ホーローの旅
レポート405 夏の甲府の自転車探検
2024.6.19-20
山梨県甲府市
本来なら探検を終えたそのままの勢いでレポート作成にとりかかるところだが、思うようにはいかず、5日を経てようやくキーボードに向かっている。
その理由は、ルールを守れず意思疎通ができぬ、かつ悪質な投稿者が放つ“爆弾”に掲示板が炎上してしまい、その火消しに追われてしまったことによる。
この投稿者は2日間に100枚もの画像を貼り付けてきた。それも過去に投稿した画像がいくつもあり、文字通り“爆弾投下”に他ならない。
それを注意すると、今度は知らぬ存ぜぬの無視である。これを嫌がらせと言わずに何というのか。
ホーロー看板に魅せられている自分のことを棚に上げて言うのもおこがましいが、得てしてマニアックな人たちには自己中心的なタイプが多いように思う。
18年も続けてきた掲示板に“爆弾”を落としてくれた輩には、出入り禁止という鉄槌を下して幕引きを図ることにした。
さて、面倒な話はここまでにして、今回の探検の目的地は甲府である。 甲府と言えばナショナルがスポンサーになっている町名看板が有名だが、市内全域に散らばる看板をこれまでも数回にわたって追っかけてきた。
新たに発見された10数枚を収録した他サイトの情報を見るにつけ、もう、いてもたってもいられなくなったのが今回の甲府行きである。
▼6月19日
定刻より15分遅れでやってきた中央道高速バスに乗り込む。
甲府駅着は定刻の12時38分。梅雨に入る直前の天候とあって、駅前広場は肌をジリジリと焦がすような蒸し暑さだ。
かれこれ10年来の相棒となった折りたたみ自転車を組み立て、武田信玄像を横目に試運転がてらやんわりと走り出す。
まず目指すのは駅北の武田神社方面だ。 駅から北のエリアへの道は、正面の山に向かって、緩やかな登坂からじわじわと傾斜が増していく。
変速機を軽くしてペダルを漕ぐが、すでに汗まみれである。
ガラス屋の店先に貼られた2枚のガラス看板を撮影し、まずは一枚目のターゲットである新規の町名看板に向かった。
電柱の根元に貼られた【尾形三丁目5】は、緑一色の雑草に囲まれて目にまぶしいくらいだった。
このエリアでは新規はこれ一枚なので、次の新規看板を撮影する飯田地区までは、できるだけGoogleストリートビューで検索できない狭い路地を見つけ出して走る。
徒歩には勝てないが、路地に入り込むには自転車の機動力がものをいう。
だが、期待が大きすぎたのか、昨年の探検で新規看板を見つけている北新地区や塩部地区をかなりしつこく探してみたが、見つかるのはいずれも過去に撮影したものばかりで、空振りに終わってしまった。
しかし、飯田エリアでは予定通り、他サイトに収録されているまとまった数の新規看板を撮影することができた。
16時を回り、今日の探検を切り上げることにしたが、体は正直なのか、汗まみれでペダルを漕ぐ足にも力が入らない状態。
考えてみれば、いくら体力に自信があると思っていても65歳。寄る年波には勝てやしない。
投宿予定のホテルまでは、受け入れがたいその現実に辟易しながらも、老骨に鞭打って汗をふきつつハンドルを握るのであった。
▼6月20日
二日続きの青天。ありがたいようなそうでないような。予報は今日も30度超えを告げていた。
計画では、16時の帰りのバスまで目いっぱいの時間を看板探しに充てている。
探検エリアは甲府駅から南のエリア全域の予定だ。
昨年秋の探検では歩いて探したが、今回は強力な助っ人相棒がいる。この相棒、機動力は抜群だが、いかんせん尻が痛いのが致命的だ。そのうえ、汗をかいたことで股ずれまで起こしている。
サドルにまたがったことは良いが、なにしろ痛いので、ケツを半分浮かした状態でペダルを漕ぐありさまとなった。
ホテルを出てまず向かったのが丸の内地区。ここは甲府市中心部にあたるが、ビルとビルの隙間には入り組んだ路地もあり、狙いを絞って路地を縫うようにペダルを漕いだ。
しかし、新たな収穫はなく、見つかるのはすでに撮影済の看板ばかりだった。
次に相生から湯田、幸町、朝気、住吉地区を走る。 この辺りは町名看板が集中して貼られたエリアなので期待も大きかったが、他サイトに掲載された新規看板以外に新たなものを見つけることができなかったのが残念だ。
看板探しに夢中になっていると、スピーカーから突然大音量で響いた「緊急地震速報」に度肝を抜かれた。
何のことはない、市役所からの訓練放送だった。
おそらくあらかじめ通達があってのことだと思うが、こういうのは心臓に悪い。
伊勢地区に入り、お目当ての新規看板を撮影していく。 ストリートビューの事前の机上検索でヒットした2枚の町名看板だ。
まだ残っているのか不安があったが、私が来るのを待っていたかのように、2枚ともしっかり残っていてくれたのはありがたい。
更に、新規の看板を1枚発見。これは嬉しい誤算となった。
この段階でまだ正午を回ったばかりだが、計画通りに探検を遂行できたので、いったん切り上げて昼食にした。
探検途中の迷い込んだ路地で、突然現れた犬に飛びかからんばかりに吠えられ、その勢いでバランスを崩してブロック塀に衝突し、右腕を擦り剥いてしまった。
皮が割けて血がにじむ腕をかばいながら、やおら見つけたそば屋の暖簾をくぐった。
蕎麦の注文をする前に、開口一番。
「バンドエイドあったら1枚分けてもらえませんか?」
思いっきり図々しい男なのである(笑)。
十割蕎麦の昼食が終わり、帰りのバスの時間までの3時間は甲府市の西側エリアに足を延ばした。
荒川を渡り、上石田、貢川本町を思いつくままペダルを漕いでみだが、思った通り不発に終わった。
せっかく足を延ばしたので、ブックオフに立ち寄って単行本2冊と文庫本5冊を購入。ずしりと重くなったザックを背負ってハンドルを握り、甲府駅に向かった。
振り返ってみるとあっという間の二日間だったが、久しぶりの自転車探検は歩き目線とまた違った新鮮さがあって面白かった。
とはいえ、何度でも言うが、齢65歳。
いくつになってもこんな遊びを楽しんでいる私は、まったく懲りないオヤジである。
(2024.6.25記)
※画像上/今回の旅の相棒。10年来つき合っている中国製の折りたたみ自転車
※画像中/甲府駅前で相棒を組み立てた。梅雨入り前というのに真夏の太陽がジリジリと肌を焦がす。6月19日
※画像中/武田神社の神殿前の境内にある輪くぐり。ご利益を期待して潜った。6月19日
※画像中/民家の壁にさりげなく貼られた町名看板と相棒とのツーショット。6月20日
※画像下/甲府市内を東西に分断する荒川を渡った。八ヶ岳が雄大に見えた。6月20日
※宿泊/「甲府プリンスホテル朝日館」朝食付き4710円。建物は古いがリーズナブル☆☆☆★★