琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート148 真冬の三重県 ホーローロードを行く

2008.2.16
三重県津市~鈴鹿市~四日市市~桑名市


探検レポート148

今年は暖冬かと思っていたが、そうでもないらしい。
私が住んでる地方でも積もりこそしないが、2月に入ってから毎週のように雪が舞っている。
久々にクルマで出かけた探検だったが、この日も例外でなく、亀山インターを降りた辺りから、前が見えないくらい激しく叩きつけてきた。
国道25号線から旧伊勢別街道が走る県道10号線に入ると、ようやく雪は小降りになり、ホーロー探検のスタートラインに立つことができた。
芸濃町楠原から林地区にかけては小規模であるが、断続的に古い町並みが続いている。特に林地区には立派な長屋門がある黒壁の屋敷や、天然記念物的な小学校の木造校舎(すでに保存されているようだ)も残っており、レトロ建築に興味がある方には一見の価値があるだろう。
津市芸濃町椋本は伊勢街道の宿場として栄えたようで、神宮参拝の折に奉納された木札が入口にずらりと掲げられた旅籠や、醤油、味噌の木製看板を掲げたレトロな食料品店が当時のまま(明治時代か?)残っていた。

探検レポート148

少し期待をして店内を覗いてみたが、残念ながらお宝の姿はなかった。
最近では琺瑯狩りの対策として、店内に看板を掲げている店もある。以前、愛知県にある老舗の酒屋で、店主と話をした折、店先にあった5枚の看板が一夜のうちに盗まれたということを聞いた。80歳を超えた店主(お婆さん)は、盗られるくらいなら、店内に置いとけばよかったと、残念そうに語っていた。
営業をしている店にある看板は、文字通り“店の看板”である。杉玉が下がった蔵元の看板を盗む輩もいるくらいだから、モラルの低下は地に落ちている。
国は人のものは盗ってはいけないという常識や、道徳教育にもっと力を入れるべきではないか。
話は違うが、車上荒らし(私は2回も被害に遭った)をひとつ例にとってみても、日常的に発生して別段珍しくもない昨今である。
警察に届けても「なかなか捕まりませんよ」と反応は鈍い!
日本は犯罪大国に成り下がったのではないかと思う。少なくとも数十年前には、白昼のスーパーの駐車場で、ガラスを割られて物色されるようなことはなかったはずだ。
さて、クルマで回ったこの日の探険は、伊勢街道を追っかけて、津市から鈴鹿、四日市と北上した。
相変わらず、三重県特有のローカル看板が目立ったが、バス停の前に建つ小屋に、何種類ものウバ車店の看板が貼られているのを見ると、ほのぼのした気分になった。
三重県のローカル看板は、冠婚葬祭に関連するスポンサーが断然多い。
結納店→貸衣装→婚礼ふとん・家具→産婦人科→ウバ車→仏壇屋。それこそ「ゆりかごから墓場まで」というのが面白い。

探検レポート148

夕暮れが近づき、風向きが変わった。一段と冷たくなってきた空気を気にしてパーカーのフードを被り、自転車にまたがる。
桑名市チャリンコ探険である。クルマを置いた九華公園から、古い町並みやアーケード商店街がある寺町通りを目指すのだ。
東海道桑名宿があった田町から紺屋町の周辺には、老舗の和菓子屋や線香ろうそく店など古い商店がぽつぽつとある。
戦災に遭って今は城下町の雰囲気がほとんどないそうだが、名古屋や伊勢への要所、海上輸送の港町として栄えた頃はさぞ賑わっていたことだろう。
昭和の匂いを残すアーケード商店街で、「森永ミルクキャラメル」の看板を撮影した。
「おにいさん、どこから来たん?」
「売ってくれ、という人がよう来るけど、うちのお宝やから売らんわ!」
関西弁とも違う、北勢なまりがきついシャキシャキのオバサンが早口で応える。
「森永ミルクキャラメル」は確かに店の守り神のように、額に入った賞状や福助人形と一緒に飾られていた。
店を始めたときには2枚あったそうだが、一枚を手放して後悔しているそうだ。お宝番組でも影響したんだろうか、などと思いながら、撮影させてもらったお礼に袋菓子を買ってアーケード街を後にした。
(2008.3.9記)
※画像上/桑名市の桑名跡近くにある運河の風景。石垣は桑名城築城時のものか?七里の渡しから引き込まれているようで、たくさんの小船が係留されていた。
※画像中/芸濃町で見つけた味噌醤油販売店。
※画像下/三重県を象徴するローカル看板がびっしりと貼られた建物。



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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SINCE 2005.3.17