琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート359 走った、歩いた!北九州ホーロー旅

2018.10.15
福岡県北九州市


探検レポート359

定年まで二ヶ月を切り、貯まったマイルの使い道を思案する中で、浮上したのが九州。
中でも北九州市の町名看板については2012年に中途半端な探検をしており、小回りが利かないクルマで回ったせいか、わずか4枚の成果で終わっている。この時の反省がずっと心の隅に引っかかっていた。
…そうだ、九州に行こう!!
思いついたら吉日だ。慌ただしい準備となったが、航空券を予約し、他サイトで情報を収集し、出発直前まで毎晩のようにストリートビューとにらめっこした。
朝一番の飛行機で仙台を経ち、9時40分福岡空港着。博多から新幹線『さくら』に乗り継ぎ、小倉駅に着いたのが10時過ぎ。
ここまではあっという間だ。さすがに飛行機は早い。 さて、ここからが探検スタートである。
今回は北九州市が運営しているシティバイクという電動自転車をレンタルし探検の足に使うことにする。 シティバイクは一時利用の場合一日800円で市内のバイクステーションならどこでも乗り捨てできるというシロモノ。

探検レポート359

事前にネット予約しておけば博多駅前から即スタートができる…というわけで、探検の足を確保し、最初のターゲットである小倉駅から至近の大田町に向かう。
駅前の目抜き通りを快調に飛ばし、大田町まではあっという間。さすがに電動自転車は違う。
『大田町』の町名看板は少し入り組んだ路地にあった。白地と青地のツートンのデザインは北九州市のみでしか見られないデザインである。
この看板が設置された時期は分からないが、今尚現役で頑張っていることに嬉しく思う。
朝、仙台のねぐらを出て、11時過ぎに1枚目の看板を撮影しているというパフォーマンスに改めて驚くが、確保した今日一日の時間をどう効率的に有効に使うかが、今回の看板探しの成否に関わっている。
ストリートビューで事前調査し地図にプロットしたのが28箇所。この全てをくまなく回りながら、あわよくば新規の発見を目指したい。
そんな思いで、次を目指す。 北九州市の町名看板は大きく分けて戸畑区、若松区、門司区に分布していることが知られている。
『大田町』のように小倉北区にも見つかっているし、今回は足を伸ばせなかったが八幡西区でも情報がある。
かつてはかなり広範囲に貼られていたと推測するが、これは全国どこでもいえることであるが、こと町名看板についていうと、時代の変化とともに消失が加速しているのが現状のようだ。

探検レポート359

話を戻す。 大田町からは国道199号線を西進し、戸畑区を目指す。
戸畑区の町名看板はJR戸畑駅から東側の住宅街に点在するが、うれしいことにプロットした6箇所はすべて残っていた。
更に戸畑駅北の元宮町の廃屋で新規発見もあった。ストリートビューでは発見できなかっただけに、こうした偶然の発見が一番うれしい。
戸畑区から対岸の若松区に渡るには、北九州市経営の若戸渡船に乗って戸畑渡船場から渡る(大人100円・自転車50円)。
風に乗る潮の香りを浴びながらあっという間に対岸に着いた。若松区の町名看板は狭いエリアに集中的に貼られており、事前に20箇所をプロットしていたが、すでに消失した看板もいくつもあった。
狭いエリアではあるが、細い路地の奥に続く坂道や古い商店など、自転車でのんびり走るには最高の探検となった。
再び渡船に乗り、最終目的地の門司区に向かう。その前に自転車をどこで乗り捨てるかであるが、門司区まで走るのはかなり距離があるのであっさりと見送り、看板を探しながらJR西小倉駅前に捨てた。
そこから小倉駅で乗り継ぎ門司港駅へ。 三度目の門司港駅であるが、レトロな駅舎は補修工事の真っ最中で残念ながら外観を見学することはできなかった。
駅を出ておもむろに歩き出す。レンガ造りの建物やレトロな商店を見ながらまず向かったのが錦町界隈。

探検レポート359

2012年の探検でここで1枚見つけているが、すでに建物は改修され看板は消失していた。 残りはビューで見つけた2枚であるが、民家の間を縫うように走る細道を歩きながら目的地に到着。
民家を覆う雑草に埋もれるように『清見1丁目』の看板があった。 ここから至近にもう一枚あるはずだが、『東門司1丁目』はタッチの差だったようで家のリフォームとともに看板は消失していた。
日が傾き、看板探しはこれにて終了。あとはのんびりと博多のホテルに戻るのみ。
振り返ってみると、過去二度も門司港を訪れているのについぞ観光などしたこともなかった。
名物の焼きカレーも食べてみたい …ということで、駅までの散歩は門司港レトロと呼ばれる港沿いを観光客に混じって歩き、いかにも少女趣味的な店で焼きカレーを食べてみた。
もうすぐ還暦になるというオヤジにはまったく似合わないが、若い女性客の混雑する店は場違いで居心地が悪くて仕方がない。
早朝に仙台を出て、自転車をこぎ、歩いて看板を撮影し、今こうして九州の地のテーブルの片隅で、舌が火傷しそうな熱々のカレーと格闘している。
その不思議な一日の出来事をぼんやりと思いながら、いつまでも覚めることのない初めての味に、大量の汗を滴らせながら悪戦苦闘する自分が可笑しかった。
(2019.6.1記)
※画像上/北九州市若松区で。レンガ造りのレトロな建物が旅愁を誘う。
※画像中/レトロな家屋とレンタルしたシティバイクとツーショット。北九州市戸畑区。
※画像中/門司港駅。九州を代表するレトロな駅舎は一見の価値有り。あいにく改修工事で外観を見学することができなかった。
※画像下/関門海峡の夕暮れ。門司港レトロを歩く。



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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