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ホーローの旅

レポート159 北へ、2800キロ野宿旅4 青森~秋田編

2008.5.4
青森県五所川原市~鶴田町~板柳町~藤崎町~弘前市~黒石市~大鰐町~秋田県大仙市


探検レポート159

今日も快晴だ。すばやくテントをたたみ、朝もやが残るキャンプ場を出発。
遠征4日目に入ると、思った以上に疲労が蓄積してきた。肩こりと目の疲れ、そして持病の耳鳴りがうっとうしい。
エラそうに完全野宿の旅を目指しても、もうすぐ50才になろうとする体はついていかない。
体力に自信があり、風呂にも入らずに何日も野宿を重ねて山登りや一人旅をした頃が、今となっては嘘のようだ。
もう無茶はできないかもしれない。そんな弱気が反映したのか、検討していた青森市から八戸方面のルートを捨て、ここから折り返すことにした。
ラッキーなことにその選択が功を奏したのか、五所川原から弘前に向かう国道339号線沿いで、クスリや学生服、お茶、調味料などをゲットできた。
今回の旅で一番お宝の密集度が高かったと思う。 鶴田町から板柳町に南下するにつれて、広大なりんご畑を背景にした岩木山が更に大きく見えてきた。津軽平野を象徴する風景だ。
吉幾三が唄った「津軽平野」という曲があるが、さびの部分しか知らないので、“♪つがるへいやに~~”と、ハンドルを握りながら何度も鼻歌を繰り返す。
弘前市から黒石市にかけては津軽を代表する米どころだけあって、たくさんの清酒醸造元が点在している。

探検レポート159

弘前市内では8ヶ所の酒蔵や醤油醸造元を回るつもりだ。ナビに目的地をセットして効率的に回るルートを考えて、いざ出発。 六花酒造、三浦酒造、杉見酒造、吉井酒造、斉藤酒造…と回っていくが、いずれも立派な建物にもかかわらず、残念ながらホーロー看板は掛かってない。
意気消沈してしまうところだったが、市内で最後に立ち寄った味噌醤油の醸造元の加藤醸造店で、ようやくお宝をゲットできた。
更に、岩木川を遡った弘前市の西にある丸竹酒造で「清酒菊盛」の看板をゲット。岩木山の裾野にある酒屋だけあって、雪を抱いた山頂がど~~んと見えた。
黒石市は“こみせ”(雁木)と呼ばれる店構えが残る町並みを中心に探険をした。
中町筋には、たたみ一畳分もあるような巨大な清酒のホーロー看板を掲げた中村亀吉酒造や、旧家がそのまま店舗になっている肥料店が軒を連ねていた。重厚な雰囲気と凛とした静けさを感じる素晴らし町並みだった。
五所川原、弘前、黒石と満足がいく収穫があり、撃沈状態だった昨日までの状況から少しは救われた気持ちになった。
国道7号線を南下して大鰐町に入ると、秋田県との県境はすぐだ。温泉街をぶらぶらしながら日帰り入浴可能な宿を探すが、時間が早いからか、旅館はともかく公営の浴場も閉まっていた。

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こうなるとホーロー探険そっちのけで、心は温泉巡りに飛んでしまう(笑)。
国道を更に南下した碇ヶ関温泉で、ようやく見つけた公営浴場に飛び込んだ。温まって、冷たいそばなど食うと、全身が弛緩して4日間の疲れもスーと引いていくようだった。
今日の予定は親父の実家がある秋田県角館町泊なので、後はのんびりと向かうだけだが、ルートに選んだ八幡平越えが強烈で、道路は除雪はしてあるものの、玉川温泉に下りるまではひたすら雪の中だった。
午後3時、田沢湖を抜けて角館に到着した。実家では、一年ぶりに会う叔父夫婦が迎えてくれた。今夜は、畳の上でようやく寝れそうだ…。(つづく)
(2008.6.29記)
※画像上/弘前市の西、岩木川に沿った県道28号線から見た岩木山(1624㍍)。
※画像中/青森県黒石市中町の“こみせ”通り。この日は季節はずれの暑さだったが、こみせの中に入ると、肌に触るひんやりとした空気が心地よかった。
※画像下/秋田県鹿角市の八幡平を抜ける国道341号線。玉川温泉に出るまでは、一面の雪原の中を走る。水芭蕉を見に訪れる観光客で賑わっていた。



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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