ホーローの旅
レポート4 看板女王との出逢い 足助町へ
2005.2.12
岐阜県土岐市~愛知県豊田市
彼女は突然、僕の前に現れた。
しかめっ面の水原の旦那がうっとうしいが、脚線美が眩しい看板女王・由美おかるが僕の前にいるのだ。思えば、ずっとこの瞬間を夢見ていたのかもしれない。
なんと彼女は、自宅からわずか10分のところで、何十年もの間ずっと僕を待っていてくれたのだ。
琺瑯探検を始めて最初の目標が、由美かおるのアース看板をゲットすることだった。それにしても、こんなに早く出逢うことができるとは思わなかった。
名残りおしいが、彼女と分かれて、岐阜県境を越え、愛知県藤岡町経由で看板の宝庫と目される足助町に入る。 山間のこの町は、三洲屋敷と呼ばれる古い家並みがあることで有名だが、この日は「中馬のひなまつり」という町内あげてのイベントの真っ最中で、土曜の午後であることも手伝って、すごい観光客たちだった。
町の中央にある駐車場(600円)に車を止め、そこから積み込んできたママチャリで琺瑯探検へ。
足助の町はレトロな店がずらりと並ぶ。まるで昭和30年代にタイムスリップしたみたいだ。酒屋かカフェだろうか、「アサヒビール」の文字が貼られた倒壊寸前の建物や、「マンリン書店」という名のレトロな本屋。
「赤だしみそ」の看板が掛かった食品店が、遠い昔、今は亡き母に手を引かれて買い物に通った商店街を思い出す。 こうした町並みがまだ残っていることが不思議だった。
山間の町に奇跡的に残った昔日の面影…ママチャリのハンドルを握る手もかじかむほどの寒い日だったが、心がほんわりと暖かくなるのを感じた1日だった。
(2005.3.17記/2008.1.14加筆)