琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート145 粉雪舞う北陸を行く 石川・富山ワンディ探検

2007.12.16
石川県金沢市~富山県射水市~立山町~滑川市


探検レポート145

金沢駅近くのホテル前で、いつものように石川県在住の看板マニア・クエストⅢさんと落ち合う。 持つべきものはホーロー仲間である。
私の都合に合わせて彼が一日の案内役を買ってくれた。今回目指すのは富山県だ。 冬
型の気圧配置が緩んで、青空が見えているもの、そこは北陸である。冷たい風に乗って黒い雲がひっきりなしに流れてくる。
あっという間に、クルマの窓を叩きつける大粒の雨が落ち、それがみぞれに変わり、今度は粉雪が舞う。そして再び青空になるという具合だ。
北陸の天気は移り気な女性の気持ちと同じように、やっかいなようだ。私にはとても手に負えない(笑)。
まずは金沢市の撮影モレの看板から攻める。「三ツ矢ソース」の白地の看板も良かったが、クエストⅢさんが北陸本線の車窓から見つけたという「菅公学生服」と「ダイヤ学生服」のツーショットが貼られた看板屋敷が素晴らしかった。
特に「菅公」は黄色地の旧バージョンである。これまで同じ石川県の津幡町と福井県の南越前町(旧・今庄町)でしか見つけていない。
全国的にみても北陸にしか存在しない看板だ。同じ字体としては、オレンジ色地のタイプを広島県で確認している。そんな意味ではパフォーマンス性が高い屋敷である。
これに気をよくして、いよいよ富山県に入る。国道8号線の倶利伽羅トンネルを抜けると、小矢部市である。思ったとおり、空はどんよりとした重たい鉛色、時折、冷たい粉雪が風に乗って飛んでくる。
「うー寒ぶ…」 パーカーの衿を立て、マフラーをぐるぐる巻きにして小杉駅近くの看板屋敷を撮影した。
学生服が2枚とミシンが1枚。派手さはないが、あと1枚あれば、看板屋敷と認定(といっても、あくまで僕の基準だが…)できるのに残念だ。

探検レポート145

富山県はJRの他に富山地方鉄道のローカル線が走り、沿線の看板屋敷の発見が充分に期待できるエリアである。クルマでの探検は不向きだが、一日乗車券でも買って、雄大な立山連峰を眺めながら、田園風景を走る電車の旅を楽しむのも風情がありそうだ。
午後を回り、クエストⅢさんが見つけた看板屋敷がある立山町に向かう。何度か探検に訪れているところだが、まだまだモレはあった。
特に鉄道沿線については、クルマではノーマークになってしまうので、見落としが出てしまう。 「白光綿」や「金鳥」、「ナショナル電球」が貼られた農家の納屋はすぐに見つかった。
庭木が邪魔して全体が見えないのが残念であるが、綿看板がお気に入りの私にとっては、「白光綿」はうれしい一枚であった。
日没まで、あと1時間。裾野まで真っ白になった立山連峰を眺めながら、上市町から滑川市に急いだ。
何といっても、この日の最高の見せ場は、ごくふつうの民家に貼られた看板たちだった。 「ビタミン剤テイビタン」や「白光綿」など全部で6枚が、暮れ始めた北陸の空に反射していた。
気にしなければ、あっという間に通過してしまう県道だが、看板マニアの嗅覚はそうはいかない。いつまでも残って欲しい看板屋敷であった。
クエストⅢさんと合同の探検もこれで2回目となったが、教えていただくばかりで、その好意に甘えてしまう自分がずうずうしい。北陸エリアでは、彼に情報として返すものがないだけに心苦しいが、ここはホーロー仲間の好意として素直に受けたい。
…そんなことを思いつつ、東海エリアに来られた折には、しっかりお返しをすることを約束し、とっぷりと陽が落ちた金沢駅で分かれた。
(2008.1.28記)
※画像上/北陸本線沿いの看板屋敷。「菅公学制服」の黄色地の旧バージョンは、北陸以外では未発見。



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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