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ホーローの旅

レポート186 幻のカブトビール発見!岐阜県酒蔵探検

2009.2.22
岐阜県土岐市~川辺町~八百津町~坂祝町~関市~美濃加茂市


探検レポート186

「どうぞ、こちらへ」
蔵の入口からのれんをくぐり、更に奥の部屋に案内された。
「おおっ!」思わず声に出した。 そこには4枚の看板がずらりと貼られていた。
「平和錦」「麻の露」「金泉」はいずれも右から左読みのロゴ。“美濃下麻生 前島酒造場”の銘が入っている。
そして真っ赤な大型看板は、なんと幻の「カブトビール」だった。
今にも雪が舞いそうな寒い日だったが、私の身体には電流が駆け抜け、一気に加熱したような興奮状態になった。
最近マンネリ化してきた酒蔵めぐりも、ここ、平和錦酒造(岐阜県川辺町)が救ってくれた。まさに大ホームランをかっとばした気分だった。
店主の話では、いずれの看板も戦前のもので、「前島酒造」は旧の社名だという。
また、「カブトビール」は戦前から蔵の中に転がっていたという。どういういきさつで「カブトビール」の看板があったのか、今となっては分からないという返答。
「カブトビール」は明治29年に東京のエビス、ヨコハマの麒麟、大阪のアサヒに対抗して、愛知県半田市で丸三麦酒が製造を始め、昭和8年まで造っていたビールである。
今でも半田市に赤レンガでできた当時の建物が残っている。
「カブトビール」の看板は骨董屋や資料館などで見たことがあったが、実際にホンモノに遭遇したのは初めてだった。

探検レポート186

戦前モノは現存するお宝そのものが少なくなっているので、幻の看板ともいえるのではないだろうか。
この日は、岐阜県東濃地方を中心に15軒の酒蔵を回ったが、期待した割りにホーロー看板が残っている蔵は少なかった。
中には薄暗い空間にライトアップした雛人形を飾った蔵があったり、試飲を盛んに勧められた蔵もあった。
最近では、商店もしかり、酒蔵でさえ店内に入って看板の有無を確認しなければ、ホーロー探検は難しくなってきた。
かといって、酒蔵に入るには敷居が高く、店主に「看板ありませんか」…と単刀直入に聞くのも、ヘンなオヤジだという印象を与えかねない。
取っ掛かりにひと通りお酒の話をして、さりげなく看板の話にもっていく…というのが常套だが、結局は欲しくもないお酒を最後に買ってしまうハメになるのはどうしようもない。
まだまだ私の、酒蔵めぐりのホーロー探検は続きそうだ。
(2009.3.22記)
※画像上/岐阜県八百津町の酒蔵・山田商店。明治元年創業、代表銘柄は「玉柏」。ホーロー看板は美濃地方の広範囲に残っている。
※画像中/川辺町の平和錦酒造。創業160年の酒蔵。蔵の前には旧飛騨街道が通っている。



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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