うどんも同じく650円だった。



2006年探検レポートへ

Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


琺瑯看板探検隊が行く
SINCE 2005.3.17