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ホーローの旅

レポート412 熊野古道ホーローの旅2025

2025.11.11-12.12
和歌山県高野山町~那智町、大阪府大阪市~岸和田市~和歌山県和歌山市~田辺市~串本町~那智町


探検レポート412

熊野古道を歩くついでにホーロー看板が見つかれば言うことなし。
そんな気持ちで2024年秋から熊野古道を中辺路、伊勢路と歩いてきたが、思うように看板を見つけることができずに終わった。
熊野参詣道として紀伊半島に網の目のように敷かれた古道のなかで、残されたルートは3つ。
歩いた距離はまだ全体の三割といったところ。 大峰山脈を辿る長大な奥駆道を筆頭に、紀伊路、大辺路、小辺路といった大物が残っている。
どれも小さな集落を拾うように抜けていくルートなので、歩き目線によるホーロー看板との遭遇を大いに期待した。
3つのルートを歩いた日数は延べ14日間。 さて、その結果はいかに。

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▼熊野古道小辺路 11月11日~13日
小辺路は標高1000メートルを超える縦走ルートで距離は70㎞弱、宿泊施設もほとんどない野宿が主体の山岳ルートだ。
なにより、テントと自炊道具を背負っての旅となるのが面白いではないか。
ポツンポツンと出てくる忘れられたような小さな集落も通っていくので、旅の途中で看板と出会うことができれば申し分ない。
年々体力が落ちている我が身が嘆かわしいが、今の力でどこまでやれるのかも探りたい。
雪が来る前に、まずは目の上のたんこぶのような小辺路をやっつけることにした。
小辺路のスタートは高野山。そこから伯母子岳を越え熊野本宮大社まで2泊3日のルートになる。
高速バスで前日に大阪市内に入り、翌早朝の南海難波駅から南海本線で高野山の小辺路の玄関口である高野山からスタートし、1344メートルの伯母子岳を越えて、3日後の11月13日にゴールした。

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行程は以下。
 11月11日 高野山~大股~萱小屋
 11月12日 萱小屋~伯母子岳~三浦峠~西中
 11月13日 西中~果無~八木尾~熊野本宮大社
行程の6割が山岳ルートとなる小辺路では、テントを背負っての野宿旅となった。
全国的に熊の被害が出ている時期とあって、気休めかもしれないが、ザックに熊鈴を提げて稜線を歩いた。
小辺路には限界集落のような大股集落や桃源郷のような果無集落といった魅力的な人里もあり、ホーロー看板との出会いを大いに期待したが、結論から言って撃沈で終わってしまった。
駐在所や郵便局もあり、バス路線にもなっている重里集落のように比較的規模が大きな集落もあったが、残念ながら看板の姿は見ることが無かった。

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【熊野古道紀伊路~大辺路】
12月2日に名古屋を発ち、大阪城が近い熊野古道紀伊路の起点となる八軒家船着き場跡からスタートした。
ここから熊野街道、熊野古道と続く道は約300㎞。 徒歩で11日間の旅となった。
行程は以下。
 12月2日 大阪天満橋~住吉大社~堺市湊
 12月3日 堺~岸和田~泉南
 12月4日 泉南市~山中渓~伊太祁曽
 12月5日 伊太祁曽~海南~紀伊宮原~湯浅
 12月6日 湯浅~紀伊内原~西御坊
 12月7日 西御坊~切目~南部
 12月8日 南部~田辺~紀伊富田〈これより大辺路〉
 12月9日 紀伊富田~安居~周参見
 12月10日 周参見~長井坂~田子
 12月11日 田子~串本~古座
 12月12日 古座~紀伊浦神~那智
紀伊路から大辺路を歩く300㎞のゴールは、熊野古道中辺路と合流する那智がゴール。
テントを背負い野宿しながら踏破した山岳ルートである小辺路と違って、太平洋に沿って紀伊半島の海岸沿いの町をつないでいくルートなので、荷物の軽量化を図り、サブザックを背負い宿泊まりで歩く。
前半の紀伊路は、大阪市内からみかん畑を眺めて歩く紀伊田辺までの街道。

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熊野古道と筆書きされた提灯に導かれながら古い町並みを縫うように歩いた。
それだけに看板との遭遇を期待したが、廃業した文具店にあったギターペイントの看板を除いてこれといった出会いがほとんどないまま歩を進めることになった。
紀伊田辺から大辺路に入ると、山や海岸を交互に歩くルートに変った。
山林でよく見かける山火事注意の看板と出会うくらいで、やはり低調に終わってしまった。
そんな中、おそらくお菓子だと思うがチョコロンの看板を見つけたのが収穫だった。
かつての紀伊半島一周では、2006年、2008年とほぼ同じルートをクルマで探検しているが、地酒や醤油、酢といった醸造系を始め、ご当地看板ともいえる蚊取り線香や真珠漬、さらに学生服や家電の大型看板などバラエティに富んだ看板と多く出遭ったことが懐かしい。
まるで夢のような大漁だった。
あれから20年近く経って、今度は歩き目線でホーロー探検をしているのに、なんとなく分かってきいてもこの結果は残念だった。
もはや、ホーロー看板の生存は風前の灯火なんだろうか。

探検レポート412

昨秋から手を付けた熊野古道歩きは、中辺路、伊勢路、小辺路、そして今回の紀伊路、大辺路ときて紀伊半島が一本の線で繋がったが、ホーロー探検についていえば結果は厳しいものだった。
2020年代も四半世紀が過ぎ新たなフェーズに入った今、偶然の出会いに期待するホーロー探検はもう終わったのかもしれない。
絶滅危惧種のホーロー看板であるが、町の片隅でまだ密かに生き残っていくのを願ってやまない。
(2026.1.25記)
※画像上/和歌山県に入って久しぶりに出会ったアースのペア看板。熊野古道と筆書きされた提灯が揺れていた。12月5日
※画像中/伯母子岳から下山し小辺路が通る三浦集落を歩く。すでに空き家になった家屋がいくつもあった。12月6日
※画像中/紀伊路が通る和歌山市の中村王子付近。冬枯れの田園風景が広がった。12月4日
※画像中/空き家が目立つ湯浅町の町並み。12月5日
※画像中/西御坊駅前を通り、朝日に輝く日高川に架かる天田橋を渡った。12月7日
※画像下/ゴジラの背中のような橋杭岩。12月11日

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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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