琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート161 北へ、2800キロ野宿旅6 新潟~長野編

2008.5.6
新潟県新潟市~弥彦村~出雲崎町~刈羽村~長野県中野市~松本市


探検レポート161

快適なシティーホテルを後にする。一晩中降り続いた雨も、ようやく上がった。
新潟市から弥彦村に向かう県道2号線沿いの旧・巻町には、酒蔵が多く残っている。中でも「越後鶴亀」を造る上原酒造の建物は素晴らしい。
入口に掛かる大きな杉玉を中央に、歴史を感じさせる板壁が羽を広げたように続いている。
残念ながら狙いの酒看板の姿はなかったが、こうした建物を見ることができただけでも、訪れた甲斐があるというものだ。
さすがに米どころだけあって、酒蔵の他にも、県道沿いには地酒の直売所もよく見かけた。
しかし、お宝の姿はさっぱりで、弥彦村に入っても、ナビで確認しながら小さな集落を抜け目なく回るが、空振りの連続だった。
これまでの探険では、南北に長い新潟県をいくつかのブロックに分けて訪ねてきたが、今回の探険が過去一番といっていいほど看板密度が低かった。
寺泊町から出雲崎町に続く国道402号線の旧道では、古い町並みも残っているだけに、ロケーション的にはお宝の匂いがプンプンするところであったが、家屋の軒下の修繕用に使われた「うまい酒勇躍」を一枚見つけたのみだった。
午後を回り、刈羽村のコンビニで水やスナック菓子を調達し、北陸自動車道西山インターから一路長野県を目指した。
最近のホーロー探険のスタイルでは、時間をかけて昼食を摂ることもなくなった。ハンドルを握りながら、もっぱら、おにぎりやスナック菓子を頬張るパターンである。
時間が惜しいわけではないが、一人だとどうしてもこんな感じになってしまう。
運転中に眠気が襲うと、せんべいやあられもバリバリやる。気がついたら一袋を食べてしまうから、メタボ体型が改善されないわけだ(笑)。

探検レポート161

上信越自動車道を信州中野インターで下り、長野電鉄の桜沢駅を目指す。さすがに信州を代表する果物地帯だけあって、一面のりんご畑が覆っている。
情報によると、桜沢駅付近には「ケンシポマード」の看板が貼られた民家があると聞いた。この看板は「ケンシ」が三文字と、「ポマード」が一文字づつ貼られた単体タイプなので、欠落せずに残っていること自体が珍しいが、桜沢の看板は完全体らしい。
それから一時間近く、線路から外れないように迷路のようなりんご畑で右往左往しながら目的の民家を探すが、結局見つけることはできなかった。
しかし、緩やかに続くりんご畑の斜面をどんどん登っていった先の民家で、偶然にも「本吉乃川」という小布施町の地酒看板を見つけることができたのはラッキーだった。
帰路は松本インターで下りて、前回の探険で撮り逃がした村井町にある笹井酒造の地酒看板「笹の誉」を撮影して、家路に着いた。
6日間の長丁場、体調もいまひとつの状態でのひとり旅、しかも、後半は軟弱になってしまう野宿旅という探険だったが、無事2600キロを走りきることができたのが、素直にうれしい。
年々、お宝たちが消えていく状況にあっては、今回の探険は上々の成果だったと思っている。次回同じルートで訪ねたとしたら、更に厳しい現実が待っていることだろう。
北の国のうららかな春の陽光と、爽やかな風に、思う存分戯れた6日間だった。(おわり)
(2008.7.19記)
※画像上/新潟市の上原酒造。大きな杉玉がいくつも下がっている。歴史を感じる建物である。
※画像下/上信越自動車道妙高SAから見た妙高山(2454㍍)。残雪がしっかり残っていた。
※宿泊/万代シルバーホテル(新潟市)シングル素泊まり4200円 ☆☆☆☆★ 駐車場が離れているのがマイナス。施設は少々古いが清潔。近くには商業施設もある。



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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