ホーローの旅
レポート304 JR水郡線に沿って、2014年夏の旅
2014.7.27
福島県郡山市~須賀川市~矢祭町~茨城県大子町~常陸大宮市~福島県白河市
JR水郡線は福島県郡山市の安積盛長駅と、茨城県水戸市の水戸駅間の全長137キロを繋ぐ路線。
3月の青春18きっぷの旅でこの路線を往復し、車窓から見える看板屋敷を探した。
実は2007年4月の探検でも水郡線に沿ってホーロー探検を行っているが、この時は事前に偵察をしておらず、クルマでの探検となったため、電車の車窓からしか見えない隠れた位置にある看板を見つけることができなかった。
今回は偵察で探し当て、地図にプロットした看板屋敷を撮影するための、満を持してのホーロー旅である。
仙台から東北新幹線で郡山まで移動し、駅前からレンタカーで出発。JR水郡線に沿って水戸まで往復する予定だが、距離も半端ではないので、返却時間の18時までに戻ってこれるか不安だ。
水郡線に並走する県道110号線は、起伏があるのどかな田園地帯を縫うように伸びていく。
のどかな田舎の風景が続く中、JR磐城守山駅近くで菅公シャツが貼られた屋敷を見つけた。 ネギ畑に囲まれるように建っている屋敷のすぐ前には、水郡線の線路が走っていた。
これほど近い位置なのに見つけられなかったとは…。3月の偵察で確認し忘れたようだ。
看板は菅公シャツの他に、「生」と「田」の二枚の組看板が貼られていた。何の看板かよく分からないのが残念である。
県道141号線から離れて川東駅に出ると、踏切の脇に金鳥ペアが貼られた民家が見えた。3月の偵察で車窓から見たときは2枚の看板がばっちり見えていたが、残念ながら真夏の今は、茂った庭木で看板が隠れてしまっている。
こうしたことはよくあることなので、次回の再訪の楽しみにとっておくことにする。
JR川東駅にはホーロー製の駅名看板が何枚も貼られており、駅舎そのものも昭和レトロの雰囲気があってなかなか。
ついでにトイレに寄ってみると、「便所」と書かれた案内板もホーロー製だった。
ここから矢祭駅まではほとんど看板の姿を見ることなく進んだ。最も、偵察で確認していた「菅公シャツ」の看板は見つけることができず、何度も線路をまたいで行ったり来たり。
やはりクルマで探すのには限界がある。 ゆったりと流れる久慈川を車窓に国道118号線に入り、一気に県境を越えた。
下野宮駅手前の民家に「ボリショイ学生服」他数枚が貼られた物件を見つけていたが、どうしても発見することができず、がっくり。
偵察をして地図にプロットまでしているのに、今回の探検は発見率がずいぶん低い状況となっている。
下野宮から大子町までは久慈川を挟んで国道118号線と県道28号線が並走するが、先を急ぐため、可能性がある県道を帰路に選ぶことにし、国道をひた走る。
目的は下小川駅近くにある看板屋敷だ。 「菅公シャツ」「ボリショイ菅公」「ナショナル電球」の3枚の看板が貼られた屋敷はすぐに見つかった。
ちょうどこの家のご主人が農作業に出るため、草刈機を押しながら出てきたところだった。 線路を挟んで声をかけると、快く撮影の許可をいただくことができた。
存在感がある看板屋敷なので、電車とのツーショットを狙ってみたが、一向にやってくる気配がなく、仕方なくカメラをバッグに収めたところ、前方からコトコトと迫ってくる車両の姿が…。ツイてないときはこんなもんである。
この時点で時刻は14時を回り、帰路のことを考えて、水戸までのコースを諦めることにする。
実は、偵察で確認していたポイントがまだ数か所あったが、これも仕方がない。次回の宿題に取っておく。
大子町の市街地から県道28号線を北上していく。 カーラジオは竜巻と雷雨の注意報を告げている。背後の空がすでに真っ暗になっており、看板探しを急ぐしかない。
県道沿いには思った通り、ホーロー看板の姿があった。
初見の「キッコーショウ醤油」や北関東で比較的よく見かける「ボリショイ学生服」の三角形と逆三角形のペア看板、金鳥や新聞の看板など、ホーロー看板が激減している今日にあって、このエリアは残存率が高く、目を楽しませてくれた。
県境を越え、白河市に入ると、ついに雷雨に捕まってしまった。看板を見つけてもクルマから降りることもできない豪雨である。
しつこい雨は一向に止む気配もない。
夕暮れまで十分時間を残していたが、夏の日の気まぐれ天気につきあって、打ち止めとする。
ワイパー最強で、あとはひたすら郡山へと続く国道を走るだけである。
(2014.11.7記)
※画像上/民家の軒下に干されたトウモロコシと唐辛子。茨城県城県大子町で。
※画像中/茨城県大子町の商店街の風景。シャターが下りた店舗が多い。
※画像中/福島県鏡石町で見つけた田んぼアート。今年で3年目となる田んぼアートはFIFA World Cupでサッカー日本代表への応援メッセージをコラボレートしたもの。
※画像下/JR水郡線下小川駅近くにある看板屋敷。石積みの石垣も雰囲気がある。この家の御主人から快く撮影を許可してもった。