ホーローの旅
レポート339 町名看板を探して~冬の横浜を歩く
2016.1.24
神奈川県横浜市~川崎市
日本列島がすっぽりと冷蔵庫に入ってしまったような週末、仙台駅前から夜行バスで神奈川県に向かった。
目指すは横浜である。 ストリートビューで事前に確認しておいた町名看板を撮影するウォーキングであるが、意外にも横浜で看板探しをするのはこれが初めてだ。最も神奈川県での探検自体ほとんど行っていないのだから当たり前なのだ。
鶴見からスタートし、横浜、川崎を回る日帰りの小さな旅だが、中華街、外人墓地、横浜港…魅力的な観光には目もくれず、古びた看板を求めてひたすら歩くのが目的。
ぶらり、ふらりと歩く旅…何も考えずに歩くことは、このところの自分にとって、一番癒されるひととき。さて、横浜の成果はいかに。
JR鶴見駅周辺にはいくつかの町名看板が残っているが、東西南北に広く散っているので、午前中いっぱいを割いてウォーキング勝負とする。
鶴見駅からカモメが群れをなして飛ぶ鶴見川を渡り、本町通をのんびりと歩くと、本日最初のターゲット「本町通3丁目166」。
ストリートビューでは確認できていたが、しかし、あるべき場所は更地になっていた。
うーん、残念。最初の一枚目で滑ると、一日の結果が酷いことになることをこれまで何度も経験しているので、ここは気持ちを切り替えることにする。
再び鶴見川を渡り、JR国道駅へ。2キロの距離をロスしてしまったが、古い商店や家屋もあって退屈はしない。
JRのガード下にへばりつくように建った古びた民家に町名看板を発見。昭和30年代後半くらいに貼られたものだろうか。
スポンサーは『生麦診療所』と書いてあり、ネットで調べてみてもヒットしない。ひょっとしたら『生麦病院』の前身に当たるのかもしれない。
次に見つけた「岸谷4丁目12」には『洋品の林屋』とあり、調べてみると岸谷に現存する洋品店だということが分かった。おそらくこの看板が貼られて50年近く経っていると思うが、地元に根付いて頑張ってきた歴史の断片を見るようで興味深い。
町名看板を探す楽しみの一つとして、そこに書かれたスポンサーにあれこれと思いをめぐらすことも面白い。
午後を回り、鶴見から神奈川区六角橋に向かう。東急東横線白楽駅へ続く六角橋商店街は昭和の面影が残るアーケード街である。
大阪や京都、名古屋にはこうした商店街はたくさんあるが、おしゃれな街・横浜には異質。神奈川大学も近いので、ひょっとしたらレトロな下宿屋などもあるかもしれない。
さて、薄暗いトンネルの中を潜るように商店街を歩くと、シャッターが閉まった店が多いのが気になりだした。 全国どこでも見る風景だが、櫛の歯が抜けたような状態を見てしまうと、やるせなさを感じずにはいられない。
無人化、シャッター街にならないことを願うばかりだ。そんな商店街に、忘れ去られたように町名看板が残っていた。
東急東横線白楽駅から妙蓮寺駅まで一駅乗り、松見町に向かう。約2キロの行程だが、坂道や起伏があって息が切れる。歩数計の数字はすでに2万5千歩を超えている。
これまでに東京や大阪のホーローウォーキングで4万歩超えを何度も達成してきた身には、経験上、足が痛む数値でないことは分かっている。 快調に歩き続け、2枚の町名看板をゲットし、そのままJR大口駅までの1キロを歩いた。
横浜市内の探検はここまでとし、電車を乗り継いで川崎市に移動。武蔵小杉と鹿島田周辺に貼られた5枚の町名看板を撮影し、打ち止めとした。
カメラ片手にぶらりふらりと歩いた旅も、気がつけば陽がどっぷりと落ちていた。
歩数計の表示は43000歩。久し振りによく歩いた探検となった。
…さて、仙台に戻るとするか。
(2016.7.25記)
※画像上/横浜市神奈川区松見町。古い木造アパートが並ぶ一角に町名看板の姿が。東京もそうだが、横浜の看板もブロック塀に貼られていることが多い。
※画像中/JR鶴見駅から東に500㍍。鶴見川に出る潮見橋から見た風景。海が近いのかカモメの群れが頭上を飛んで行った。横浜市鶴見区。
※画像下/横浜市神奈川区の六角橋商店街。シャッターが下りた風景は買い物客で賑わっていたが往年の面影もない。最近ではレトロな雰囲気が受けて、映画やドラマのロケにも使われているようだ。
そんな商店街をのんびりと歩くと東急東横線白楽駅に出た。