琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート74 初めての輪行探検、東海道本線に沿って

2006.2.4
愛知県稲沢市~清洲市~名古屋市


探検レポート74

自転車を折りたたみ、専用の袋(輪行袋)に入れて交通機関に乗ることを、サイクリング用語で「輪行(りんごう)」という。
学生時代から社会人になってしばらくは、こうした方法で全国を旅した。あの頃はツーリング専用の「ランドナー」という27インチのドロップハンドルの自転車を使っていた。
軽合金の車体の重さ約9キロ、指先でも車体を持ち上げることができる自慢のマシンだった。
しかし、今回のホーロー探検はそうはいかない。ディスカウントショップで7800円で買った折りたたみ自転車が相棒なのだ。
16インチで重さは何と14キロ。折りたたんで袋に入れるにも四苦八苦する“鉄の塊”である。
その“鉄の塊”を運ぶには、自宅を出てからすでに試練が始まっていた。カミさんの車で駅のロータリーまで送ってもらい、自転車を降ろしたことはいいが、ずしりと肩に食い込むかさばった袋を持つと、真冬だというのに、すでに汗がびっしょり。
自動改札を通るにもひと苦労、階段を登って降りたホームまでがつらいのなんの…(笑)。
更に、やってきた快速電車は土曜日だというのに超満員で、怪しい巨大な袋に入った“鉄の塊”を持った僕は、迷惑を顧みず、もはや開き直るしかなかった。
JR中央線から名古屋駅経由で東海道本線に。隣のホームまでの階段がたまらなくつらく、在来線はエレベーターもないから始末が悪い。
ようやく本日の起点となる稲沢駅で下車した。この駅にはラッキーなことに、改札を出るとエレベーターがあった。 駅前で16インチを組み立てる。こうして、自宅を出てから2時間、“鉄の塊”はようやく自転車に変身した。

探検レポート74

今回の探検は、稲沢~清洲駅間の電車の車窓から確認していた看板を撮影することが目的である。線路に沿って走りながら、地図に記したポイントに向かう。
看板屋敷ひとつと、学生服の看板ふたつを発見。そのどれもが道がないために、JRのフェンスをまたぎ、線路際で撮影した。さすがに東海道本線だけあって、電車がひっきりなしに背後を物凄いスピードで抜けていく。物好きじゃないと、こんなことはできない(笑)。
清洲からは古い町並みを選んで、看板を探しながら走った。西枇杷島町まで来ると名古屋駅も近いが、昼メシも食べずにすでに3時間ペダルを漕いでいる。しかも変速機もない16インチである。そろそろお尻の皮もめくれ始めているに違いない。
悲惨だった京都チャリンコ探検(レポート58)の再現を思い浮かべて、(股ズレとお尻の被害を最小限にしなくちゃいかんなぁ)とぼんやりと考えながら走った。
コンピニおにぎりを頬張りながら、人でごった返す喧騒の名古屋駅に着くと、“鉄の塊”を担いでの階段の上り下りが瞬時によみがえった。しかも、目指すホームまでは遠い。
しばらく思案して、おもちゃや駄菓子の問屋街がある西区明道町経由で、JR千種駅に向かうことにし、最後の力を振り絞ってペダルを漕いだ。 途中、トリノオリンピック出場のフィギアスケートの安藤美姫選手を応援する横断幕がかかるレストランの前を通ったが、「ガンバレ、ミキティ!」じゃなくて、思わず、「ガンバレ、つちのこ!」と言って欲しいわ!と悪態をつきながら、気になりだしたお尻の痛みに顔をゆがめて、ノロノロと駅に向かう坂道を登った。
(2006.2.14記)
※画像上/輪行袋から出した状態の14キロの折りたたみ自転車。駅の階段の上り下りは、泣けてくるような重さに感じる。



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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