ホーローの旅
レポート58 京都市内チャリンコ探検
2005.9.18-19
京都府京都市
普段なら絶対にやりたくない社員旅行の幹事だが、今年は率先して買って出た。その理由は、…以前から気になっていた、京都市内で琺瑯看板を探すという目的のため…これに尽きる。
社員旅行を京都にし、旅費や宿泊費を浮かせようという、せこい魂胆である。
その上、僕が考えたプランは、なんと[現地集合現地解散]。
総勢50名の参加者それぞれが9月18日の夜に京都駅前のホテルに集合し、そのまま宴会、翌朝に解散するという、独りで行動するにはもってこいのプランなのだ。
事前のアンケートでもこの企画は好評だったようで、特に女性社員たちは、束縛されずにあちこち回れると、喜んでいた。
さて、幹事の僕はといえば、18日の宴会を仕切れば役目は終わりということで、二日間にわたって目一杯市内を探検する計画を立てた。 今回の探検では、路地の奥深くまで潜入するために自転車で回ることに決め、ネットで事前にレンタサイクルを二日分予約した(2000円)。
荷物は着替えと地図を入れたディパックのみ。10時着の「のぞみ」で京都入りし、駅前で予約していた自転車を借りて、まずは下京区の探検からスタートした。
5分も走ると、大通りを挟んで狭い路地がいくつも出てきた。時代を感じさせる町家が並び、いきなり昭和初期にタイムスリップする。戦災で焼けなかった京都は、昭和初期どころか、築100年を超える町家がいくつも残っている。
お宝は町家の板壁にさりげなく貼られているはずだが、そんなに簡単に見つかるはずもなく、適当に路地を走っても一枚も見つけることができない。 碁盤の目のように仕切られた京都の町は、いかにもお宝が潜んでいそうな路地が次々に出てくるも、空振りの状態が続く。しかし、戦前に貼られたいという仁丹の町名看板はそかこしこの辻にあり、保存状態がいいものを選んで撮影していく。
レアモノのお宝が鈴なりにあるというイメージだったが、仁丹町名看板以外ほとんど収穫がないまま2時間が経過し、セブンイレブンで買った昼食のざるそばとシュークリーム(変な取り合わせ・笑)を食べながら計画を練り直すことにした。
今回の探検に際して、市内のお宝情報は投稿者のモリソンさんや他サイトから入手しており、まずはそれらのお宝を撮影することを最優先にし、その過程で適当に路地を走って採集していくスタイルに変えた。
下京区、中京区、上京区と、とにかく走る。二条城から北野天満宮までの西陣は京都らしさを感じるエリアだ。車一台がぎりぎりのような路地に、お宝が忘れ去られたように貼ってあったりする。
北野天満宮は5月の探検に続いて二度目だったが、今回は更に路地の奥まで潜入するも、残念ながら収穫はなかった。
御所を横目に百万遍通りから京都大学を経由して東山区に入る。あるサイトで情報を得た百万遍の看板酒屋も見つけることができずに空振り、東山区にあるという「美空ひばりの金鳥」も×。
すでに午後4時をまわり、シャツは汗びっしょり、尻の皮もめくれ始めている(笑)。こんなに長い距離と長時間自転車を漕いだのは久しぶりだ。あまりの尻の痛さに、人目を気にしながらサドルから半分尻を浮かせた変な格好で漕いできた(笑)。
京都タワーが見え、人で溢れかえっている祇園を過ぎたあたりで完全にバテてしまった。ここに来るまでにも何件も見かけたのだが、ちょうどいい具合に銭湯があり、休憩がてら一風呂浴びる。
銭湯から出たらすでに京都の町は夕日に包まれていた。ホテルはすぐに見つかり、今日の相棒だった自転車を入口の駐輪場に止めて、一日目が終わった。
二日目。8時の朝食のあと、思い思いのプランに出かける総勢50名を送り出し、今日も相棒にまたがる。
昨夜は飲みすきだせいで、走り出して10分もしないうちにアルコール臭い汗が噴出してきた(笑)。
お尻のほうは少し痛みが和らいでいる。コースは伏見区を探検して、京都駅に戻るというもの。ざっとみて約20キロだ。
炎天下のなか、伏見街道をお宝の姿を求めてひたすら走る。しかし、お宝は見つからない。伏見区の酒の醸造元や坂本竜馬遭難の地で有名な寺田屋(写真)を見学し、路地から路地を探していく。伏見区の町名看板には「仁丹」以外にも「メンソレータム」もあった。
寺田屋を折り返し地点とし、京都駅方面に戻りながら探検をしていく。昨日と違い、町家や古い建物は少なく、お宝も見つからなかったが、京都駅のガードが見え始め、適当に入った路地で、古い酒屋の壁に貼られていた「ツバメソース」と「蛇ノ目ソース」の連貼りを見つけたのはラッキーだった。
午後2時、京都駅に着き、名残惜しいが二日間僕の足になってくれた相棒と分かれた。 残暑が厳しい中での自転車の旅だったが、有名な寺院や観光地に寄ることもなく、狭い路地や町家の景色を求めてのんびりと走った。
お祭りの風景に出合ったり、古くからの商店や銭湯など意外な発見もした。看板探しのほうは収穫は少なかったが、その代わりに、ほんの少しであるが、京都の下町情緒に触れることができた旅に仕上がったようだ。
(2005.9.30記)