銘産品(82)
銘産品はローカル色に溢れた食品であり、土産物としても人気がある。「真珠漬」は三重県伊勢市二見の銘産品だが、愛知県から岡山県、北海道までの広いエリアに貼られている看板である。バージョンも多く、鉄道沿いに貼られるケースがふつうだ。
愛知県一宮市から滋賀県にかけての東海道本線沿いに貼られた「起き上り最中」は、最近ではほとんど見ることができなくなった。
九州には銘産品の種類が多く、ボンタンアメ、兵六餅、美人豆は全域で見られるポピュラーな看板。 なかでも美人豆は九州の他に和歌山県を中心とした紀伊半島の一部でも見られ、他のエリアでの発見がないだけに、何らかの関係があると思えてならない。
※画像/和歌山県(2006.11.4)
真珠漬本舗(28)
美人豆(5)
ボンタンアメ・兵六餅(9)
銘菓(30)
漬物・その他(10)
ひとくちメモ
▼真珠漬・貝柱酒粕漬・茸貝漬
真珠漬本舗 三重県伊勢市二見町。昭和30年創業。おそらく三重県の人で知らない人はいないほど有名な銘産品。琺瑯看板も近鉄沿いにしつこく貼られていたが、現在では少なくなってしまった。「真珠漬」はアコヤ貝の貝柱を、絹ごしの酒粕でじっくりと寝かし、特別秘法でつくられた高級珍味。あまり食べると酔っ払ってしまいそう。「茸貝漬」は現在は作られていないようだ。
▼銘菓美人豆
現在では美人豆は作っていないようです。佐賀県武雄市の宮本邦製菓・麗人豆本舗の「麗人豆」は、昭和30年頃に「美人豆」からのれんわけをして作られているという情報から、同社に連絡して確認させていだきました。「美人豆」は佐賀県となぜか和歌山県のJR紀勢本線沿いに貼られており、和歌山県になぜ貼られたのか?は結局分からず終いでした。
▼ボンタンアメ・兵六餅
セイカ食品㈱ 鹿児島県鹿児島市。1919年(大正8)創業。明治36年に菓子問屋松浦屋商店創業。大正15年にボンタンアメ製造開始。兵六餅は昭和6年に製造開始。
「ボンタンアメ」は九州一円はもとより、関西では滋賀県辺りまで貼られたようだ。琺瑯看板を使った広告戦略を積極的に行った企業のひとつだろう。「ボンタンアメ」は14粒入一箱100円。
▼起き上り最中
㈱起き上り本舗 岐阜県岐阜市。岐阜の土産として昔から有名です。JR東海道本線沿いに貼られた看板もめっきり少なくなりました。
▼伊賀越
伊賀越㈱ 三重県伊賀市。1873年(明治6)創業。伊賀越漬は昔から伊賀に伝わる白瓜の漬物。
▼赤たてもなか
杉屋 奈良県宇陀市榛原。1個110円。
▼さくらやもなか
さくらや 広島県東広島市西条本町。さくらやは創業100年の老舗で、酒どころ西条だけあって、酒を使ったもなかは70年も同じ味を守っている。6個入り756円。
▼平和台煎餅・平和台饅頭
風月フーズ㈱ 福岡県福岡市。1949年(昭和24)創業。1959年(昭和34)に西鉄ライオンズ全盛期に「平和台饅頭」と「平和台煎餅」を発売。饅頭・煎餅とも現在は発売されていないようです。
▼いなだ豆
㈱いなだ豆 福岡県大牟田市。昭和24年創業。豆菓子の製造及び卸売。
▼赤松せんべい
九面屋 鹿児島県霧島市。1930年創業。霧島温泉郷の名物「赤松並木」にちなんだ煎餅。熊本県天草市。1949年(昭和24)創業。天草島に伝わる「南蛮文化」と「南蛮菓子」を世界に発信したいという思いで「イソップ製菓」と命名。
▼鶯の宿
㈱梅屋 和歌山県田辺市。大正15年創業。「鶯の宿」は青梅の一粒一粒をしその葉でくるみ時間をかけて砂糖漬けにした銘菓。
▼みすず飴
㈱飯島商店 三重県四日市市。昭和34年創業。
▼一里飴
(有)住吉屋製菓 埼玉県入間郡越生町。一里飴は蜂蜜味の大粒の飴で、日本橋から品川宿までの約一里の距離を歩く間、溶け切らずに味わい続けられると言われたことに由来している。
▼黒あめ那智黒・薩摩の火
㈱那智黒総本舗 1877年(明治10)創業。「薩摩の火」は過去に九州向けに発売していた商品名。
▼じゃんぼ餅
本家文旦堂 鹿児島県姶良郡加治木町。以前鹿児島市内にあった明治18年創業の老舗、「坂之上文旦堂」さんが前身。両棒餅(じゃんぼもち)とは、鹿児島市で古くから親しまれている郷土菓子。
▼胡鬼の豆
「胡鬼の豆」は、熊本県荒尾にあった豆菓子・珍味を取り扱っていた会社の商品のようです。
▼米屋の栗やうかん
米屋㈱ 創業は明治32年。千葉県成田市の成田山新勝寺の参道にある和菓子屋。同社の羊羹資料館にも琺瑯看板が展示してある。
▼竹八漬
㈱竹八 佐賀県川副町。竹八漬は、貝柱、海茸、鮑を酒粕に漬け込んだもの。
▼風味堂の落雁
㈱栗庵風味堂 長野県上高井郡小布施町。1864年で創業。栗を使った羊羹や饅頭などを作っている。
▼森長おこし
㈱菓秀苑 森長 長崎県諌早市。1793年(寛政5)創業。長崎カステラ、半熟生カステラが主力商品。森長おこしも創業時から作られている定番。