琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート305 夏の終わりの福島ワンディ探検

2014.8.24
福島県福島市~二本松市~本宮市~川俣町~月舘町~宮城県白石市


探検レポート305

8月も終わりだというのに、焼けたアスファルトから立ち上る陽炎が熱く揺れる。
福島駅で借りたレンタカーで最初に向かったのが、JR庭坂駅近くにある看板屋敷。
流れ出る汗をぬぐおうともせずファインダーを覗くが、どうしても構図を決められない。
学生服の看板が3枚貼られたこの屋敷は、残念ながら生い茂る庭木や野菜に阻まれて、うまいアングルで撮ることができなかった。
こうした経験は過去に何度もあり、帯広の民家の壁に見つけた「バンビキャラメル」がスポンサーになった町名看板は、夏に行くと庭木の陰に隠れており、三度目の正直で待ちわびた冬にようやくまともに撮影することができた。
そんな意味ではこの屋敷、もう一度冬にリベンジするしかあるまい…と思うのであった。
さて、今回は東北本線に沿って南下する旅である。本線は南福島駅から新幹線をはさんで上下線が分かれる。
上り線沿いに見つけたのが、菅公学生服とエサの看板。 車窓からはよく見えたのに、いざクルマで目的地に行こうと試みても、線路に阻まれたり、畑に続く農道で目測を誤りなかなかたどり着くことができない。
悪戦苦闘するうちに小さな集落に入り込んでしまった。

探検レポート305

ラッキーなことに倉庫の壁に初見の農機の看板が3枚貼られた民家を見つけた。偶然ではあるが、宝くじに当たった気分である。
しかし、倉庫は民家の敷地内にあり、しっかりとしたアングルでカメラに収めるなら敷地に入って撮らせてもらうしかない…勇気をもって玄関先までいくと、ちょうど出てきた奥さん?とばったり。 事情を説明すると、快く撮らせてくれた。
東北では撮影許可をもらえないケースもあるが、「どうぞ、どうぞ」と言ってもらえると、本当にうれしい。
更にこの民家から道なりに走っていくと、なかなかたどり着けなかった菅公学生服とエサの看板がある民家にばったりと出たのはラッキーだった。
気を良くして、再びJR東北本線沿いに南下する。
松川駅近くの線路沿いには、かつて、金鳥ペアやレヂノ鉄板等10枚以上が貼られた超ド級の看板屋敷があったことを他サイトの情報で得ていたが、2005年以来何度もこの地を訪れ、探してみるも見つけることができなかった。
今回もしつこいようだが、諦めきれずに駅舎の架線橋から眺めたり、線路沿いの民家を探したが、やはり見つけることはできなかった。すでに家屋もろとも消失したと考えて割り切ることにした。

探検レポート305

二本松の町は高村幸太郎の妻、千恵子の生誕地として有名で、生家は「花霞」を造る酒蔵。福島県にあっては小規模ながらもレトロ感溢れる町並みである。
なかなか“匂う”町であるが、看板は見つからない。半ばあきらめていると、「おおっ、あったではないか!!」 東北で初の発見、「月虎かとりせんこう」だった。
しかも、この看板のロケーションが素晴らしい。貼られた家屋もいかにもレトロ。いきなり昭和30年代にタイムスリップしたようだった。
午後を回り、本宮駅近くで遅い昼食を済ませ、探検開始。
まずは3月の青春18切符の偵察で確認した本宮駅近くの看板屋敷である。
「ぼたんわた」「赤玉フトン袋」を「大天狗」の酒蔵の近くに見つけていたが、結果は×。 どれだけ探しても見つからなかった。
私がこの目で確認したのは幻だったのか…。またリベンジが増えてしまったではないか。
車窓から確認してもいざクルマや歩いて探そうとなると、見つからないということをこれまでも何度も経験しているが、この看板は間違いなく確認し、地図にプロットしていただけに、悔いが残った。

探検レポート305

この日の探検は川俣町で折り返し、最後は白石市の看板屋敷でゴールした。
「忠臣服」と「菅公シャツ」の二枚が貼られた屋敷はいつもJRの車窓から見ていたが、やはり庭木に阻まれてしまった。本日二度目の"庭木パフォーマンス"である。
カメラをいろんな角度で構えてみても、二枚の看板がしっくりと写らない。
汗はとめどなく流れ、遠くに見える線路には、快速電車があっという間に過ぎていった。
(2015.1.16記)
※画像上/のどかな田舎の風景が広がる二本松市。
※画像中/「花霞」を造る大天狗酒造。本社は福島県本宮。二本松の蔵は「千恵子の酒蔵」で通っている。
※画像中/二本松市で見つけた「月虎かとりせんこう」。どちらかというと西日本に残っている看板であるが、東北では初めての発見。
※画像下/古い商店や家屋が並ぶ川俣町の風景。



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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