琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート321 久々の大量収穫!薫風の山形探検

2015.5.30
山形県山形市~天童市~中山町~山辺町~山形市~白鷹町~長井市~南陽市


探検レポート321

季節は風薫る5月。ホーロー探検の絶好のシーズンがやってきた。
レンタカーを駆って小刻みに重ねた山形の日帰り探検も、今回で5回目となった。
これまでの探検ではめぼしい収穫もないまま回数を重ねてきたが、そろそろ大アタリが欲しい。ワクワクするような看板商店や屋敷に出会えれば尚うれしい。
そんな期待を胸に秘め、5月最後の週末に山形へ向かうことにした。
山形道を山形蔵王インターで下り、まず目指したのが山間の集落。これまで未調査のエリアである。
木造の古びた民家が軒を連ねる小さな集落をゆっくり進むと、狙いの看板が…。 "かゆみ止め水虫に"のロゴが入った「タム軟膏」の看板が土蔵の壁に貼られていた。
同好者のKANKANさんからいただいた情報だが、カメラに収めることができて素直にうれしい。
というのも、訪ねてみたら消失していたという苦いケースを過去に何度も経験しており、"看板の命短し"というフレーズがいつも頭にあるからだ。
まずは幸先の良いスタートである。地図から探した未踏のルートにナビを設定し、ハンドルを握る。

探検レポート321

狙いの集落へはクルマのすれ違いも大変な道だが、古い民家や蔵が建ち並ぶ景色はお宝の匂いがぷんぷんする。
思った通り、肥料やゴム靴の看板が貼られた商店を見つけた。更にその先にも「三菱耕うん機」や「ツバメ運動靴」の看板。ストリートビューもカバーできていない脇道だが、これは大アタリである。
天童市に入り、未踏のルートをどんどん進む。踏破したルートを地図にマーキングしていく作業も同時並行で進める。
化学調味料の「ミタス」や「ツバメゴム靴」等を撮影していくが、久しぶりにカメラの出番が増えた気がする。
看板ばかりじゃなく、棚田の風景やこのところ気になっている火の見櫓等、カメラを向けるモチーフもたくさんあって楽しい。
特に火の見櫓はその姿かたちも千差万別で、多くの場合、消防信号のホーロー看板が残っているケースも多いので、これを探すことがホーロー探検に繋がるから面白い。
午後を回り、寒河江で昼食の「肉そば」を食べた後、国道458号線を南下して中山町を経由して山辺町へ向かうことにした。
国道と言えども交通量が少なく、小さな集落には地酒や肥料等の看板の姿を見ることができた。

探検レポート321

再び山形市に入ると、ここからが看板ロードの始まりだった。
山形交通のバス停留所の前に建つ廃業した商店は醤油やテレビ、観光バス連絡所の看板など6枚が貼られていた。
久し振りに出会った大型の看板商店である。21世紀も14年が経過したというのに、昭和の姿をそのまま留める商店が残っていることに驚きを隠せない。思わず拍手をしたくなる衝動に駆られた。
更に、小さな集落の辻には、初見の肥料看板をたくさん貼った倉庫や、「マルゼンサイダー」の看板が貼られた駄菓子屋、「マルキンの自転車」の組看板が貼られた自転車屋等、そこだけが時間が止まってしまったようなレトロなスポットが残されていた。
山形県は仙台から一時間足らずで行けるお手軽なエリアだが、これだけの収穫があると、今後のチャレンジも楽しくなるというもの。
まだまだ未踏のルートはたくさんあり、地図を塗りつぶす作業にも期待が持てる。
5月も下旬となれば、日が長くなる。この日は日没までたっぷりとホーロー探検を楽しむことができたが、中でも長井市で見つけた「頭痛ノーヂ」の看板が目に焼き付いている。
用水路の脇に建つ巨大な倉庫の、手の届かない位置に貼られていた一枚である。

探検レポート321

誰がこの看板に気づくだろう。どんな意図があって、見上げなければ気づかない位置に貼ったのか?おそらく、この建物の前を通ったほとんどの人々が気づくことなく通り過ぎると思う。
そんな中で、これに気づいてカメラを向けた私は、貴重な存在だといえるのではないだろうか。
さて、当の古びた看板、「そんなことはどうでもいいよ」と言わんばかりに、夕日に反射して、かがやきを放っていた。
気づく人もないま、あくまで控えめに、その存在を主張する
。 もはや、「おぬし、あっぱれ!!」と、言うほかはない。
(2015.12.11記)
※画像上/山形市から見た蔵王連峰の風景。5月の後半といえども山には雪がたっぷり。田植えが終わったばかりの、米どころ山形の風景である。
※画像中/中山町で見かけたキジの雄。キジはつがいでいるというが、雌のキジは残念ながら見当たらなかった。
※画像中/寒河江市にある『ひふみ』の冷たい肉そば(大盛780円)。
※画像下/形県内の集落には多くの火の見櫓が残っている。そこには、うまくいくとホーロー製の商法信号看板も残っていたりする。



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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