琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート71 ポカポカ陽気に誘われて、西三河探検

2006.1.15
愛知県大府市~東浦町~半田市~碧南市~西尾市


探検レポート71

冷蔵庫の中にいるような寒さと、一晩中降り続いた雨がようやく上がり、うれしいことに一転してポカポカ陽気になった
。副隊長のあんもんに電話すると、用事があって出動できないと言う。久しぶりに単独の探検となったが、日帰りの気安さもあり、のんびりと南に向かうことにした。
東海伊勢湾岸道を豊明インターで下り、国道を避けて車のすれ違いにも苦労するような旧道に入った。稲妻状に曲がった道で、すぐに肥料看板をゲット。お宝は初遭遇の看板だった。幸先がいいスタートである。
最初の目的地は大府市。巨峰の栽培が盛んな町だが、古い町並みはほとんどなく、名古屋のベッドタウン化が進んでいる。
JR大府駅前の有料駐車場に車を置き、折りたたみ自転車を組み立て出発。ぱっとしない商店街には年季が入った雑貨屋やタバコ屋もあり、店内まで覗きながら琺瑯看板の姿を探すがなかなか見つからない。
駅の周辺を走り回ること1時間、ようやくセメントとオロナイン軟膏をゲット。少ない収穫をあきらめきれずに東海道本線沿いに共和駅まで行ってみるが、こちらも思った以上に開発が進んでおり、お宝はまったくなかった。
気分を一新して碧南市方面に向かう。東浦町では国道に沿った旧道で、肥料や酒看板を見つけた。更に半田市をかすめて、高浜市から碧南市へ。 碧南市を琺瑯探検で訪れるのは2度目だが、前回はほとんど素通り状態だったこともあり、今回は時間をかけて回ってみる。
県道から外れた路地や醤油醸造元をチェックしていく。海が近いこともあって、1月だというのに、陽の強さを感じる町だ(単に紫外線が強いだけかもしれないが・笑)。
運河に面したセブンイレブンの駐車場でおにぎりを頬張りながら、ゆっくりと流れていく運搬船を眺めた。
なぜだか分からないが、三島由紀夫の名作「午後の曳航」が頭に浮かんだ。カッコつけるわけじゃないが、何気なく眺めた風景に、小説のタイトルや映画の場面が浮かんでくることがあるのだ。

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たとえば、京都北山の杉林を見れば、川端康成の「古都」→山口百恵の同名映画で、双子の姉妹が北山杉の林で雷雨に打たれている場面とか(笑)…。
書いてる僕も照れてしまうが、こうした経験は意外に多い。秋葉原に行ったら、それこそ「電車男」→エルメス→中谷美紀じゃなくて(笑)、伊東美咲となるのだろうか(笑)。
さて、碧南でのそんな午後、古びた集会所のような建物に貼られた、ナショナル自転車の看板を見つけた。路地の死角になるような場所にあったにも関わらず発見できたのは、看板探しのコツが少しづつ戻ってきているからだろうか。
碧南市から高浜市経由で西尾市に向かう。本町にある市営駐車場に車を置き、さっそく自転車作戦開始。投稿者のるっちさんに教えていただいたレアモノ看板を掲げた八百屋を目指すが、日曜日とあってシャッターが下りているのか、それとも取り壊されてしまったのか、結局見つけることができなかった。
しかし、その代わりと言っていいのか、ボンカレーやソース、酢の看板を見つけることがでた。「マルキ酢」は、愛知県岡崎市の川上酢店の醸造であり、HPで調べてみたら、大正時代創業の老舗ブランドであった。
また、西尾市は味噌の醸造も盛んのようで、市内の中心部に「はと屋醸造」という老舗があり、社屋の玄関には大きな樽桶が展示してあった。
少し汗ばむ陽気が嗅覚を敏感にさせたのか、風に乗って漂ってくる大豆の甘い香りが心地よかった。
(2006.1.25記)
※画像下/東浦町の野村酒造の建物。2008年に廃業し、2010年に取り壊されてしまった



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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SINCE 2005.3.17