琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート252 小豆島→高知ホーロー紀行2 高知探検編

2011.8.20
高知県香美市~津野町~本山町~土佐町~いの町~日高村~佐川町~仁淀川町~土佐市


探検レポート252

高知県は広く大きい。地図を眺めるまでもなく、そう思う。
一日で回れるエリアはたかが知れているが、限られた時間のなか、少しでも成果を出したいのが本音。
山間の小さな集落に人知れず眠っているお宝を発掘することを想像しただけでも、心の躍動を覚えずにいられない。
いろいろ検討した結果、高知市から徳島方面に戻り、大豊町、津野町、四万十川の源流を経由して土佐市に出るコースを考えた。
最もナビ役のカミさんの機嫌を取ることも大事なので、明るいうちには帰ってきて、高知城の見学もプランに入れることにし、3日目の探検がスタートした。
まずは国道195号線を香美市(旧土佐山田町)に向かう。
空はどんよりと曇っており、天気はいまひとつ。つい先週までは天候も安定してうだるような夏空が列島を支配していたのに、そろそろ季節の変わり目を迎えようとしているのか、夏の終わりが近づいてきているようだ。
「清酒まつおきな」の看板をずらりと並べたトタンの塀が味気ないが、土佐山田を代表する酒蔵、松尾酒造は、交通量が多い国道沿いに老舗の風格を漂わせて佇んでいた。
くすんだ鉛色の屋根瓦のコントラストと、漆喰の土蔵が素晴らしい。14枚も貼られた看板にも蔵の自己主張が垣間見えた。
酒蔵が年々消えていくご時勢でも、努力を惜しまず頑張っている姿勢に頭が下がる。
クルマは国道32号線に入り、JR土讃線に沿って北上した。

探検レポート252

小さな集落も現れて、お宝の匂いも感じるロケーションなのだが、まったく見つけることができないまま、「道の駅大杉」まで来てしまった。
ここには樹齢3000年の年輪を刻むという国の特別天然記念物に指定された杉の大木がある。
実際に見てみると、周囲が20㍍、高さが60㍍もあるというとてつもない大きさだった。
何でもその昔、美空ひばりが日本一の歌手になれるようにと祈願したこともあるようで、その歌碑もあった。
改めて言うが、カミさん連れのドライブである。ホーロー探検からは外れてしまったが、“半分観光”の路線も悪くない。
道の駅が出てきたらお土産品コーナーや産直コーナーを覗き、博物館があれば寄り道をし、のんびりとハンドルを握った。
本山町から土佐町、いの町にかけては小さく密集した古い町並みの中にお宝の姿があった。
中でも、目に鮮やかな黄色が眩しい「清酒花の友」の看板は、いたるところに残っていた。
昭和19年に高知市・長岡郡・吾川郡・土佐郡の28の酒蔵が統合して創立した高知酒造の銘柄であるが、現在は商標登録不備の状況となって廃止されたいわくつきの酒である。
一枚の看板からこうした歴史が見えてくるのも興味深い。

探検レポート252

更に佐川町では高知県随一の規模を誇る司牡丹酒造を訪ねた。あわよくばホーロー看板も貼られているのでは?と期待したが、残念ながら巨大な蔵には一枚も姿がなかった。
しかし、そこは創業400年を誇る歴史のある蔵。重厚な蔵の外観が溶け込んだ風景を見るだけでも価値があった。
坂本龍馬の生家との関係や、現代では高知出身の作家・山本一力の時代小説にも度々登場する有名蔵だけに、自分にとってはインパクトのある訪問となった。
話は脱線してしまったが、高知の探検はまだまだ続く。
佐川町から仁淀川町を経由して、曲がりくねった県道378号線を南下して東津野村に入ったところが四万十川の源流だった。
周りには集落も何もなくぽつんと標識が立っているだけだが、よくぞここまでやってきたなぁ…というのが実感。
これもホーロー探検からは逸脱した道草になった。
これといった収穫もないまま探検も後半戦となり、津野町(旧葉山村)からは国道197号線に乗って土佐市を目指したが、“匂う集落”を丹念に探していくも、お宝にめぐり合うことはほとんどなかった。
最も、夕暮れが近づくにつれ、高知城の見学時間に間に合うかどうか気になってしまい、最後は看板探しどころではなく、時計とにらめっこで高知市に向かうことになった。(つづく)
(2012.1.24記)
※画像上/司牡丹酒造の蔵の外観。これはほんの一角。規模は巨大だ。佐川町。
※画像中/仁淀川町長者で見つけた床屋。「美髪舘」と書かれた屋号がレトロ。
※画像下/四万十川源流の案内標識。周りは山林に囲まれたロケーション。東津野村。
※宿泊/高知龍馬ホテル。一泊朝食サービス2名5500円。激安、しかも快適。申し分のないパフォーマンスです。☆☆☆☆☆



2011年探検レポートへ

Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


琺瑯看板探検隊が行く
SINCE 2005.3.17