琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート346 八王子から都心へ、町名看板訪ねて

2016.5.15
東京都八王子市~立川市~府中市~小金井市~渋谷区~品川区


探検レポート346

信州上田の探検を前日に終え、いったん仙台に帰宅し、再び東京へ。
今回の探検は八王子を皮きりに都内西部の町名看板を探す旅である。 JR八王子駅に降りるのは初めて。記憶の糸を辿っててみても、これまでの人生で八王子を訪ねたことは一度もない。
改札口から南口を目指して歩いていくと、若くてキレイな女性から声をかけられた。 「○○さんですか?本日ご一緒する○○です。」 「??」この女性、誰かと勘違いしたのか、それとも私をひっかけようとしているのか…うーん、東京は怖い(笑)。
八王子の探検はレンタサイクルで、と決めていたので、あらかじめ予約しておいた自転車屋で三段変速のママチャリを確保。
目指すは『エスビーカレー』がスポンサーになっている町名看板。 これまでの記録では3枚見つかっているが、最近弱ってきた探索能力とママチャリ作戦で、新規の看板を発見できるだろうか。ともあれ、チャレンジである。
まずは情報を得ていた南新町の二枚を撮影。『エスビーカレー』のロゴも昭和チックでレトロな字体である。おそらく昭和30~40年代に貼られたものだと思うが、このタイプの町名看板は八王子にしかないだけ貴重だ。
さて、ここからが勝負である。『エスビーカレー』の看板は他にもあるのだろうか。ママチャリ作戦の開始である。

探検レポート346

八王子駅の南側の住宅街を中心にえっさ、えっさとペダルを漕ぐ。それこそ路地の一本一本まで見逃すまいと目を皿ののようにして探していくが、2時間の成果はゼロ。
ツタでびっしり覆われた家屋の壁にちらりと見えていた町名看板を除くと、既存の町名看板1枚だけで終わってしまった。
やはり『エスビーカレー』の看板はすでになくなっているのだろうか。チャレンジが10年遅かったかもしれない…そんなことを思いつつ自転車を返却し、JR八王子駅から中央線に乗って立川駅へ。
更にモノレールに乗り換えて柴崎体育館で下車。駅からすぐ近くの住宅地にある町名看板『柴崎町4丁目4』をカメラに収めた。
そこから先はなんともせわしいが、中央線を何度も乗り降りし、府中、小金井市の町名看板を撮影していく。
八王子もそうだが、東京のベッドタウンである西部エリアは自分にとっても土地勘がなく、いずれも初めて訪ねる土地ばかりである。
小金井市ではかねてから情報を得ていた文房具店を訪ねた。しかし、地図で探したその場所はすでに空き家状態となっており、「移転しました」の貼り紙が。
移転先を確かめると、駅から今辿ってきたばかりの道ではないか。再び踵を返して目的地に急ぐ。 くだんの文房具店は、幹線道路から脇道に逸れた場所にさりげなくたたずんでいた。

探検レポート346

店先には『パイロット万年筆』や『アテナインキ』の看板が。 (おお、いいぞ)と思いながらシャッターを切っていく。一通り写真を撮って店内に入ると、私の様子を眺めていた店主がすかさず「看板に興味があるんですか?」と訊いてきた。
ご主人曰く、看板は店舗の開店にあたって、レトロな雰囲気を出すために購入したそうだ。展示品というのは残念だが、『ナショナルインキ』や『アテナインキ』などこれまで遭遇したこともない看板を見れただけでも貴重だった。
小金井での撮影を終えた後、都内の渋谷区と品川の看板を訪ね、この日の探検を終えた。
『セーフ』や『ウテナ』が貼られた渋谷の看板商店は人がごった返す代官山のど真ん中にあり、そこだけがぽっかりと異空間のバリアに守られているようで、不思議な空気が漂っていた。
更に『南品川六番地』の看板は、JR大井町駅から飲み屋街を抜けた先にあった。
狭く長い路地に小さな飲み屋が軒を並べる様子は昭和の世界そのもので、帰路に一人飲みする店を探しながら、夕暮れが迫った坂道をのんびりと歩いた。
(2017.2.25記)
※画像上/夕暮れが迫る大井町界隈。帰路に一人のみする店を物色しながらのんびりと歩いた。
※画像中/小金井市で。子供の落書きだろうか。静かな午後に、看板を探してのんびりと歩いた。
※画像下/東京大井町界隈。狭い路地を抜けていくと昭和チックな飲み屋街に出た。



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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