琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート342 ぐるり青森、春うららホーロー探検

2016.4.10
青森県青森市~平川市~秋田県大館市~北秋田市~青森県大鰐町~鶴田町~つがる市~平内町~青森市


探検レポート342

「ほろ、かんばぁん??…なんだべ△○×□▼○×□…」
「えっ?えっ?」
青く晴れ上がった日曜の昼下がり、秋田県北秋田市鷹巣町での一コマである。
看板屋敷を探して小さな集落を歩いていると、重そうな肥料袋を一輪車に乗せ、一生懸命に倉庫へ運んでいる中学生?を見つけた。
汗が噴き出た額、人の好さそうな表情が可愛い丸刈りの中学生?に、ホーロー看板がたくさん貼られた小屋のことを尋ねたのだ。
その答えが、冒頭の言葉。なまりがひどくて、何を言っているのかまったく意味不明である。
中学生は倉庫の陰にいた父親?に私を指し、変なオヤジが変なこと訊いてきた…とでも伝えたようだ。 私はこれまた温厚そうな赤ら顔の父親に、この辺りにホーロー看板をたくさん貼った小屋があるけど、知りませんか…と聞いてみた。
どうやら父親も息子同様、"ホーロー"の意味が分からなかったようで、そのうえ、あまりにもなまっていて、何を言っているのか分からないのは息子以上である。

探検レポート342

こりゃ、仕方ないなぁ…と思って、息子が肥料を運んでいる倉庫の壁を見上げたら、なんとそこに看板があった。
実は、自分にとってこの屋敷は因縁の物件なのだ。
JR奥羽本線からほんの一瞬見える看板屋敷の存在をずっと以前から知っていたが、意を決して角館から秋田内陸縦貫鉄道に揺られて乗り込んだ2014年4月の探検ではどうしても見つけることができず、失意の中、仙台に戻ることになった。
その後、秋田から青森に向かう出張の車窓で改めて看板屋敷を確認し、今度こそと思ってやってきたのだ。
『ニッショー学生服』『忠臣服』『トリスガム』の三枚が貼られた倉庫は民家の敷地内にあり、建物の前に更に新しい倉庫が建ったがために、車窓からは見え難い状態だったようだ。
ともあれ、はるばるここまで訪ねた甲斐があったあったというもの。長年の宿題をやり遂げたような晴れ晴れとした気持ちで、親子に礼をいい集落を辞した。
2005年に青森県で初めてホーロー探検を行ってから10回目の探検となった今回は、JR奥羽本線沿いの看板屋敷と、ストリートビューの机上探検で事前確認した看板の撮影が中心である。
早朝の新幹線で仙台を発ち、新青森駅で調達したレンタカーでJR奥羽本線に沿って走ってきが、県境を越えた鷹巣の看板屋敷までちょうど半分の行程だった。
鷹巣で折り返すまでに、出張時に確認していた『フルヤキャラメル』や『キングトリスガム』が貼られた屋敷と、東北では珍しい『学生服は乃木服』の看板を貼った屋敷を予定通り撮影することができた。

探検レポート342

あるべきところにある看板なので意外性もないが、何度見ても鉄道とのツーショットは心が躍る。
『学生服は乃木服』の屋敷についてはロケーションも素晴らしく、電車がやってくるのをしばらく待ってもみたが、時間が足らずツーショット撮影はできなかった。
さて、探検の後半である。 ここからはストリートビューで見つけた看板を探す旅だが、結論から言ってすべて予定通りにカメラに収めることができた。
最近のビューは2015年まで更新されているのがふつうなので、現地に行ったら看板がなかったという空振りも少なくなった。
ストリートビューの活用は時間の効率を考えると大いに利用価値はありそうだが、そこには意外性の要素はまったくなく、それに加えて、胸踊る探検的要素が削がれてしまうのがデメリットだろうか。
ともあれ、北国とはいえまだまだ肌寒い春の一日、ホーロー探検を目いっぱい楽しむことができたことが素直にうれしい。
桜前線が北上する春真っ盛りは、もうすぐである。
(2016.10.2記)
※画像上/JR奥羽本線津軽新城駅近くにある屋敷。2枚が貼られているが間近で見ると、想像以上にインパクトがあった。青森県青森市。
※画像中/JR奥羽本線を走る青森行き普通電車。JR鶴ヶ坂駅付近。青森県青森市。
※画像下/鶴田町から見る岩木山(1624メートル)。津軽平野ではどこからでも観ることができる名峰だ。青森県鶴田町。



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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