琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート347 南京虫?に刺された関西探検

2016.5.26-27
大阪府豊中市~大阪市~京都府京都市


探検レポート347

梅雨の走りだろうか、早朝に仙台を出た時は快晴だったのに、伊丹空港に降りると今にも雨が落ちてきそうなどんよりとした空。
更にじっとしていても汗が噴き出すような不快な湿度である。 ようやく確保した2日の休み。今年二度目の関西探検が始まった。
まず目指したのが豊中市。狙いはキンチョール(大日本除虫菊)がスポンサーになっている町名看板である。これまでの探検で3枚を見つけているが、新たな情報では更に3枚が見つかっている。
事前にストリートビューを確認してみると、そのうちの2枚を確認できた。あとは現地で見つけるのみだ。
モノレールを柴原駅で下車し、ゆっくりと歩き始めるとすぐに住宅地となった。町名看板が残る桜の町までは1キロ以上あるので、匂いそうな脇道を狙って進んでいく。
運が良いとは、まさにこれだ。酒屋が併設された家屋の壁に4枚貼りの看板発見。『世界長』はかつて灘にあった蔵。1995年廃業し、阪神大震災の後に、沢の鶴㈱がブランドを引き継いでいる。

探検レポート347

豊中は町名看板が狙いだっただけに、"棚ぼた"の思いである。これで気を良くして、予定通り桜の町の2枚の町名看板を撮影していく。
しかし『柴原町三丁目』がどうしても見つからず、結局、空振りで終了。 豊中はこれで打ち止めとし、大阪市に移動。
情報を得ていた『マルキンバーベキューソース』と『フマキラー』を撮影する。『フマキラー』はこれまで何度も探検したエリアにあったが、大阪市内にあって戦災を逃れた町らしく、過去にも、町家が密集した路地で、『太田胃散』や仁丹の町名看板を見つけている。
更に梅田駅近くで仁丹看板を撮影。残念ながら『丹』の組看板が欠落しているが、27例目の鉄道系組看板だ。
この屋敷のすぐ近くにはすでに撮影済だが、もう一か所仁丹看板を貼った屋敷があり、こちらはJRの車窓からも見えるロケーションである。おそらく往年はどちらの屋敷も障害物もなく見えていたと思うが、時は無常である。ビルやマンションに遮られ、昭和の思い出とともに、こうして貴重な看板が私たちの視界から消えていくということになる。
午後から始めた探検もすでに夕方となり、この日の最後は網島町にある仁丹町名看板で終了。この看板は下半分が欠けており、肝心のスポンサー部分の仁丹歯磨が確認できないのが残念だった。
それでも大阪市内に残る仁丹看板の20枚目の撮影である。素直にうれしい収穫となった。

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翌朝。西成にある激安宿で目覚める。大阪での定宿にしているが、独房のような三畳一間も気にしなければ快適だ。
今日の予定は、京都市内の仁丹町名看板の撮影で一日を過ごすこと。京都に残る仁丹町名看板にこだわっている身としては、至福の一日になるに違いない。
まずは伏見の町名看板だが、ここで目指すのは『西大文字町』の一枚。これまで何度も私の目をすり抜けてきた一枚であるが、今回はストリートビューの事前探検でようやくカメラに収めることができた。
続いて京都駅に移動し、いつものようにレンタサイクルを調達。ここからは勝手知ったる京都市内の探検である。これまでの成果はすでに700枚を超える仁丹町名看板を撮影しているが、まだまだ未発見の看板もあり、老骨に鞭打ってペダルを漕ぎつつ1枚づつ撮影することになる。
目的の仁丹看板はさすがにこれまで見落としてきただけあって、思いがけないロケーションに散らばっていた
。庭木に遮られた壁面や印刷所の電飾看板の陰、和菓子屋の店内…。極めつけは酒屋のシャッターの内側の壁。いつ訪ねても休みだったが、三度目のチャレンジでようやく撮影ができた感動ものである。
更に、先斗町ちかくの地下飲食店街に貼られた3枚の仁丹看板もあった。これはいわゆる飾り看板=展示物だが、いずれもすでに消失した看板であり、数年前に作成した私のリストには残っていたものだ。
どんな経路を辿ったかは今となっては分からないが、こうしたロケーションのなかで生き残ったことがうれしい。 願わくは元の場所に戻して欲しいと思うが、それは叶わぬ思いだろうか。
結局、この日は夕方までペダルを漕いで木製看板を含めて13枚の初見モノを撮影することができた。
京都市内で撮影した仁丹看板も734枚となり、そろそろ完結といってもいい積み重ねとなった。 これで一区切りとしたい。

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【後日談】
事の発端は… 今回の探検で大阪のドヤ街にある安宿に泊まった翌日、両腕、両足、首筋に赤いボツボツが出現したことから始まった。
それは、一日経ってあっという間に一円玉くらいの大きになり、ものすごいかゆみに襲われることに。 これまでの人生で経験したことのないかゆみである。
発疹の数は30か所以上。海外の旅ではダニにやられた経験があったが、このかゆみはそれを超越してる。
自宅に戻ってからも一睡もできず、慌てて皮膚科へ。 「野山に行ったの、それとも草刈りでもしたの?」 開口一番、医師から問われた。
思いつくのは、畳敷きの三畳一間の安宿に泊まった事実。 ダニか南京虫(トコシラミ)に刺されたとしか考えられない。
楽天トラベルにあったその宿の口コミを読んで、南京虫の被害に遭った苦情を発見!! まさか、この日本で南京虫が…人生初の経験だった。
皮膚科でステロイドの内服薬とアレルギーの薬、同じくステロイドの塗クスリを貰い、かゆみがなくなるまで二週間もかかった。
それにしても、宿泊代をケチって一泊1300円の安宿に泊まったばかりにこのしっぺ返し。これまでに何度も利用した宿だったが、これも自業自得というのだろうか。
いっぱしのツーリストを気取っていたが、まったくお笑いである。しばらくはおとなしくしておこうと思った、苦い出来事となった。
(2017.6.11記)
※画像上/京都市上七軒あたり。北野天満宮から脇道に入ると、いかにも京都らしい風景が広がる。
※画像中/京都市伏見区に残る酒蔵。煉瓦煙突とレトロな建物が不思議な雰囲気を醸しています。
   ※画像中/木製の仁丹町名看板。戦前モノと思われる。鮮やかな赤色が残っているのが素晴らしい。
※画像下/仁丹看板を探しながら、京都市内の入り組んだ路地を歩く。



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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