琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート277 諏訪湖から身延山へ~コスモス街道を行く 後編

2012.10.7
山梨県甲府市~市川三郷町~身延町~静岡県静岡市


探検レポート277

部屋の窓からカーテン越しに外を見ると、雨で煙る一日の始まりが見えた。
まぶたを閉じて、寝坊を決め込む。天気予報は晴れるといっていたので、そのうち雨も上がるだろう。
小降りになったのを見計らって、8時過ぎにホテルを出た。まずは昨日の続きである。
縁起を担いで県民文化ホールの同じ場所にクルマを駐車し、自転車を組み立てる。
雨具代わりのウインドブレーカーを着て、雨よけの帽子をかぶって小雨の中を出発。
今日は午前中いっぱいを使って、甲府駅から北川の町名看板を探すことにする。
ビルや病院、飲食店に挟まれた民家のコンクリート壁や柱に、目指す看板は次々と見つかった。
情報を手繰って見つけたものよりも、偶然に見つけたものはその何倍もうれしい。単純なことだが、“モノを探す”という行為そのものに、ホーロー探険の醍醐味を感じる。

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新たな家電名が入ったバージョンは見つからなかったが、ナショナルの町名看板が10枚と、証券会社や商工金庫がスポンサーになっているものを2枚見つけることができた。
延べ1日をかけた自転車作戦での町名看板探しだったが、ことナショナル看板に関しては、まだまだ残っているのではないかと思う。
今回見つけたものは合計で33枚となったが、甲府駅を中心に広範囲に貼られていることを考えると、住宅地の狭い路地までくまなく探せば新規発見も更に増えると思う。
いずれせよ、この楽しみは次まで取っておく。
午後を回り、甲府市を離れ身延町に向けて南下する。雨は上がったが、西に見える南アルプスの山襞には厚い雲が麓まで覆っている。
平成の合併で市川三郷町となった旧・六郷町や旧・下部町に立ち寄っていくが、JR身延線の某駅前で「世界最長地下タビ」を見つけた時には、思わず苦笑。
2005年の6月に逆ルートで探検した際に、この看板に出遭ったことを思い出してしまったからだ。
2005年はホーロー探険を始めた最初の年で、とにかくやみ雲に出かけるばかりで、地図に走破した経路を記していなかったし、もちろん見つけた看板の場所もメモしていなかった。
しかし、今頃になってこうした“いい加減さ”がひんぱんに出てくることになる。これまでにも同じ道を何度も走っているし(随分走ってから気づく)、やったーと思って見つけた看板が、すでに同じ場所で撮影済の看板だったということが何度もあった。

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探険を初めて3年ほど経ってからその失敗に気づき、県別マップルの地図に走破した経路をマーキングすることにしたが、それも対象次第で、例えば京都市内で仁丹を探す地図には、路地の一本一本までマーキングすると、最後には真っ赤になってしまうため、面倒なのでマーキングはしていない。
結果、同じ道を何度も歩くことになる。
国道52号線から県道805号線に入り、日蓮宗総本山の身延山久遠寺を目指す。寺の参拝はパスし、宿坊が並ぶ道を横目に門前町に急ぐ。
道を挟んで両脇に旅館や商店が並ぶなかなか雰囲気があるロケーションだったが、見つけたお宝はボンカレーのみだった。
次に向かったのが、更に山奥に入ったよろづやである。ネットで拾った情報であるが、高く積まれた石垣の上にある店にはクレパスや醤油の看板が軒に下がっていた。
山里の戸数が数戸しかない小さな集落の中にある店だが、店内にはパンや菓子、日用品が申し訳程度に並んでいた。
簡易郵便局も営んでいるようだが、一日に何人のお客が来るのだろう。生活は成り立つのだろうか…余計なことだが、そんなことも気になってしまった。
2日をかけたホーローの旅もいよいよ終盤である。

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県境を越え静岡県に入ったところで、「第百生命」と「赤玉フトン袋」が貼られた農家を撮影した。
茶畑に囲まれたのどかな景色の中、道路に面した家の壁には干した玉ねぎがずらりと軒に下がっていた。
ずっと以前に淡路島で見た風景を思い出したが、ここは静岡県である。日本は広い。
旅の最後は、旧・清水市の町名看板を撮影し終了した。
計画通りに新清水インターから4月に開通したばかりの新東名に乗り、間近に見える富士山の雄大な姿を見ながら帰還した。
天気予報は外れることなく、秋晴れとなった。(おわり)
(2013.2.16記)
※画像上/雨は上がったが、西に見える南アルプスの山襞には厚い雲が麓まで覆っていた。
※画像中/身延山久遠時の門前町。旅館や商店が並ぶ。参拝客の姿はなかった。(山梨県身延町)
※画像中/山里の小さな集落にもホーロー看板の姿があった。山梨県身延町。
※画像下/軒先に玉ねぎを吊るした農家。ネットで保護しているところを見ると、イノシシの被害があるのだろうか?



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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