琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート166 ぶらりと富山、真夏の探検

2008.7.21
富山県富山市~魚津市~黒部市~宇奈月町~入善町~射水市


探検レポート165

金沢駅から乗り換えた特急「はくたか」が、深く濃い緑の風景を疾走し、ゆっくりと富山駅のホームに滑り込んだ。
富山駅起点のホーロー探検は初めてである。まずは腹ごしらえということで、レンタカーを発進させた。
灯火に飛びこむ虫のように、なぜか吸い寄せられてしまう富山ブラックラーメンの老舗「大喜」へ。
血圧を気にする人にはお勧めできない、塩っ辛いスープが胃に沁み込む。「うー、しょっぱい!」店のパンフにも「スープは残してもいいです」とある。
確かに、これは全部飲めない。海水に濃口しょうゆを混ぜたような味なのだ。 しかし、一度体験したら忘れられない味でもある。メタボ予備軍の私には辛いラーメンだった。
さて、ホーロー探検隊のクルマは、富山市内を抜けて魚津市を目指す。
途中に寄った水橋という町には、昭和の匂いがプンプン漂っていた。
小さな運河にかかる橋を渡った辻に、建物全体が赤錆色に染まった自転車屋があった。
入り口にはホーロー看板が2枚掛かっていた。そのうちの1枚はおそらく「サン號自轉車」だと思うが、残念ながら全体が隠れて見えない。
撮影許可を貰うため、ガラス戸が閉まった店内を覗いてみると、誰もいないようだった。(仕方がない、撮り逃げしようか…)とカメラを構えたときに、自転車に乗った店主(お婆さん)のお帰り。お婆さんの怪訝そうな視線が絡みつき、どうにも、決まりが悪かった。

探検レポート165

レンタカーで回るといえども、日没まで半日しかないので、効率よくコースを組み立てる。
まずは魚津市中心部だが、これまでの探検でもほとんど収穫がなかったが、今回についても例外ではなく、地酒や醤油の醸造元を回るも空振りだった。
次に向かったのが、黒部市から宇奈月町。富山地方鉄道に沿って走る国道の旧道には思った通りお宝の姿があった。
ここまで来ると北アルプスの玄関口らしく、立山の前衛の山々や、剣岳の稜線に一直線に切れ込む沢が見えてくる。
夏草が茂る線路の脇に立つと、肌を刺す熱気と共に、錆と油の匂いが鼻についた。 鉄道は宇奈月から更に奥まで延びている。
黒部川に沿って走るトロッコ電車=黒部峡谷鉄道であるが、人が住む町はここまでなので、宇奈月駅から折り返すことにした。
黒部市からは、緑一色に敷かれたじゅうたんのような田園風景を突っ切るように入善町を経由し、富山湾に出た。
富山市岩瀬町は江戸時代に北前船が着く港として栄えた町で、廻船問屋や清酒の蔵元など古い町並みも保存されている。しかし、お宝の姿はなく、ぐるりと一周して新湊に向かった。
新湊の一番の魅力は、町を南北に分ける運河を挟んで、碁盤の目の中にぎっしりと小さな商店が詰まっていることだろう。
道幅が狭いので一方通行になっているが、昭和の匂いが漂う商店が軒を並べる。時間をかけてじっくりと探したいところだったが、投稿者の“さっさと成政”さんに教えていただいた看板商店を撮影し、適当に流して町を出た。
運河に係留された漁船に、夕陽が反射して輝いていた。 たった半日のホーロー探検だったが、富山の山と海、そして田園風景を目に焼き付けた、夏の日のささやかな思い出となった。
(2008.8.24記)
※画像上/入善町から遠く剣岳を望む。稲の緑が眩しかった。
※画像下/射水市新湊町の真ん中を横断する運河。夕暮れ近く、小さな漁船がずらりと係留されていた。



2008年探検レポートへ

Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


琺瑯看板探検隊が行く
SINCE 2005.3.17