琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート152 ぐるり岡山、春真っ盛りの旅 前編

2008.3.22
岡山県岡山市~備前市~和気町~久米南町~美咲町~津山市~真庭市~新見市


探検レポート152

山陽新幹線岡山駅からレンタカーに乗り換え、いざ出発。いつものヴィッツと思いきや、イストというクルマだった。
荷物はリュックひとつだが、4日分の着替えと地図が入っておりズシリとくる重さだ。
今年の桜の開花は全国的に早いようで、3月に入って、東京、名古屋、静岡、大阪でほころびかけた桜を見てきたが、はたして、桜前線は“きびだんごの国”までやってきているだろうか。
そんなささやかな期待を胸に、うららかな春の日差しを浴びて、トヨタ・イストをゆっくりと発進させた。
岡山県での探険は4度目だが、今回確保できた日数は2日間しかない。効率的かつ挑戦的に、山里や古い町並みを中心に回ることにし、まずは備前市を目指した。
国道250号線に沿って、岡山市から長船町を経由し備前市に入った。JR赤穂線の香登駅から備前片上駅までの区間は国道2号線と並行して旧道が通っており、ホーローマニアなら、地図を見れば“匂う”ロケーションとすぐに分かるはずだ。
しかし、“時すでに遅し”か、お宝の姿はほとんどなく、備前焼でできた神社の狛犬や町並みを撮っただけで終わってしまった。
備前市からは3年前に通ったコースをはずして和気町に向かうが、やはりホーローの女神は微笑んでくれない。
以前の印象としては、岡山県はホーロー天国だったはずなのに…。
幹線道路を避けて、和気町日笠や旧吉永町の小さな集落を回るも、厳しい状況は変わらず、その上、林道に迷い込んで通行止めにはまってしまい、対向車もすれ違えないダートの道を、Uターンもできずにバックで延々戻る始末。

探検レポート152

抜け出すのに一時間以上もロスをしてしまった。遠征初日にして、モチベーションが急速に落ちつつあるのを感じた。
現在は岡山市に併合されたが、旧建部町から美咲町にかけては、国道沿いにわずかに残る看板を撮ったり、投稿者のほうろうしゃさんに教えていただいたクスリの看板をゲットした。
昨今の急激なホーロー看板の減少はどこに行っても感じるが、僕が勝手にホーロー天国だと思っていた岡山県ですら、かなり厳しい状況にあるようだ。
幹線道路沿いの旧道や脇道の集落でさえ、ほとんどその姿は見ることができない。 この日も例外ではなく、バスも通らないような山間の小さな集落を狙って、ハンドルを握った。
集落と集落を結ぶ道にはもちろんガードレールもないし、道幅が極端に狭く、クルマをぎりぎりの幅で走らせるのはけっこうスリルがあった。
雪が降ったら陸の孤島になるのではないかと想像してしまうが、そんなロケーションでも突然小さな集落が出てくるし、庭先の切り株に座って日向ぼっこしているご老人を見かけたりした。
廣貫堂のクスリ看板が3枚貼られた民家や、ツルカメ酢の短冊看板がさりげなく貼られた今にも倒壊しそうな廃業したよろず屋など、現代に残ったお宝たちは、しぶとく生きていた。
「ありゃぁ、ずっと昔からついとるよ…」
玄関脇の排水ポンプの隙間にちらりと見えていた「六神丸」の看板を撮ろうとした私に、老人用の乳母車を押しながら、お婆さんが答えた。
看板を撮っている私がよほど変わった人に見えたのだろうか、
「あんたぁ~、どけぇからいなさった、△○×◇…」(以下、意味不明)
…と、更に、お婆さんは機関銃のように繰りだすのだった(笑)。
津山市からは国道313号線沿いに西進し、真庭市の落合宿や北房宿を調べた。お宝の姿はほとんどなかったが、山間の宿場町らしく落ち着いた雰囲気に満ちていた。
備中川の堤の桜は、つぼみが膨らみかけていたが、開花まではしばらく先の様子だ。しかし、黄色のじゅうたんを敷き詰めたような菜の花畑からは、甘酸っぱい春の香りが風に乗って、鼻腔をくすぐってくれた。

探検レポート152

今日の宿は、新見市(旧大佐町)の刑部駅に近い大日高原にあるオートキャンプ場内の宿泊施設を予約していたが、宿に着いてみると、扉が閉まっており誰もいない! 電話をかけると、誰もいない扉の奥でコールがむなしく鳴っているではないか!(ひぇ~~)。
すでに薄暗くなっており、ぐいぐい冷え込んできた。キャンプ場にある管理事務所やゴルフ場の事務所を訪ねてみても誰もおらず、(こりゃぁ、やばい…野宿かゃ~)と途方に暮れ始めたとき、ふもとから上がってきた宿の管理人にばったり会い、事無きをえた。
この日の宿泊者は僕の他に、ハンググライダーの練習に来ている若者たちが数人いたようだ。
割り当てられたコテージ(アパートのような造り)は、素泊まりで2500円という激安料金だというのに、台所から風呂、部屋にはコタツもあって快適だった。
途中のスーパーで買ったお惣菜でビールを飲みだすと他にすることもなく、コタツに寝転びながら次々にプルトップを引いていく。
深々と冷えてきた高原の夜、一日の疲れがビールの酔いで、更に倍加ししていくようだった。(つづく)
(2008.4.19記)
※画像上/備前市天神社の狛犬。備前焼の狛犬を初めて見た。
※画像中/真庭市の町並みを行く。
※宿泊/宿泊/大日高原ビジターハウス宿泊楝(岡山県新見市大佐)素泊まり2500円 ☆☆☆☆★ アパートのような造り、6畳2間、台所、洗面浴室、トイレあり。冷暖房はない。ストーブ、コタツあり。宿泊料金からいえば申し分ないパフォーマンス。



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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