ホーローの旅
レポート43 静岡→山梨ひとり旅③ 長野へ
2005.6.26
山梨県甲州市~山梨市~韮崎市~北杜市~長野県富士見町~諏訪市~辰野町~簔輪町
往復1000キロのひとり旅も3日目に入った。早朝、奥多摩のキャンプ場を出発。往路と同じ甲州市(旧塩山市)までの山道を戻る。
甲州市からは甲州街道沿いに山梨市、甲府市を経由して長野県に入ることにする。 情報によると山梨県は群馬県と並んで琺瑯看板が多く残っている県らしい。
しかし、ここまでは自分にとって土地鑑がないこともあり、成果が出せない難しい探検となっている。
これから辿る旧甲州街道は大いに期待できるだけに、レアモノ発掘を目指しての探検である。果たして珍品発見はなるか?
交通量の多い国道から脇道に入ると、ぽつりぽつりと旧甲州街道のそれらしき集落が出てくる。白洲町台ヶ原宿は江戸時代の面影を残す宿場町だが、それ以外の集落は新しく家が建て替えられ、わずかに潜んでいる琺瑯君を探し出すのも難しい状況である。
期待していた石和温泉町や甲府市、茅野市は撃沈状態。20年以上前山登りで何度も訪れたこれらの駅前も昔の面影はまったく無く、近代的に生まれ変わっていた。
甲府駅前では蚊に刺されながら寝袋にくるまって南アルプスに入る朝一番のバスを待っていたことが懐かしい。
しかし、収穫もあった。オオタマサオ著『琺瑯看板』に載っている「スキン」「たばこ」の看板をゲットできた。特に白抜きのたばこ看板とピースと光がデザインされた看板はポイントが高い。
辰野町では前回、伊那市で遭遇した「かっぱの酒岸の松」の醸造元を偶然見つけた。 すぐ近くにある販売店で看板の写真を撮っていると、中からおばあさんが出てきて、河童をデザインに使った謂れを教えていただいた。その上、缶コーヒーまでごちそうになった。こうした何気ないふれあいも琺瑯探検の醍醐味であると実感。
自宅を出て、静岡、山梨、長野と巡ったひとり旅だったが、車を運転していることも忘れ、のんびりといろんな風景を楽しみながら走った。
伊那谷については、時を開けずに三度も訪れたわけだが、すっかり残雪が消え夏山らしくなった中央アルプスや南アルプスを眺めていると、2月から始めた琺瑯探検のひとつひとつが思い出された。まだまだ僕の琺瑯の旅は続きそうだ。(おわり)
(2005.7.5記)
※画像上/諏訪湖畔を走る