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ホーローの旅

レポート198 定額給付金で行く、雨の富山紀行

2009.5.29-30
富山県上市町~魚津市~高岡市~富山市~射水市~小矢部市


探検レポート198

地域振興券、ふるさと再生資金に続く自民党の思いつき景気対策の一環、定額給付金を当て込んで富山を旅した。
ETC割引、旅館代、昼食代、黒部峡谷鉄道…と、夫婦二人で予算24000円で納めようといろいろプランを練ってみたが、結局は大きく上回ってしまった。
振り返ってみれば二日続きの冷たい雨となったが、まぁ、それを差し引いても久しぶりの夫婦旅行を楽しんだ週末となった。
自宅を出て東海北陸自動車道に入り、一路富山を目指す。
全線開通したおかげで3時間かからずに富山市に着いた。まずは昼食ということで、回転寿司の「すし食いねぇ」へ。
この店は、競争が激しい北陸の寿司業界で勢力を伸ばしているチェーン店だが、氷見港直送の新鮮なネタが受けて、地元では一番の人気店である。
11時を回ったばかりだというのに、すでに満員の盛況だ。
富山に来たらやっぱり白海老でしょう…ということで、ボリューム満点の軍艦巻に舌鼓を打つ。

探検レポート198

今でこそホタルイカと並んで富山を代表する高級食材となっているが、まったく知られていない10数年前は、桜海老を真似て、わざわざ紅色の着色をしてこの海老を出荷していたという。
お腹もいっぱいになって、さて…ということで、次は黒部峡谷鉄道のトロッコ電車である。
あえて書かなかったが、今回の旅は観光80%、ホーロー探検20%である。
ここらでカミさん孝行しとかなきゃぁ、今後の勝手気ままなホーロー探検は実現しない(笑)。
黒部峡谷を走るトロッコ電車の出発点である宇奈月駅につき、黒部川電気記念館を見学していよいよ乗車。
学生時代に北アルプスを縦走して終点の欅平駅から乗ったことがあるが、あれからすでに30年が経過している。時代とともに黒部は大きく変わったのだろうか。
あいにくの雨模様だったが、トロッコ電車は黒部川に沿ってのんびりと走っていく。
黒薙、猫又、鐘釣とV字谷の切れ込みが深くなるにつれ、新緑と雪渓を擁いてそびえたつ岩壁が目にまぶしい。初めて乗車したというカミさんも大はしゃぎだ。
終点の欅平に着き、傘を差して付近を散歩した。足湯に浸かったり、霧で霞んでいる奥鐘山の岩壁を仰ぎ見たり…。
山登りに燃えていた頃は、黒部の谷や岩壁をやることは自分にとって大きな目標だった。中でも黒部川から直接突き上げる奥鐘山の西壁は日本を代表するビックウォールで、クライマー憧れの難ルートがひしめいている。
また、黒部川支流の柳又谷や北又谷、劒沢はエキスパートにだけ許された沢登りの難関ルートである。

探検レポート198

つい数年前まで、眉間にシワを寄せた厳しい表情でこうした山に挑んでいた自分が、今はカミさん連れで、傘差して、ポロシャツ着て、カメラを首から提げて足湯に浸かっている(笑)。
今となっては、隔世の感を埋めることはできない。弱さが染み付いた自分には、もう、戻ることができない世界だ。
初日はトロッコ電車を満喫して魚津市の温泉旅館に泊まった。給付金の範囲内でケチったとも思えない内容で、料理も部屋も温泉も素晴らしかった。
二日目。魚津埋没林博物館を見学したあと、20%のホーロー探検に向けて雨の中を出発。例によってカミさんは、膝に地図を乗せたナビ係だ。
富山のホーローマニア・さっさと成政さんに教えていただいた物件を柱に回っていく。 単独の探検では当然のごとく、パイオニア精神を振りまきながら集落や路地の奥にまで入っていくのだが、カミさん連れではそうもいかない。
意外性は少ないが、さっさと成政さんに感謝しつつ、“あるべきところにある”お宝を撮っていく。
更に観光80%を念頭に置かなければならぬので(笑)、昼食は富山のブラックラーメン、高岡市では高岡大仏の見学といった具合にハンドルを握っていく。
ホーロー探検には少しばかし不満も残ったが、カミさんの笑顔も見れたし、何よりも雨に濡れた黒部の新緑が素晴らしかった。
一方で、悪政の象徴のような定額給付金の恩恵をちゃっかり利用して、そしてこんなレポートを書いている…いやはや、小市民のなにものでもない。
(2009.9.13記)
※画像上/富山県小矢部市郊外の風景。雨がようやく上がって、麦畑に日が差し込んできた。
※画像中/黒部峡谷鉄道 欅平駅。あいにくの雨だったが、新緑の蒼さが目に鮮やかだった。



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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