琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート278 京都へ~仁丹看板を探せ!年末年始編1

2012.12.15-16
大阪府阪南市~泉南市~京都府京都市


探検レポート278

京都市内に残る仁丹の町名看板を研究する集まりである「京都仁丹樂會」が行った2012年8月の調査によると、仁丹看板の確認枚数が木製を入れると1312枚(昭和62~)、現存枚数が728枚あることが分かった。
これはダブりも入れた数字であり、1312枚の中には埋蔵モノと呼ばれる屋外に出ていないものが97枚あるという結果である。
現存枚数の中には2010年の「京都琺瑯町名看板プロジェクト」で復活した平成モノも10枚含まれている。
さて、この数字を踏まえて、これまでに私が京都市内で見つけた枚数を数えると、270枚たらずであることが分かった。
2005年から京都を訪ねるたびに撮影してきたが、どちらかというとやみ雲に見つけてきた結果なので、随分と雑な探し方をしてきたようだ。
冷静に考えてみると、まだ450枚は未撮影のままである。基本的に仁丹看板は、看板に表示されたその場所に行けば“あるはず”だから、逃げていくわけではあるまい…。
しかし、この考えが甘いことに気づいた。ここ数年でも加速度がつくほどに看板の消失が相次いでいるらしい。

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リフォームや区画整理による家屋の取り壊しによる消失を筆頭に、ひょっとしら盗難もあるかもしれないし、家人が捨てたケースも多い。
埋蔵モノにはオークションに流れているものもあるという。 …こうなると居ても立ってもいられなくなった。
11月から12月にかけて、まずはリスト作りを開始した。仁丹看板探索の先輩であるTMさんのサイトに収録された画像と、私がこれまでに撮影してきた画像、更に他サイトの情報を加味し、Excelで行政区ごとにシートを分けてリストを作成した。
次に看板の場所を地図にプロットし、12月に入ってようやく自家製の「仁丹看板探険リスト」が完成した。
何しろ、400枚以上を撮影するのが目標なので、かかる日数も1日や2日では無理である。
青春18切符を活用して12月に1日、年明けの正月休みに3日、そして春の18切符シーズンの3月に3日、のべ7日を探険にあてることにした。
更に、京都市内をいくつかのブロックに分け、探険手段はレンタサイクルとし、いよいよ計画実行のスタートを切ることになった。

探検レポート278

▼12月16日
曇りのち晴 大阪の西成区にある激安宿を早朝に立ち、京都にやってきた。
駅前にあるレンタサイクルの店に9時30分に予約を入れているので、それまではコーヒーを飲みながらゆっくりと過ごす。
京都駅構内は旅行者でごった返していた。改札を抜けるときに、青春18切符を持つ人が列を作っていたぐらいだから、京都観光の人気のほどが伺える。
どーんとした鉛色の雲が覆う中、自転車を借りて出発。厚手のダウンジャケットにネックウォーマー、手袋、毛糸の帽子と出で立ちは完全防備である。
ネックウォーマーはオセロ模様の、カミさんからプレゼントされたちょっと派手なやつ(笑)。
今日の探険ルートは、京都市内を南北に貫く烏丸通と堀川通に挟まれたブロックが中心である。下京区、上京区とも看板密度が高く、特に西本願寺と東本願寺付近、二条城東側には集中して残っている。 最も、過去の探険でもこの辺りではかなりの枚数を撮影しているのでダブりも多いが、生存確認の意味を踏まえて再撮影も積極的に行っていった。 地図にプロットしてある場所で看板がすっきりと見つかればラッキーだが、“無い”となると、何度も同じ場所をぐるぐると回り時間がどんどん過ぎていく。
簡単には消失認定をしたくないので、家屋の屋根から塀の下まで頚が痛くなるほど眺め、更に電柱や祠の中まで探すことになる。
こうして探し回って「無い」となれば、ようやく諦めもつき、リストに【消失?確認】と記入することになる。

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自転車を停めて→カメラを出して→シャッターを切って→リストに記入し→地図のプロットにマーキングし、一連の作業は終わる。これを何度も繰り返していくのである。
こんな感じで、夕刻までの時間、看板探しを楽しんだ。地道な作業であるが、看板を探すことの楽しさは自分にとっては冬の寒さも忘れるほど至福の時間である。
京都の町をペダルを漕ぐと、住んでみたくなるような年季が入った粋な町家や生活感溢れる路地裏、石畳の坂道や寺院の静寂が目に触れ、そしてやさしく包み込んでくれる。
何度歩いても走っても、京都の町は決して僕を飽きさせることはない。
いつも新しい発見がある魅力的な町だと思っている。
今日の撮影枚数は114枚、うち新規発見は92枚であった。
短時間だったが効率的に回れたのは、事前準備あっての成果だと思っている。これでちょっとばかし弾みもついた。
年明けの探険が楽しみになってきた。
(2013.2.24記)
※画像上/京都市下京区油小路通松原あたりの路地。石畳と自転車が生活感に溢れている。
※画像中/京都市上京区。商店街の風景。
※画像中/白壁の商家が軒を並べる京都らしい一角。
※画像下/「らーめん さわら木」の醤油ラーメン650円(京都市上京区東裏辻町)麺は細麺で固く、醤油辛いのが気になる。中華そばといった感じ。
※宿泊/ビジネスホテル福助(大阪市西成区)素泊まり1600円。和室三畳。激安だが寝るだけなら充分。大浴場あり。ツーリストも多い。☆☆☆☆★



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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