琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート362 ごちゃまぜミニ探検22 2017~18年度編

2017.5.4-2018.11.15
兵庫県朝来市、豊岡市、岩手県盛岡市、熊本県天草市、阿蘇市、岩手県大船渡市、奥州市、遠野市


探検レポート362

2018年のミニ探検は計5回の低スコアで終了。
撮影した看板もわずか15枚と物足らないが、一年の活動のけじめとしてここにまとめることにした。 さて、出張ついでに立ち寄った岩手県盛岡市では、全国でも珍しい熊鈴を作っている工房の中でレアな看板を見つけた。
『愛馬印保革油』はおそらくここにしかないマニアックな看板ではないだろうか。 店主のお嬢さんの話では、物心ついたころからあったということなので、かなりの年代物か(40年?以上)。
この店は数少ない馬具の専門店ということで、こうしたカテゴリーの看板も貼られたようだ。 盛岡市は過疎化が進む北東北にあって人口が集中する中心的な町であるが、歴史のある町らしく古い町並みも随所に見ることができる。
市内中心部は道路拡張や区画整理が進んでいるが、古い商店や民家もまだ多く残っており、そんな風景の中にも忘れられたような町名看板を見つけることができた。
スポンサー付きのホーロー製町名看板は東北地方では珍しく、仙台と山形でわずかに見つけた程度だが、何よりも盛岡市で出会えたことがうれしい。

探検レポート362

理由は町並みを歩いてみると、盛岡はこうしたレトロな看板がよく似合うとつくづく思う雰囲気を醸しているからだ。 “古い町に古い看板あり”…まさにそれを地で行く出遭いだった。
そして2018年の探検で忘れられないのは、熊本県天草での小さな探検。
世界遺産となった隠れ切支丹遺構を巡る旅で、『モントリオシャツ』や『千代田ミシン』の看板と出会った。 天草には少なからず因縁があり、2011年の探検で島原半島から天草への上陸を目論んだが、台風に阻まれ船は欠航し泣く泣く諦めた経緯があった。
以来、ずっと天草にあこがれ続けていた。 わずか一日でぐるりと回ったドライブだったが、隠れ切支丹の町でホーロー看板と出会えたことが何よりも強く印象に残った旅となった。
更に、天草の後に立ち寄った阿蘇での地酒看板『清酒神之杉』(阿蘇町内牧/大津酒造)との出会いも鮮烈。 くだんの看板は、待ち時間1時間半の行列をクリアしてようやく店内に通された、阿蘇名物『赤牛丼』の人気店にあった。

探検レポート362

重厚な古い梁に貼られた看板はレトロを演出する展示品かと思ったが、店員の話ではかなり昔から貼られていたそうで、推測すると、蔵元か酒販店が提供したものかもしれない。
酒屋に限らず、かつては飲食店にも地酒や調味料の看板が貼られていたことの名残だろうか。
いずれにしてもホーロー看板との出遭いが益々少なくなるこの先の未来において、こうした稀有な出遭いもまた貴重な経験となっていく。
ストリートビューしかり、SNSの情報も積極的に活用した固定観念に縛られないホーロー探検も、これからのスタイルの一つになるに違いない。
(2019.7.25記)
※画像上/天草をぐるっと一周した。穏やかな青い海と湾に浮か女性的な島々、そして世界遺産となったカトリック協会。素晴らしい風景を堪能できた。
※画像中/岩手県盛岡市の古い町並み。のんびりと散策するのはもってこいのレトロな雰囲気をもっている。
※画像下/遠野から奥州市へ抜ける山里の風景。秋もすっかり深まってきた。



2018年探検レポートへ

Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


琺瑯看板探検隊が行く
SINCE 2005.3.17