琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート367 ぐるり一周550キロ、福井~滋賀県日帰り探検

2019.10.23
滋賀県米原市~福井県美浜町~若狭町~小浜市~滋賀県高島市~大津市


探検レポート367

翌週に職場復帰を控えた週末、福井県と滋賀県を巡る旅に出た。
晩秋の若狭湾と琵琶湖を眺めての、なんともぜいたくな探検である。 走行距離500キロ超を一日で走り切れるのか、そもそも病み上がりの体で長距離ドライブに耐えられるのか…。 よぎる不安を期待に変えて、錦秋の彩を添える日帰りホーロー探検が始まった。
早朝自宅を出て、渋滞が始まる前の名神高速を西に向かう。 米原インターで下車し、目的の看板がある集落へ。
『ブリドミン』『ツーシン』のレアなクスリの看板はストリートビューで確認したとおりの民家に貼られていた。 ある意味、これはうれしい誤算である。
このところの探検では、ビューの更新情報が古いことに比例して、何度も空振りの憂き目にあってきた。 5年も前のビューにも関わらず、初見の看板が二枚とも残っていたことが驚きだ。
集落から木之本インターまでのルートは、“陸の孤島”のような集落に狙いを絞りながらあてずっぽうに走っていく。 一昔前ならばホーロー看板の一枚や二枚は目に飛び込んできたに違いないが、2019年の現実は厳しいといわざるをえない。
収穫もないまま一時間半にわたってハンドルを握り、北陸道に乗ることになった。 敦賀インターから下道に入り、若狭を目指す。

探検レポート367

30分ほど走ると、運転席側の車窓に、紺碧の空との境目がわからないような群青の海が広がった。思わず「海だ!!」と叫びたくなるような、不意を突かれたサプライズである。
“海なし県”に住んでいるわが身は、海を見るたびに心の躍動を覚える。 ウキウキとする、なんだか楽しくなってくる胸騒ぎ…子供っぽいが、そんな感触なのだ。
美浜町~若狭町にかけては、投稿者のKANKANさんからいただいた情報とストリートビューで見つけたポイントでクスリの看板を撮影した。 そのうちの一か所は、母屋から離れたトイレ?のような小屋に2枚の『ビラニン』が貼られていた。
小さな集落のはずれにある小屋に看板が貼られた目的は知る由もないが、ほとんどの人が気づくこともなく年月を重ねたのだろう。 それを思うと何だかせつなくなってくるから、自分の“看板愛”に今更ながらに呆れてしまう。
若狭町からは小浜市を経由して、琵琶湖の北岸にあたる旧マキノ町まで一気に南下する。 何度か訪ねたことがあるエリアだが、10年来気になっていた撮り残しの『三馬のゴム靴合羽』の組看板を撮影し、更に琵琶湖に沿って南下を続けた。

探検レポート367

すでに午後を回り、探検にかける時間も限られてきた。 今日の探検の大きな目的として大津市内での仁丹町名看板の撮影があり、ストリートビューの事前調査で11か所をインプットしてきた。
日没までにすべてを回り切り、帰路につきたい。 大津市内は広く、看板の所在も四方八方に散らばっており、できるだけ効率的に回りながら一枚一枚をカメラに収めなければならいない。
結果的にはすべり込みセーフで最後の『大石曽束町』を撮影し、夕闇が迫る山里を後にすることができた。 これをもって現在確認されている滋賀県の仁丹看板18枚を撮することができたが、副産物といってよいだろうか、仁丹看板を見つけた小さな集落で『青くすり』『赤くすり』の対の看板を見つけたのは収穫だった。
帰路は名神高速をひたすら走り、渋滞に掴まりながら午後8時過ぎの帰宅となった。 走行距離は550キロ。
さすがに疲れが出たのか、翌日は全身の筋肉痛で、すっきりと起き上がることができなかった。
(2019.12.13記)
※画像上/敦賀インターを下りて若狭に向かうと、紺碧の海が広がった。
※画像中/美浜町で見つけた倒壊寸前の土蔵。なまこ壁に歴史を感じる。
※画像下/美浜町の漁村を歩く。この集落には『キッコーマンソース』のホーロー看板があったが、すでに消失したあとだった。



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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