琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート144 南九州750キロの旅3 宮崎→鹿児島編

2007.11.11
宮崎県都城市~小林市~えびの市~鹿児島県涌水町~大口市~霧島市


探検レポート144

早朝、都城駅前のホテルを出発する。都城市は東国原知事の出身地だが、知事のにぎやかなパフォーマンスに対して、駅前は閑散として、殺風景だった。
市内中心部は道幅も広く、看板が残っているような雰囲気ではない。 国道10号線を宮崎市方面に進み、看板ウォッチングを開始。
前日の撃沈もあって、宮崎県の厳しさの一端を見た思いだったが、ラッキーなことに、偶然入った旧道で看板屋敷を発見!
「ボンタンアメ」「兵六餅」「菅公学生服」「金鳥」「チオクタンW」といった定番の他に、「都城大丸デパート」の看板があった。
地元色が濃いローカル看板は九州では少ないが、こうした小売流通業界の看板は個人的には好きなアイテムである。
百貨店やチェーンストア業界はM&Aといわれる企業合併を繰り返してきた歴史があるだけに、ホーロー看板に残された、今は亡き懐かしいチェーンや店舗名は気になる。
帰宅してから調べてみると、「都城大丸デパート」は現在もある店舗で、1956年から営業しているようだ。この看板がいつ頃貼られたものかさだかではないが、創業当時のものとしたら悠に50年以上経っているわけだ。
何度も書いているが、私にとっては、こうした事情を探るのも看板探しの楽しみであり、かっこよく言えば、昭和時代を遡る旅浪漫(ロマン)と思っている。

探検レポート144

さて、南九州ひとり探検隊は、国道10号線から268号線に入り、野尻町から小林市を目指す。
他サイトの情報によれば、この辺りには看板屋敷もあったというが、“時すでに遅し”か。まったく視界に飛び込んでこない。ひたすら走るのみである。
小林市に入る手前で、霧島連山が見たくなり、JR吉都線の高原駅に寄った。 すでに冬枯れが始まったススキの原はオレンジ色に染まっていた。
一直線に続いた畑の終点には高千穂(1574㍍)が大きくそびえている。稜線を北に辿ると、最高峰の韓国岳(1700㍍)だ。
この南九州の名山に、10年ほど前に登ったことを思い出した。あの頃は登山に夢中で、看板のことなどまったく関心がなかった。
過ぎたことだが、多少でも看板のことを気にかけていたらと思うと残念でならない。文化遺産ともいうべき琺瑯看板のありし日の姿が、記録として遺せたかもしれないのだ。
気づいたときには消えてしまって、もはや記憶にしか残らない。
クルマは小林市からJR吉都線に沿って南下していくが、えびの市で見つけた「奄美餅」が宮崎県の最後の収穫となってしまった。
今回の旅は宮崎県の南部をかすめただけであるが、次回、チャンスがあったら北部の延岡から、大分に向かって探検をしてみたいと思う。看板探検にとっては、“宮崎は不毛の地”というジンクスを破るためにも、ぜひチャレンジしたい。

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15時の飛行機に乗るため、急いで回ったのがいけなかったか、鹿児島県に入ってからもパッとしなかった。
期待していた涌水町や大口市の県道沿いも、意に反してお宝の姿は少なかった。 やはり、“時すでに遅し”だったのか。
10年前とはいわずとも、せめて、看板探検を始めた3年前に訪れていれば、南九州の成果も違っていたかもしれない。
ともあれ、こうして三度目の正直、リベンジともいうべきホーローの旅は終わった。 レンタカー会社から鹿児島空港に向かう道を、ブルゾンをカバンに詰め込み、汗を拭きながら歩いた。
11月も半ばだというのに、南国の陽射しは暑く、否応なく照りつけていた。(おわり)
(2008.1.19記)
※画像上/宮崎県高原町から見た霧島山(1574㍍)。冬枯れのススキの原が爽やかな風に揺れていた。
※画像中/朝日に輝く焼酎蔵。都城市。
※画像下/『ざぼんラーメンスカイロード溝辺店』のラーメン(700円)。焼にんにくが浮かぶとんこつスープが絶妙。



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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