琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート251 小豆島→高知ホーロー紀行2 高松~高知縦断編

2011.8.19
香川県高松市~坂出市~綾川町~丸亀市~多度津町~まんのう町~徳島県三好市~高知県大豊町


探検レポート251

「ゲンキ・デ・ネ~」
カタコトの言葉を叫びながら、私たちのすぐ横で女の子が手を振っている。
岸壁には彼女たちを送り出す人々。皆んな、優しい笑顔で手を振り返している。
午前8時35分、高松に向かうフェリーが土庄港をゆっくりと離れた。
すぐに青い空と海の色が混ざり始め、白く続く航跡を残して、小豆島は背後になった。
夏休みの研修か、それとも交換学生だろうか、つい先ほどまでデッキで手を振っていた女の子たちは、にぎやかな笑い声ではしゃいでいる。
「若いっていいなぁ」と、カミさんと感心しながら瀬戸内に浮かぶ小島を見ていた。
高松港に着岸し、いよいよ四国本土の旅が始まった
。目指すは高知県。ホーロー探検としても2回目だが、今回はJR土讃線に沿って南下していく。
祖谷渓の「大歩危」、「小歩危」や「かずら橋」といった名所も外せないので、ホーロー探検半分、観光半分の一日になりそうだ。
まずは高松近郊の物件を回る。何といっても市内にあった食品問屋の倉庫が圧巻だった。
撮影許可を貰った事務所の方たちも気さくで、どうぞお好きなように…と言わんばかりに、放置プレイ状態で撮影をさせていただいた。
中でも「ローヤルクラウンコーラ」の看板には缶のイラストが描かれており、調べてみると、日本初の缶コーラとして発売されたものだった。

探検レポート251

1961年4月より壽屋(後にサントリー)が販売を開始し、192ml入りのフラットトップ缶は当時40円。
加山雄三・星由里子を起用した広告には「すぐ冷えます かさばりません 軽くて携帯に便利です」とその利便性が述べられている。
今は国内市場から消えてしまったブランドだが、過去のホーロー探検ではよく遭遇してきた看板だけに、販売戦略やその歴史にも興味が沸く。
高松近郊ではこれに気をよくして、投稿者の皆さんからいただいた情報をもとに肥料看板の倉庫や、光洋ミシン2枚貼り屋敷など順調にゲットすることができた。
丸亀城を横目で見ながら丸亀市の中心部を目指す。ここには私にとって2つのいわくつき物件がある。
1つはアーケード商店街にある食料品店。過去二回の訪問は、いずれも休業日でシャッターが下りており悔しい思いをした。今回はばっちりであった。
「月美人印コショー」や「ベルマークカレールウ」などレアモノの看板が柱に貼られてた。
元気の良いご主人に撮影許可をお願いすると、どうやら決定権は奥さん側(?)にあるようだった。「どうする?」という感じだったので、一瞬(ヤバイな、コレ)と思ったが、それも杞憂に終わり、快く撮影をさせていただいた。
次に訪ねたいわくつきの物件だが、スバリ!「ボンカレー初期型タイプ」である。
松山容子が白い着物を着たタイプで、看板に写っているのは透明パウチというシロモノ。
おそらく全国でもここを入れて3枚しか残っていない物件である。この店には過去二回訪ねて、2回とも休業中だった。

探検レポート251

今度こそは…と思ったが、…やはり今回も撃沈。残念ながらシャッターが下りていた。
こうした例は他にもあるけど、はるばる海を渡ってきて、意気揚々と訪ねてきただけに結局縁がなかった結果となってしまった。
さて、丸亀の結果は一勝一敗だったが、まだまだ先は長い。気を取り直して、いよいよ高知に向けてハンドルを切る。
多度津町からまんのう町を経由し、徳島県に入り旧池田町を吉野川に沿って南下していく。
途中、国道32号線沿いの小さな集落でキッコーマンや清酒金陵など5枚の看板が貼られた屋敷を見つけた。
JR土讃線からは遠く、国道からも外れているロケーションだが、それでもあえて看板を貼った意味があったようだ。
今となっては分からない。 大歩危、小歩危を過ぎ、祖谷の町を「かずら橋」に向かった。
かつては祖谷の町並みにも地酒やオロナミンCのホーロー看板が貼られていたようだが、一枚も残っていなかった。
かつて、平家の落人が切り開いたという急斜面に点在する集落の風景は驚きでもあるが、あわよくば、そうした集落の中にまで身をおいて、ホーロー看板を探してみたいという衝動を感じる自分に半ば呆れてしまった。
まだまだパイオニア精神とチャレンジ精神が旺盛なのである。
この日は「かずら橋」を見学してホーロー探検を切り上げたカタチになったが、高知市内まではずいぶん遠く感じた。
高知城が見えてきた頃にはすっかり陽が落ちて、前を行くクルマのテールランプの赤色が、やけにまぶしく感じる一日の終わりだった。(つづく)
(2012.1.14記)
※画像上/祖谷渓「かずら橋」。橋は長さ45㍍、幅2㍍、谷からの高さ14㍍で日本三奇橋の一つ。橋を渡るのには料金1000円必要。
※画像中/高松港が近づくと、小豆島を往復するフェリーとすれ違った。真っ青な空と海の色が、一雨きそうな鉛色に変わった。
※画像下/坂出市の「山下うどん」。何度もリピートしているご贔屓店。自分でおろし金ですったしょうがを入れる。爽やかな食感。
※宿泊/コンフォートホテル高知駅前。一泊朝食サービス2名5600円。破格です。夜ははりまや橋近くの居酒屋で土佐料理で一杯。☆☆☆☆★



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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