琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート194 新緑の只見へ、GW放浪旅4 栃木~長野編

2009.5.5
栃木県日光市~群馬県みどり市~渋川市~高山村~中之条町~東吾妻町~長野県上田市


探検レポート194

福島県を離れ、東北自動車道を宇都宮に向けて走り出す。
ラジオの交通情報は矢板インター付近での渋滞予想を告げている。
当初は栃木県を縦断しながらの宇都宮までの探検を目論んでいたが、渋滞情報を聴いただけで、急速にやる気が萎んでしまった。
サービスエリアで地図を眺めるうちに、日光から足尾を経由して群馬県に抜けるルートが目に入った。
足尾はずっと気になっていたエリアだ。連想するものは「足尾銅山」ぐらいしかないが、ひょっとしたら珍しいお宝も眠っているかもしれない。
いずれにしても大した計画性もない旅である。今夜のねぐらも決めていないくらいだし…(笑)。 …そうと決まれば行動あるのみ!ということで、交通量が増え始めた矢板インターを一気に走り抜け、宇都宮インターで下り、日光街道にクルマを進めた。
東照宮に向かって杉の巨木が続く街道を北上していく。
うっそうと茂った薄暗い森の中に菅公学生服の菱形看板を貼った民家を目撃したが、交通量が多い道ではクルマを止めることもできずそのまま通過。
振り返ってみると、これが栃木県内で見つけた唯一の看板らしい看板だった。
日光市内では二軒の酒蔵に立ち寄り、けっこう気合を入れてホーロー探検をしたつもりだが、結果は「フタバアイスクリーム」のベンチ看板のみで終了。

探検レポート194

観光地にはお宝の姿が少ないことはこれまでの経験値で認識はしていたが、それにしても寂しい結果だった。 日光からは国道122号線を山越えルートで足尾に入った。
曇天の空模様も気が滅入るが、足尾の町は人の姿も見かけないほどの閑散な雰囲気が漂っていた。
足尾駅にはすでに引退した車両が引込み線に開放展示され、背景の山が曇天に溶け込むように、うら寂しさを放っていた。
駅前から繋がる民家が凝縮された小さな町に潜入してみるが、シャッターが下りた商店が軒を連ね、人の気配がまるでなかった。もちろん、お宝の姿はあろうはずがなく、益々気が滅入ってくるのだった。
更に、足尾駅から奥の間藤駅まで足を伸ばしてみたが、終着駅の賑わいはまったくなく、人の気配は一段と希薄になった。
足尾からはわたらせ渓谷鉄道に沿って県境を越えた。赤城山のふもとに広がるみどり市大間々の町から今度は上毛電鉄に沿って、大胡町を目指す。
酒蔵が軒を連ねる古い町並みも断続的に現れ、自転車や金鳥看板などをゲットすることができた。 栃木県と違って群馬県は看板多産県らしく、にわかに活気づく。
渋川市から高山村、中之条町と久しぶりにカメラのシャッターをせわしなく切るロケーションが続いた。 看板だけにこだわらず、酒蔵や牛乳箱、路傍の道祖神にまでカメラを向ける。
さて、今夜のねぐらだが、天気予報が夜中からの雨を告げていることもあり、あっさりと長野県上田市内のホテル泊まりに決める。
正直言って野宿を重ねる気力がなくなっているし、雨には勝てない。
中之条町から上田までのルートは過去にも探検をしているので、寄り道はパスし、ひたすらクルマを走らせた。
空が不気味なあかね色に染まり始めた頃、上田に到着。早速、老舗の酒蔵・岡崎酒造に向かう。

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蔵の中に看板が貼られていることを資料によりつかんでいたが、別な目的がもうひとつあった。
この蔵には業界でも有名な美人若女将がいるということで、メディアに何度も取り上げられ、杜氏も務めている彼女の美人ぶりが、酒蔵のガイドブックにも掲載されていた。
こりゃあ、行かなけりゃ(笑)…しかし、蔵に行ってみると若女将でなく、“大女将”が(苦笑)。
ずうずうしくも若女将とのツーショット写真まで目論んでいた私にとって、これにはがっかり。
(お嬢さんはいらっしゃらないのですか…) 喉まで出かかっていた質問を迷っているうちに、他のお客がどんぴしゃのタイミングで同じことを聞いたのには驚いた(笑)。
何でも、業界の寄り合いに出ているそうで、本日は店に出ないとのこと…であった。
それにしても男は考えることが同じ、改めて単純な生き物であると、つくづく思った(笑)。
この日は更に沓掛酒造でも看板を撮影し、すっかり暗くなった市内に戻った。宿に荷物を置き、ふらふらと手ごろな居酒屋を探す探検へ。
栃木、群馬と走りぬけ、お酒の香りが漂う信州上田の夜はこうして更けていった。(つづく)
(2009.8.15記)
※画像上/わたらせ鉄道の足尾駅。閑散としたホームから足尾の山を見る。かつて銅山で栄えた面影はない。すべてが土に帰っていくようだ。
※画像中/群馬県高山村の「新田清水谷道祖神」。嘉永5年(1852年)に建てられたと伝えられている。
※画像下/只見の風景。只見川の堤防の木々もそろそろ新緑の芽吹きが始まった。遠く見える雪を被った山は浅草岳(1585㍍)。只見の春はようやく始まったばかりである。
※宿泊/「上田西洋旅籠館」 素泊り3000円。煙草の臭いが気になるが、この価格で文句は言えない。併設されたスーパー銭湯が利用できるし、ロビーのインターネットも利用できる。☆☆☆★★



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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