琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート411 仁丹町名看板ローラー作戦

2025.5.27、6.15
京都府京都市


探検レポート411

「京都仁丹樂會」主催の、京都市に残る仁丹町名表示看板ローラー作戦に参加した。
前回の2022年に続いて3年ぶりの調査は、ブログで募集を呼びかける一般公募によるものである。
ちょうど私は四国遍路の真っ最中だったが、旅先からメールのやりとりを行い、運よく調査員として混ぜていただけた。
2022年の調査によると545枚の現存が確認されており、今回の調査ではその後に減った枚数を合わせて539枚の生存確認をする作戦だ。
5月上旬に京都市内で調査説明会があったが、お遍路中ということで欠席をした。 その後、会員のSさんとメールでのやりとりを経て、満を持して5月27日に京都に向かった。

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▼ローラー作戦調査 5月27日
名古屋から高速バスで京都入りをし、京都の看板探しではいつも利用している駅前のレンタサイクルを調達して、地図を片手にスタート。
天気はどんよりとした梅雨空で、蒸し暑い。 私が担当したのは京都駅から近い下京区のエリア。
東本願寺から北上し、五条通りを越えた範囲だ。 いただいた地図には43か所のポイントがプロットされており、これを一件づつ確認をしていく。
地図を片手に3段変速のペダルを漕いで一枚づつ現存を確認し、以下の種類別の看板を撮影していく。
 ●昭和初期の琺瑯製…41枚
 ▲平成または令和に新製設置された琺瑯製の復活バージョン…1枚
 ■木製…1枚
調査開始から約5時間をかけて43枚を調査。
嬉しいことに2枚の未撮影の看板も確認できた。 また、調査が早く終わり時間に余裕ができたので、同じく未撮影の「平野宮本町」の看板を訪ねることができた。
担当したエリアでは残念ながら1枚の消失を確認したが、他はすべて残っていた。
これを安心といっていいのか分からないが、思った以上に残っていたと思う。
感心したのは、家屋や壁のリフォーム等をしたにも関わらず、同じ場所にまた貼られていたこと。
京都の街に住まう人たちが、歴史ある仁丹看板を大事に保存していく気持ちが伝わってきた。
このエリアではこれまでも何度も仁丹看板を探してきたが、私が最初に足を踏み入れた時と比較するとかなりの数の看板が消失したようだ。
残念だが時代の流れには逆らえることもできず、この貴重な文化遺産がある風景を温かく見守るしかないのか。
私には保護や保存といった直接的な活動はできないが、仁丹看板が置かれた現状を観察することはできそうだ。
自分にできることを問いかけながら、インバウンドで賑わう雑踏の京都を後にした。
久しぶりに老骨に鞭打ってペダルを漕いだので、
翌日は全身筋肉痛となった。 電動自転車にしておけば良かったと、今更ながら後悔した(笑)。

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▼ローラー作戦報告会 6月15日
令和になってから設置された烏丸通にある未撮影の看板を撮影後、JR京都駅から徒歩15分の距離にある「京都ひと・まち交流館」で行われた報告会に出席。
報告者は今回のローラー作戦に応募し、選ばれた10名と会員の皆さん。
ゲスト参加として森下仁丹の社員の方を含め高校生や大学生、お子さん連れの女性、私のようなロートルまで20名ほどの参加者で実施となった。
報告会はなごやかな雰囲気で進行し、一人約5分の持ち時間でそれぞれにあてがわれた担当エリアでの仁丹看板の残存数や変化の状況を報告。
全員の発表が終わり最終集計をすると、23枚の消滅を確認し、仁丹看板の残存枚数は519枚というかなり厳しい数字となった。
消滅の内訳は以下。
 ・家屋の解体にともなうもの…15枚
 ・家屋の改修にともなうもの…4枚
  ・仁丹町名表示板のみが消えたもの…4枚
看板が貼られた家屋のリフォームや取り壊し等で、年々看板が減っているのは時代の流れかもしれないが、私が撮影を始めた2005年頃には800枚を超える数が残っていたことを思うと、この現実は寂しい限り。

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しかし、明るい兆しもある。
今では、仁丹町名表示看板は京都が誇る文化的遺産といっても良いくらい、京都市民には知られる存在になってきている。
その裏には、地域住民への理解と保護、保存に向けての地道な啓蒙活動を行ってきた「京都仁丹樂會」の存在が大きいのは間違いないだろう。
民家の奥深くに眠っていた看板が新たに復活したり、リフォーム等で取り外された看板が元の位置に貼り直されたり、京都の人々の仁丹看板への意識も変わり始めているようだ。
ローラー作戦の調査で撮影中に話をした人たちが、皆一様に仁丹看板を誇らしげに守っていく思いを語ってくれたのが印象深い。
京都仁丹樂會による本の出版や、メディアで取り上げられたことも後押ししていると思う。
そんな話を会員の皆さんから聞くにつれ、仁丹看板にかける熱意がひしひしと伝わってきた。
ローラー作戦は数年に一度のイベントだが、私も微力ながら今回の調査に協力できて良かったと思う。
(2026.1.18紀)

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※画像上/仁丹町名表示看板がある風景。京都市下京区二ノ宮町通。5月27日
※画像中/レンタサイクルを使ってローラー作戦を行った。地図のプロットを確認し現存を調査。5月27日
※画像中/同上。前回調査資料と比較して現存確認をしていく
※画像中/「京都ひと・まち交流館」で報告会が開かれた。6月15日
※画像下/同上

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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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