琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート355 春の北関東縦横無尽ホーロー旅 前編

2017.3.25
栃木県宇都宮市~栃木市~小山市~足利市~群馬県桐生市~茨城県結城市~古河市~八千代町~つくば市


探検レポート355

思った通りの春の洗礼…くしゃみ、鼻水、鼻づまりでぼうっとした頭を抱えて出発。
今日のコースは栃木県から群馬県、更に茨城県へ横断するなんとも忙しいスケジュール。どんなお宝に出会えるだろうか。
まず向かったのが、『清酒東錦』を造る外山酒店さん。 堅牢な大谷石で造られた蔵の外観に驚きながら、タタミ一畳分もある組み看板を撮った。酒蔵に残る看板は今後のホーロー看板事情を予測する上で重要である。
“最後の砦”といってもいいだろうか。10年後、20年後に残るのは酒、塩、たばこ、京都に残る仁丹以外は酒蔵の看板だけだろうと思う。しかし、その看板も年を追うごとに廃業する蔵が相次ぎ、厳しい状況になっているのが実情である。
宇都宮から栃木市に入ると、看板探しばかりでなく、古い町並みにも心が動いていく。再訪になるが、北関東にあって歴史を感じる稀有な町、栃木の町並みは絵になる風景だ。 木造の重厚な蔵や、石造りの建物、銭湯の風景が素晴らしい。

探検レポート355

硝子越しに肥料店の店先を覗くと、年季が入った帳場や腰かけ(椅子ではない)が目に入る。 そこにはゆっくりと時を刻む空間があった。
何気ない風景だが、栃木市は我が国に残された、稀有な町だと改めて思う。これはシャッターを押さずにはいられないではないか。
素人カメラマンを“いかにもそそらせる”町並みを次々にカメラに収めていく。とはいえ、そこは探検隊。古い肥料店の倉庫に貼られた看板の姿もしっかり目に焼き付ける。
“古い町に古い看板あり” まさに、栃木市はそんな町であった。
さて、看板探しと並行して酒蔵の姿をカメラに収めるのも楽しみの一つだが、小山市ある若駒酒造にはラッキーなことに地酒のホーロー看板の姿があった。
中央に馬の絵が入った看板はシンプルにしてインパクト大。今も醸造しているのだろうか、蔵の屋根から突き出た煙突も素晴らしかった。
県境を越え群馬県桐生市に入る。 ここで狙うのは地図付きの町名看板。大きなものではタタミ半畳分もありそうだが、住宅地のブロック塀のいたるところに貼られている。

探検レポート355

ストリートビューで事前に調べていたが、発見したのは8枚のみで、後日、他にも数枚の残存が確認されていることが分かり、時間をかけられなかったことが残念だった。
また、町名看板以外にも交通表示看板があり、そのコピーが“注意一秒ケガ一生”とか“急ぐ心に事故が待つ”といった、昔から代わり映えのないポピュラーなものだったので、あまりにも普通すぎで、思わず感心してしまった。
ホーロー探検も終盤になり、茨城県に入って最後の2件を訪ねる。
どちらも廃商店のようだが、そこにはレアな看板があった。
『ハクチョウ印の味噌』を挟むように2枚の地酒看板が並んだ商店はなかなかの存在感があり、撮影を終えて、ハンドルを握った車中の窓からも、その光り輝く看板の姿がいつまでも見えていた。(つづく)
(2019.3.17記)
※画像上/蔵の街、栃木市の古い町並みを歩く。昭和初期にタイムスリップしたような錯覚に囚われる。
※画像中/栃木市の古い町並みを歩くと古びた銭湯があった。ドアに描かれた金魚の絵がレトロでほのぼのとして心が和む。
※画像下/栃木県小山市の若駒酒造。屋根を突き抜ける直立の煙突が勇壮。蔵の入口には『清酒ワカコマ』の看板があった。
※宿泊/『ホテルサンシティ勝田』素泊まり4650円。駐車場無料、朝食サービスはうれしい。施設は少し古いがこの価格ならOK。☆☆☆★★



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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