ホーローの旅
レポート122 春一番も吹いて 関東ホーロー紀行 後編
2007.3.4
埼玉県熊谷市~深谷市~本庄市~群馬県藤岡市~埼玉県長瀞町~秩父市~入間市
▼3月4日
冬が暮れようとしている。 鼻孔をくすぐる暖かな空気をじながら、熊谷駅近くのビジネスホテルを後にする。
まず向かったのが、埼玉のホーローマニア・ウシ君さんから情報をいただいた日用雑貨店。2階の壁面に「ミヨシ粉石鹸」の看板が貼られているが、クルマでは気づかずに通り過ぎてしまう。何度も往復してようやくゲット。
それにしても目立たない場所に貼られていた。これでは広告媒体としての役目を果たしていない。
続いて国道17号線に出て深谷市に向かう。「パラゾール」と「ブリヂストン」のツーショットや「リズムミシン」がある酒屋など、ウシ君さんの情報のおかげで効率よくゲットしていく。
特に7枚のお宝が整然と貼られた看板屋敷はインパクトもあるし、なかなか素晴らしい。なかでも「ノーベル乾電池」の大型看板は初めてみるお宝だ。
今回の探検は埼玉県を中心に栃木、群馬と放射状に回っているが、効率よくお宝をゲットできているのも、ウシ君さんの情報があってこそで、出発間際まで、メールのやりとりをしていただいた彼の親切に他ならない。
さて、クルマを深谷市から本庄市の児玉町に向けるが、これが大誤算だった。岡部駅を出てすぐに市民マラソンの集団にぶつかってしまったのだ。それも半端な人数ではない。ランナーが途切れることなく延々と待たされる。児玉町に向かいたくてもどうしても横切れないのだ。
待つこと30分、クルマの渋滞の列は果てしなく伸び、イライラは募るばかり。ようやく動き出しても、ランナーを避けるための迂回を繰り返し、児玉町に入ることができたのは1時間後だった。
しかし、そんなトラブルがあっても、児玉町のはずれで「ジンセンアップ」の3枚貼りを見つけると、ちゃっかりしているのか、すぐにストレスは吹き飛んでしまった。
“元気グングン”のコピーを見るまでもなく、明らかに大村崑のオロナミンCに対抗して作ったことがミエミエの「ジンセンアップ」の看板だが、何よりも南利明のキャラが最高である。
僕にとってはあこがれの看板なのだ。 これまで九州で見つけた錆びた状態のものが唯一だったが、色褪せてはいるが、なんと3枚貼りなのだからうれしい。
その上、「ジンセンアップ」とはまったく関係ないが、ネズミのようにこずるい南利明の顔を見ていると、一世を風靡したオリエンタルカレーのCM、“ハヤシもあるでょぉ”を思い出さずにはいられない。
シャッターを押す瞬間に、思わず“どぇりゃぁ、うまいでかんわ”などと、つぶやいてしまう自分が可笑しかった(笑)。
午後になり、群馬県藤岡市から古い町並みが残る鬼石町を回り(写真)、再び埼玉県に戻って長瀞町、秩父市とハンドルを握るが、案の定、渋滞に捕まってしまった。
どうも秩父市は相性がよくないようだ。前回訪れたときも、渋滞に巻き込まれ、看板探しどころじゃなかった印象がある。
この日もご他聞に洩れず、渋滞を避けるためナビを信じて迂回した道から誤って一方通行に侵入してしまったり、袋小路の道で右往左往するわで、大変だった。
最も、狙いのお宝はしっかりゲットできたので笑い話になるが、秩父市はドライバーにとっても案外住みにくいところかもしれない。
さて、時間はどんどん過ぎていく。予定ではレンタカーの返却先を出発地の上尾で考えていたが、このままのペースだと時間切れは間違いなさそうなので、急遽、狭山に変更することにした。
秩父から峠越えで飯能市に出て、「一里飴」という地元銘菓の看板をゲットし、16時ちょうどに狭山駅前に着いた。
最後のお宝ゲットは入間の繁田醸造の「キッコウブ醤油」だったが、物凄い渋滞に巻き込まれて、目の前に看板があるのに、どうしても車を止めることができずにやきもきした。
もっとも、日曜日の首都圏は、こうした渋滞は当たり前なのだろうか。
田舎モノの私としては、ちょっとしたカルチャーショックだった。(おわり)
(2007.4.1記)
※画像上/藤岡市鬼石町の町並み。
※宿泊/R&Bホテル熊谷駅前 素泊り5000円 JR熊谷駅正面口より徒歩約1分の好立地。☆☆☆☆★