琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート137 四国→中国真夏の遠征3 山口縦断編

2007.8.6
山口県周南市~防府市~宇部市~秋吉町~美祢市~長門市~萩市~島根県益田市~津和野町


探検レポート137

遠征3日目にして泊まった徳山駅前のホテル(東横イン)は、さすがに快適だった。
エアコンの音も静かで、スーパーで買出ししてきたお惣菜をつまみにビールを空けると、あっという間に夢の中だった。
さて、山口県に来たことはいいが、行き当たりばったりの糸が切れた凧状態が変化するわけもなく、これから向かう行き先は何も決めていない。
地図を眺めるうちに、日本海側にある萩市まで北上して、そこから島根県益田市につなげるルートを考えた。
途中、鍾乳洞とカルスト台地で有名な秋吉町を通過することになるが、これは30年前の高校の修学旅行コースと同じだ。
情報によると、周南市から宇部市にかけてのJR山陽本線沿いには、いくつかの看板屋敷が残っているというが、土地鑑もなくまったく見つけられないまま、秋吉町まで来てしまった。
町のいたるところにある「ようこそ、鍾乳洞の町へ」という看板に釣られると、つい観光へと心が動いてしまう。 5月の東北遠征で岩手県の龍泉洞を見学してから、母なる胎内というか、どうも暗く狭く湿っているところが好きになったようだ。
それが証拠に鍾乳洞と聞くと、心臓の鼓動が早くなり、冷静にはできぬ(笑)。 といっても、香川でUDON巡礼に夢中になって、本来の目的である看板探検がおろそかになっている。

探検レポート137

時間に余裕があるわけでもないし、それに秋芳洞は以前にも訪れたことがあるし…結局、ここはぐっとこらえて、看板探しに専念すべくあっさりと通り過ぎることにした。
その甲斐があって、長門市で看板屋敷を見つけた。青々とした眩しい田んぼの中にぽつんと建つ板張りの屋敷には、金鳥やボンタンアメ、カクイわたといった九州でよく見かける定番看板が貼られていた。
真夏の陽射しが首筋をじりじりと焼く中、ファインダーを覗いて、右に左に孤高の看板屋敷を切り撮る。吹き出る汗も快い。
長門市から萩市に入ると、頬に触れる風が微かに爽やかになったような気がした。少しだけ欲を出して、高杉晋作の生家に寄り道をしてみたが、観光客の多さに辟易して、結局クルマから下りることなく通過。更に、吉田松陰の松下村塾にも心が動いたが、これもパス。振り返ってみれば、どちらも修学旅行で見学している。
萩市中心部は観光客で溢れ返っているようなので、看板探しをパスし、海岸線沿いに走って島根県益田市を目指す。
入道雲がもくもくと立つ萩港には、漁船やイカ釣り船が係留され、陽炎が立ちのぼる夏の海に、緩やかに揺れていた。
旧・阿武町から三崎本町にかけての海岸沿いは、小さな集落が忘れた頃に出てくる。板壁の家屋が点在する脇道は、恰好の探索ポイントを提供してくれた。
一般的にはホーロー看板は漁村には少ないというのがセオリーだが、どうしてどうして、由美かおると水原弘のツーショットや、蛇の目ミシン、清酒日本海の看板を見つけることができた。
午後4時を回り、島根県益田市に入った。そろそろ今日のねぐら探しを始めなければならない。

探検レポート137

今回の旅は軟弱志向を絵に描いたようなベースできてしまったので、ホテルや民宿の誘惑をぐっとこらえて、テント泊に決めた。
益田から津和野に向かう国道沿いで、適当なスペースが見つかればテントを張ることにしたが、結局、そんな快適なスペースは見つけることもできず、津和野町日原のキャンプ場まで来てしまった。
天文台が併設された山の頂上のキャンプ場には2組のバイクツーリングの客がいたが、まったくの貸切状態だった。
1人用のテントを張って、さっそく飲み始める。しかし、今年の猛暑を象徴すべく、滝のような汗とヤブ蚊の集中攻撃が…(笑)。
「暑い~、あちち…」を連発しながら、明け方まで、いつ果てるとも知れないぐったりとした寝苦しい夜が続くのだった。(つづく)
(2007.9.17記)
※画像上/山口県萩港。夏の海に係留された、白い船体が眩しかった。
※画像中/山口県長門市の集落。七夕祭り(?)の真っ最中だった。
※宿泊/日原オートキャンプ場(津和野町)500円。山の頂上にあっても標高が低いためか、暑いし、何よりヤブ蚊が多い。トイレは汚く清掃ができていない。



2007年探検レポートへ

Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


琺瑯看板探検隊が行く
SINCE 2005.3.17