琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート155 看板屋敷再訪 三重・奈良琺瑯の旅

2008.4.12-13
三重県鈴鹿市~津市~松阪市~伊賀市~名張市~奈良県宇陀市~桜井市~高取町~明日香村~香芝市~川西町~大和郡山市


探検レポート155

北陸の探険でいつお世話になっているクエストⅢさんが、東海地方にやってくることになった。
案内役としては、満足してもらうコースを組まなきゃいけない。三重県の看板屋敷や奈良県の酒看板商店を中心に、2日間の日程をフルに回る計画として考えたのがこのコースだ。
私にとっては何度か訪ねた物件もあり、最新の情報を確認することも目的の一つである。 名古屋駅近くのコンビニで待ち合わせ、まずは市内のポイントを何箇所か回る。
「ペコちゃん」が掛かっている菓子店や狭い路地にさりげなく残っている「クレオパトラ化粧品」、綿や風呂釜のレアな看板を案内し、第一弾としては、まずは満足してもらった。
しかし、「清酒玉菊」や「マルカン酢」が貼られた酒屋がすでに取り壊されているのを確認し、ちょっとがっかり。
名古屋高速、東名阪自動車道を乗り継ぎ、鈴鹿市に向かう。
関西本線加佐登駅近くにはクスリや学生服、金鳥などが貼られた看板屋敷があり、クルマを止めて意気揚々と向かったことはいいが、あったはずの場所に屋敷がない!?場所を間違えたのだろうか、付近を何度も往復しながら歩き回るも、やはり無くなっていた。

探検レポート155

いきなりダブルパンチを食らったような感じだが、3年ぶりの再訪なので、気を取り直して、まぁこうしたこともあるだろうと、次の目的地に向かう。
鈴鹿市の庄野宿は小規模ながら東海道の宿場があった町並みが残っているが、ここには「太田胃散」や「ぢ」の看板があり、クエストⅢさんをぜひ案内したかったところだが、2枚の看板ともはがされており、前途多難な雰囲気を更に倍加することになってしまった。
初日からこんな調子では意気消沈してしまうところだったが、津市から松阪市、明和町へと続くポイントには、看板屋敷や酒、酢、調味料、学生服等、あるべきところに看板はきちんと残っていた。
初日の宿は伊賀上野にある老舗旅館に泊まった。
「うちは築100年経ってますんで、天井が低いんで、頭ぶつけないようにしてくださいね~」 ガタ、ビシ、ギィと音が鳴る黒光りする廊下を歩きながら、部屋を案内する旅館の女将さんに言われた。
最も、老舗といえども素泊まりで4000円の宿なので、もちろん期待はしていない。されど4000円である。競争が激しい都市部のビジネスホテルではかなりの快適空間とパフォーマンスを受けることができる。
しかし、この旅館、やっぱりというか、部屋にはエアコンもなく石油ストーブが置いてあったし、私の部屋は仏間だったのだろうか、何だか線香臭かった。その上、テレビはなんとチャンネル式だった(笑)。
しかし、現金なもので、「まぁ、まぁ、まぁ、」と言いながら風呂上りのビールで乾杯をすると、旅館の質のことなどどうでもよくなった。(寝る前にトイレに行って驚いたが、2階だというのに、何と“ボットン式”だった。ひぇ~)

探検レポート155

翌日6時に、女将さんに送られて旅館を後にした。この日は名張市から奈良県に入り、県内の酒看板商店を中心に回るハードなコースなので、朝メシも昼メシもコンビ二で済ませた。
三年前に訪ねて以来ずっと気になっていた高取町の酒屋の看板は全て残っていたし、川西町、安堵町の酒看板も健在だった。
しかし、川西町の文房具屋にあったシェリーの「サクラカラー」は剥がされており、肥料看板を20枚以上貼った屋敷は取り壊されて駐車場になっていた。
他サイトからの情報で気になっていたが、高取町の廃業した自転車屋にあった「あんま散」という超レアもののクスリ看板も、情報どおり、板壁に剥がされた白い跡を残していた。
40年以上貼られていた看板が、ここ2~3年のうちに無くなってしまうということは、考えてみれば異常事態だが、これが昨今の現状である。
都市化の波にさらされて、更地や駐車場になった看板屋敷や、廃業して取り壊された看板商店、何者かに剥がされたレアな看板…仕方がないといえばそれまでだが、ホーロー看板の行く末は、更に暗くなっているようだ。
クエストⅢさんとのホーロー探険もこれが4回目だが、やはり単独で回るよりも楽しいし、探険の効率がアップするようだ。
今回も、過去に何度か通ったコースであるにも関わらず、初見の看板をいくつか見つけることができた。
夕暮れが近づき、19時の高速バスに乗るというクエストⅢさんと名古屋駅で別れた。(さて、次はどこに行こうか)と、久しぶりにホーローの虫がうずいてくるのを感じつつ、家路に向かった。
(2008.5.24記)
※画像上/奈良県桜井市の初瀬街道。13枚もの新聞看板がずらりと並んだ新聞店。
※画像中/三重県松阪市の看板屋敷。「千代田ミシン」が欠落してしまった。



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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