琺瑯看板探検隊が行く

酒蔵と看板

酒蔵と看板

全国1700蔵を訪ねて

国内には1700軒もの酒蔵があるという。残念なことに、その数も年々減少の一途を辿っている。進む日本酒離れのなかで、経営難や後継者不足などその原因は様々だが、江戸や明治の昔から続いた蔵がひっそりと消えていくのは寂しいばかりである。
琺瑯看板を探す旅を始めた当初は、古い町並みやレトロな商店街、山村の小さな集落などをやみくもに回っていた。
うまくすると、店の入口にずらりと看板を並べた酒屋に遭遇することもあり、手っ取り早くお酒の看板を探す方法としても効率が良かった。
しかし、その琺瑯看板も近年急激に姿を消していることは周知のとおりである。お酒の看板を掲げた店など、今ではほとんど見ることができなくなってきた。 苦しまぎれの手段であるが、現在の私のホーロー探検は、お酒の蔵元(酒蔵)をコースの柱にして計画を立てている。
蔵元に看板が残っていればラッキーであるし、最近では蔵から次の蔵までのルートで多様な看板を見つけていくのが一番効率がよい方法だと実感するようになってきた。
もちろん、看板が貼られていない酒蔵も多いが、店主(蔵人)が「こんなのもありますよ」と、文字通り蔵の中から出して見せてくれる看板もあり、全国探してもそこにしかない逸品に遭遇することもしばしばあった。
また、看板ばかりでなく、酒蔵がもっている独特な雰囲気も魅力的である。黒板壁や白壁、レンガ煙突や大きな杉玉…運よく蔵の中を覗ければ、冷んやりした空気の中に甘い麹の匂いが漂う…酒蔵は現代に残された神聖な場所にも思える。
この項では、お酒の看板ばかりでなく、私が訪ねた酒蔵を紹介していきたい。もちろん、“飲んべい”であるから、味わったお酒にも触れてみたいと思う。おそらく1700の蔵を回るには10年以上はかかると思うが、消えていく蔵の最期の姿を切り撮れれば満足である。

※参考資料
「日本の銘酒辞典」(講談社1995)
「日本酒15,706種」(誠文堂新光社2007)
「酒蔵で訪ねる信州」(信濃毎日新聞社2008)
「東京近郊酒蔵ガイドブック」(井上年弘著 わらび書房)

全国酒蔵データベース 171蔵

Profile

つちのこ プロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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SINCE 2005.3.17