ホーローの旅
レポート162 ごちゃまぜミニ探検9
2008.1.19-6.8
愛知県西尾市、岡崎市、名古屋市、岐阜県多治見市、石川県金沢市、能美市、白山市、愛知県瀬戸市
ここ一年、出張先でホーロー看板の姿を見つけることが困難になった。
「ごちゃまぜミニ探険」も9回目を数えるが、それを反映するかのように、旅先で撮ったデータが溜まるまでの期間が長くなってきた。
5月に北陸在住の看板マニア・クエストⅢさんと訪ねた石川県能美市は、それでもまだお宝の姿を見ることができた。しかし、つい数ヶ月前まであった「ゼネラル洗濯機」の大型看板が剥がされていたり、現実の厳しさを目の当たりにもした探険だった。
それにしても、なぜあんなに大きな看板を剥がして行くのだろう…欲得のない私たちは単純に思ってみるのだが、闇に動く輩たちには、少しでも商売に結びつくものがある限り、そんな理由は当てはまらない。
今頃は、どこかの骨董屋の軒先に積まれているか、最近増えてきたレトロな雰囲気を演出した居酒屋の壁を飾っているかもしれない。
かつては、電車の車窓から看板を探すのは、出張の楽しみの一つだったが、最近では、あったはずの看板が無くなっていることに嘆いてばかりで、今ではなるべく看板を探さないようにしている。
北陸本線の高月駅からすぐの線路沿いにあった看板屋敷も、気づいたときには建物もろとも無くなっていた。
まだ冬の名残りが漂う景色の中、看板が貼られた建物を覆っていた枯れ草を、手作業で除去して写真を撮ったことが、つい昨日のようだ。
こうして、時代は過ぎて行くのだろうか。気づいたときには、お宝が存在した形跡すら無くなってしまうのだろう。
3月に訪ねた名古屋駅から至近距離にある屋敷は、まさに奇跡的といってよい程のロケーションにあった。都心の喧騒をよそに、戦災で残った町の一角に、そこだけがまるで異空間のような雰囲気に満溢れていた。
「鳩サクラ学生服」と「福壽わた」の2枚の看板が、いつまでも残って欲しいと、節に願わずにはいられなかった。
(2008.7.27記)
※画像上/東海道有松宿の町並み。名古屋市緑区。
※画像下/忠臣蔵の吉良上野介で有名な吉良町の町並み。三河湾から引いた運河に沿って、整然と小規模な町並みが並んでいた。昔は小さな商店をやっていたような家屋もあり、一軒一軒、根気よく探すと、「東邦瓦斯製品」の看板を見つけることができた。