琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート130 東北ホーローの旅3 三陸海岸を行く

2007.5.4
宮城県仙台市~大崎市~涌谷町~花巻市~登米市~岩手県藤沢町~一関市~陸前高田市~大船渡市~釜石市~宮古市


探検レポート130

うれしいことに2日続けての快晴だ。
最近のホテルは無料でネットができるPCルームが設置されているところが多いが、宿泊したホテルにも快適な空間があった。このところ遊んでいるネットオークションが気になるので、出発までの小一時間をPCにかじりつく。
今日の行程は、今回の旅で一番長くなるコースである。仙台市から宮城平野が広がる内陸部を縦断し、登米市から岩手県に入って三陸海岸を伝って進む。オマケに宮古市の浄土ヶ浜の観光つきだ。
最初に訪ねたのが大崎市三本木町。ここにはかわいいリスのイラストが入った「リスコショー」と「リスカレー」が貼られた食料品店があるというが、目的の店を見つけるも、すでに廃業したらしく明らかに看板が剥がされた跡が白く残っていた。
最近の探検ではこんなことはふつうなので別段気にすることもないが、この2枚のアイテムは東北地方でしか見ることができない看板だけに、今後の探検で遭遇することが可能か疑問だ。
三本木町から大崎市の中心部である古川町に入る。東北新幹線も通ってすっかり開発された感がある町だが、わずかながら古い町並みも残っている。しかし、碁盤の目のようになった商店街を流してみたが、お宝の姿はついに捉えることができなかった。
古川町からはコシヒカリの田んぼの中をまっすぐに貫く県道を、のんびりと美里町に向けて進んだ。
目に飛び込んできたのが、「中将湯」と「サイン毛糸」が貼られた民家。どちらも欠落なく残っている。

探検レポート130

「中将湯」の単体看板は島根県でも見つけているが、それは欠落したものだった。こうした完全体で残っているものは、おそらくこの広い国内にもほとんどないだろう。
カミさんと二人三脚の探検隊は涌谷町を抜けて登米町に入った。泉麻人&町田忍共著『ホーローの旅』(幻冬舎刊・絶版)によれば、登米町には比較的多くお宝が残っているという。
たしかに重厚な白い蔵が立ち並ぶ古い町並みもそこかしこに見られ、商店街もどこか昭和30年代を思い起こす、セピア色の雰囲気を感じた。
しかし、お宝探しのほうはさっぱりで、時間がどんどん過ぎていく。今日の宿泊地の田老まではあと150キロ以上あるはずだ。
しかもこれから走る道は山越えルートで陸前高田市に出て、海岸線に沿って延々と続く国道なのだ。
岩手県に入ると、茅葺屋根の集落が時折現れるのどかな田園風景となった。ぽつんと建っている廃業した酒屋がなんだか寂しいが、軒下に吊るされた地酒や醤油の看板が、風に揺れていた。

探検レポート130

クルマは陸前高田市からいよいよ三陸海岸に沿って進む。大船渡市内はお祭りの真っ最中で、目抜き通りでは巨大な山車とそれを引く人々、お囃子に合わせて踊る人々でごった返していた。
米沢に続いて2度目のお祭りビンゴだ。交通整理をする警察官に誘導され迂回をしながらすり抜けたが、市内のお宝探検は見合せとなってしまった。
お祭りの余波を受けて渋滞している国道45号線を北上する。釜石市内もノロノロ運転だ。先のことを考えるとあまり時間も割けないが、それでもなんだか殺風景な市内中心部を何度も往復しながらお宝の姿を探していく。
2006年の8月に東北を訪ねたときは、岩手県の看板棲息状況には素晴らしいものがあった。間違いなく国内でも指折りの看板多産県と折り紙をつけていたが、今回の印象はけっこう厳しいものになってしまった。
やはり定説どおり、海岸沿いにはホーロー看板が少ないのだろうか。それにしても厳しい。
期待の釜石も撃沈し、山田町から宮古市に向かう。
救いといえば、山田町で皮膚病薬の「雪の元」と、東北探検で初めての発見となる水原弘&由美かおるのアースツーショットを見つけたことぐらいだろうか。
宮古市に着くと、看板探検はパスして浄土ヶ浜観光に切り替えた。私にとっては30年ぶりの宮古だが、これまで東北観光にはほとんど縁がなかったカミさんはうれしそうだ。
ちょうど夕暮れ時になったこともあり、陽光が奇岩に淡く反射しながら暮れていくおだやかな海と、浄土ヶ浜の白い砂浜が目に眩しかった。(つづく)
(2007.7.7記)
※画像上/石巻市にあった商店。ミツカン酢が見える。
※画像中/藤沢町のかやぶき民家。
※画像下/大船戸市で遭遇したお祭り風景。
※2011年3月11日、東日本大震災がこのレポートで書かれた地を襲いました。被災された多くの方たちに心からお見舞いを申し上げます。



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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