琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート294 山形県北部こがね色ホーロー探検

2013.9.22
宮城県大崎市~山形県最上町~舟形町~新庄市~尾花沢市~宮城県仙台市


探検レポート294

みちのくの秋は、黄金色の風景から始まる。
刈り取りが目前に迫った稲田はもちろん、風にそよぐススキもキラキラと輝やきを増す。
そんな秋の気配に触れたくなり、こけしの里で有名な鳴子温泉郷を抜け、山形県の北部を巡るホーロー探検に出た。
仙台からレンタカーでまず向かったのが、大崎市にある岩出山。
“奥の細道湯けむりライン”の愛称で呼ばれるJR陸羽東線が、黄金色に輝く田園をまっすぐにすり抜けた先が岩出山である。
ここには伊達家の学問所と云われた有備館という史跡もあり、古い街並みが軒を並べるエリアだ。
実は岩出山を訪ねるのは先月に続いて二回目で、前回の探検ではこの町にある酒蔵、森民酒造に地酒のホーロー看板が残っているとは露知らず、簡単に通り抜けてしまったことによる。
創業明治16年の酒蔵には、白と水色のストライプが鮮やかな「優等清酒森泉」の看板が2枚貼られていた。
「森泉」とはどこかで聞いたタレントの名前でもあるが、地酒のネーミングとしては、良い響きだ。
岩出山でのリベンジ撮影が終わり、二両編成の電車がカタコトと走る湯けむりラインを横目で見ながら、国道47号線を北上していく。
もちろん国道沿いに看板が貼られたロケーションが残っていることはほとんど期待できないので、ナビを確認しながら適当なところで脇道に入った。
思った通り、どんぴしゃのタイミングで看板屋敷発見! 線路脇に建つ屋敷には「ムヒ」の組看板と、同じくこれも組看板の「ジューキミシン」、そして「サクラ日本学生服」が貼られていた。

探検レポート294

枯れたトウモロコシ畑の向こうに見えるのも、いかにも田舎の素朴な風景らしく、看板屋敷のロケーションとしても申し分ない。
これに気を良くして、緩やかな坂道が続く鳴子温泉郷の町並に入ってみたが、期待した割にはホーロー看板の姿はなかった。
再び国道に戻って、県境を越え山形県最上町に入った。JR赤倉温泉駅から最上町の市街地に続く国道の脇道は、小さな集落がポツリポツリと現れて、お宝の発見が期待できる匂いがしたが、空振りとなった。
更に、小国川の右岸にへばりつくように旅館や商店、酒蔵が集まっている瀬見温泉郷にも寄ってみたが、ここも空振り。
期待して山形県までやってきたもの、ちょっと苦しい展開になってきた。 しかし、そんな暗雲を振り払ってくれたのは、JR奥羽本線と陸羽東線が交わる田園風景で見つけた、舟形町の看板屋敷だった。
「菅公学生服」「ボリショイ菅公学生服」「ロックペイント」が正面に貼られ、側面には「サクラ日本学生服」の4枚が貼られた小屋は看板屋敷としての貫録も十分で、黄金色に輝く稲田を背景に、屋敷そのものは風に揺れるススキの中に埋もれていた。
これはまさに、私が求めていた東北の秋そのももの風景だった 。
また、うれしいことに屋敷の近くにも「光洋ミシン」と「ロックペイント」が貼られた廃屋があり、秋が深まれば絡んだツタが真紅に染まるのが見えるようだった。
午後を過ぎ、新庄市の中心部に狙いを定めて探検に入った。

探検レポート294

しかし、期待に反して、古い家屋や商店はほとんど見当たらず、半ば諦め気分で偶然に入った脇道で、「キッコーゼン醤油」の看板が貼られた小屋を見つけただけで終わった。
地元、新庄市の醸造元の看板だが、キンチョールの菱型看板と仲良く並んで貼られた様子は何だか微笑ましく感じた。
山形県北部はこれまでにも訪ねたことがあったが、中途半端な探検しかできなかったこともあり、今回は新庄市から尾花沢市、更に銀山温泉まで足を延ばして、村山市、東根市を経由して仙台に戻った。
尾花沢市の小さな集落で見つけた「雪の元」の看板は、重厚な蔵に蝉のように貼りついていた。
看板を留めた釘は錆ついて、おそらく40~50年の時を刻んでいるだろう。 道行く人々のどれほどが気づくのか分からないが、私にとっては看板がある風景そのものが郷愁を誘い、かけがいのない貴重な、記憶に残る一頁をくれたように思えた。
ともあれ、みちのくの里にも確実に秋は下りてきている。
頬をかすめるひんやりとした風が、それを証明するようだった。
(2014.2.6記)
※画像上/東根市あたりの田園風景。刈り取り入れを待つ黄金色の稲が目にまぶしい。
※画像中/最上川の河畔にへばりつくようにある瀬見温泉姜郷。
※画像下/新庄市の人気ラーメン店。「一茶庵支店」の鶏もつラーメン600円 人気店のようで混んでいた。もつ入りラーメンがこの店のウリのようだ。



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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