ホーローの旅
レポート171 夏の終わりのさいはて探検1 千歳~札幌編
2008.9.3
北海道千歳市~恵庭市~長沼町~由仁町~栗山町~札幌市
雨の名古屋を早朝出発し千歳空港に着いた。
晴れの予想は見事にはずれて、雨が降っていた。 これから僕の遅い夏休みが始まる。全国ホーロー行脚の総仕上げとしての最終目的地、北海道の探険が始まるのだ。
出発前日、カミさんに手伝って貰い、持って行く服や下着、洗面用具などをバックに詰めた。
9月始めの北海道は寒いだろうか、それとも本州と同じように残暑が厳しいのだろうか。この時期に行った経験はあまりないのでよく分からない。
荷物の量を左右する着替えは極力少なくしたいので、会社の北海道支社の同僚に電話をかけたりして情報を集めた。
結局、4日分の着替えは、半そでのTシャツ2枚と長袖のシャツ1枚で落ち着いた。
思った以上に肌寒い霧雨が視界を塞ぐ空港線を、千歳の町に向かう。まずは腹ごしらえだ。
今回の旅の目的はホーロー看板を見つけること、もうひとつは、3日目に北海道支社の仲間と札幌で合流して飲み会をすること、そして、北海道ラーメンを食いまくること…この3つである。
昨年の四国さぬきうどん勝負(2日で4杯)のときもそうだったが、並んでまで食べるような有名店には興味がない。行き当たりばったりで見つけた店が旨かったらラッキーというのが信条である。
最初に見つけた店「ラーメン山岡家千歳店」に入る。札幌では最近出店が著しいチェーン店である。腹が減っていただけに、まぁまぁ旨かった。
さて、腹ごしらえも済んで、“さいはてひとり探険隊”(笑)のレンタカーは恵庭市を目指す。
千歳から札幌までのエリアはまったく情報もないので、匂ってきそうな方角に適当にハンドルを向けるだけである。
横殴りの雨が一段と激しくなり、風も強くなってきた。初日からこんな天気では思いやられる。
それでも、千歳から郊外に出ると、北海道特有の大地が広がってきた。ほんの少し色づいた一面の田んぼに遠くポツンと見えるは、いかにも北海道といった農家の小屋。
もう少し、背景になだらかジャガイモ畑なんぞあったら、まさに「北の国から」の世界ではないか。
まぁ、そんなことに感動してばかりいられないが、シャツがまくれ上がるほど、とにかく雨と風が強い。
JR恵庭駅に着くと、看板屋敷が視界に入った。ラッキーである。
「金鳥」「日の出桜学生服」、欠落した「オヤコわた」がかろうじてへばりついてた。昔はいっぱしの看板屋敷だったのだろう。はがれ落ちた看板の跡が白くくっきりと残っていた。
北海道上陸第一号に気をよくして、長沼町に向かう。さすがに北の大地だけあって、市街地といえども道が広い。冬の間は積雪でどんどん道幅が狭くなるためだろうか。
歯が抜けたように民家が建つ殺風景な景色の中に、「オヤコわた」が貼られていた。わた看板に興味がある僕としてはうれしい一枚である。(これ以後、同じ看板をこれでもか!と見かけた)。
由仁町や栗山町も同様に「オヤコわた」と、しつこいくらい多く貼ってあるお茶の看板を見かけた。
札幌市に入り、北海道の看板マニア・さとうさんから教えていただいた看板商店に向かう。
風は収まったが、雨はしつこく落ちている。 目的の商店に行って、唖然。なんとびっしりとツタに覆われてた。
「壽味噌」「キッコーニホン」「清酒千歳鶴」というレアな3枚が、ツタの餌食になっているではないか!ここにハシゴがあるなら、何も考えずに登っていて掃除をするところだ(笑)。
それにしても時期が悪かったようだ。今度訪ねるときは冬しかない。何とか出張を作り出して再度チャレンジしてやろう。
札幌市内のホテルに投宿して、しばらく窓から外を眺めていた。雨は激しくなったり、小降りになったりを繰り返すうちに、ススキノにネオンが灯り始めた。
しつこかった雨もようやく上がり、明日からの探険に大いに期待が膨らむのだった。(つづく)
(2008.10.13記)
※画像上/恵庭市郊外の風景。北海道らしい景色が広がった。雨と風に少しだけ色づいた稲がサワサワと揺れていた。
※画像中/栗山町の小林酒造。「風紋北の錦」が主要銘柄。明治11年創業。
※画像下/千歳市「ラーメン山岡家 千歳店」 味噌ラーメン590円