琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート140 近場をぶらぶら 岐阜市&春日井市探検

2007.10.6、11.24
岐阜県岐阜市・愛知県春日井市


探検レポート140

夏の四国・中国遠征以来、エンジンがかからぬまま秋が訪れた。
病気になってしまったという不運もあったが、せっかく減量した身体が、体調回復とともに、また元に戻ってきた。
そういえば、このところズボンのベルトが苦しくなっている。鏡に写る自分の顔も心なしか丸くなってきた(笑)。
運動不足なのだ。メタボの境界線をウロウロしている自分にとっては、これはけっこう深刻なのだ。そこで思いついたのが、看板探しに歩いてチャレンジすること。これなら一石二鳥である。
▼10月6日
名古屋駅からJR東海道線に乗り継ぎ、岐阜駅で降りた。駅前に出て気づいたが、この日はちょうど「信長祭り」というイベントが行われていた。
駅前から市内中心部にかけて祭りの露店やテレビの中継車が出て、普段より人通りも多い。翌日には道路を通行止めにした戦国武士の行列もあるようだ。
タオルを首にかけ、カメラバックを肩に下げて南口から歩き出す。今年の暑さを象徴するような、どこかに夏の名残りを感じる秋晴れである。
駅から2キロほどだろうか。一件目は金沢在住の看板マニア・クエストⅢさんに教えていただいたハチミツ醸造元。すでにアゴを伝って汗が滴っている。
赤と白の二色を基調にデザインされたハチミツの看板が何枚も貼られた屋敷を写真に収める。
それにしても暑い! 次に名鉄加納駅方面に向かう。踏み切り近くにある肥料屋は2年前にも訪れて撮影しているが、この店の裏側に「日配完全肥料」の看板があったことは知らなかった。
岐阜駅に近づくJRの車窓からちらりと見えていることに気づかなかったら、店の裏側に回ることもおそらくなかっただろう。
古い町並みが残る加納宿をぶらぶらと歩く。そして、相変わらず滴り落ちる汗をぬぐいながら、今度は柳ヶ瀬方面に向かう。 目抜き通りはそこかしこでイベントが行われているので、混雑を避けてパス。なるべく人気がない道を探しながら柳ヶ瀬通りを歩く。
クエストⅢさんに教えてもらった、「酒は神の井」の看板が貼られた酒屋はすぐに見つかった。この看板は名古屋市緑区にある醸造元の銘柄だが、地元の名古屋では見つけることができないのに、県外の岐阜市の中心部に残っているのが、なんともうれしい。
ゴールの岐阜駅までのルートは繊維街のアーケードにとった。
『ワーキングプア~日本を蝕む病』(NHK取材班編・ポプラ社)でもレポートされているが、迷路のようなアーケード街はシャッターが下りた店がほとんどで、人の気配がまるでない。 駅前立地の土曜日の午後である。ほんとうなら人でごった返しているはずなのだ。
岐阜駅前はパルコが閉店したり、以前の活気とは程遠いゴーストタウン化が進んでいる。こうした現実を目の当たりにすると、12キロも歩いた疲れた身体に、更に追い討ちをかけて、疲れがのしかかってくるようだった。

探検レポート140

▼11月24日
愛知県春日井市の商店街を紹介する某サイトで、壁一面に看板が貼られた屋敷があることを知っていた。
最も、このサイトはここ数年更新をされておらず、勝手な解釈だが、おそらくこの屋敷はすでに取り壊されているのではないかと思っていた。
しかし、ずっと気になったまま過ごすのも精神衛生上よくない。車で行けば自宅からわずか30分の距離なのだ。まだ残っていればラッキーという気持ちで、デジカメ片手に出かけることにした。
さて、目的の看板屋敷であるが、…なんと、あったではないか!
これまでにも何度かこの道を通っているのに、まったく気づかなかったというのも情けない。
隣接する家屋が取り壊されて、全貌が見えたのが簡単に見つけることができた理由のようだ。それにしても、自宅からこんな近くに看板屋敷があったとは…。
東海エリアの看板屋敷については、おそらくほとんどをカメラに収めてきたと自負していたが、まだ撮り残しがあったわけだ。
この屋敷には金鳥やキンチョール、ミツカン酢、東芝テレビ、オリエンタルカレーといった、東海エリアでもなじみの定番が11枚も整然と貼られていた。板壁の美しさも際立っており、看板屋敷特有の孤高のオーラがよく出ている。
回りはマンションや店舗が並んでいるので、そこだけが昭和30年代にタイムスリップしたような不思議な世界が漂っていた。
自宅に戻ってから某サイトの画像を見ると、他にも「ゼネラルラジオ」や「ゼネラルテレビ」が写っているが、この二枚はすでにはがされていた。ホーロー狩りの仕業としたら、悔しいが貴重な看板がどれなのかよく理解していたようだ。
往復1時間のちょっとしたチャレンジだったが、最後の看板屋敷を撮ることができて、満足のミニ探検になった。
(2007.11.25記)
※画像上/岐阜市加納宿。歴史を感じる古い建物も少なくなった。



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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