琺瑯看板探検隊が行く

ホーローの旅

レポート76 大量ゲット! 春まだ浅い紀州街道を行く【前編】

2006.2.18
京都府木津川市~和束町~木津川市~大阪府東大阪市~岸和田市~泉佐野市~泉南市


探検レポート76

待ちに待った和歌山への旅である。
ニヤニヤしながら何度も地図を眺め、着替えやカメラを入れたディパックを枕元に置いた。その上、興奮して眠れないとなると、遠足に行く子供そのものである(笑)。
40歳を過ぎたおっさんを夢中にさせるものが琺瑯探検にはあ・る・の・か。
果たして、「ある」と答えたい。…琺瑯探検は“現代の宝探しゲーム”なのである。嘘だと思うなら、一度チャレンジしてみることをおススメする(笑)。
いつものように近鉄富田駅で副隊長のあんもんと合流する。ここにもひとり、琺瑯探検に夢中になっているおっさんがいる。久しぶりの泊まりの探検とあって、彼もうきうきしている。持つべきものは友なのだ。
東名阪を伊賀上野に向かう。今回の探検のスタートは京都府加茂町からだ。実は、これにはちょっとした訳がある。
1月29日の探検で、加茂町に立ち寄ったおり、鍵がかかっている商店の店内に看板を見つけた。家畜のくすりと「三筋豆炭」の看板だったが、困ったことに「三筋豆炭」はガラスごしでは反射してうまく写せなかった。再訪して今度は店が開いているときに行こうと、あんもんと約束したのだ。
しかし、実際に店の前に立ってみると愕然としてしまった。「1月31日をもって閉店いたしました」というハリガミが無常にも貼ってあるではないか。
これでは開いた口がふさがらない!またしてもガラスごしの対面となってしまった。 悔しい思いを胸に、のどかな田園風景が続く和束町に向かう。
狙いはあるサイトで見た「イズミイチ醤油」と「ミヅホ酢」のツーショットだが、せっかくターゲットを見つけるも、残念ながらイズミイチは剥がされていた。
この醤油は地場メーカーのものなので、大阪方面で対面する可能性もあるだろうが、それにしても悔しい。本日二度目のがっかりだった。
しかし、がっかりは長く続かず、南下する道すがら私たち探検隊に最高のパフォーマンスを用意してくれていた。

探検レポート76

なんと、水原・由美のアース5枚貼りを見つけたのだ。よくぞ残っていたと、エールを贈りたい。
更にすぐ近くにはまたもツーショットが…。田舎のバス停を背景に見事に調和してなじんでいた。これぞ日本の正しい田舎である。
京都府を後に今度は大阪府に入る。今回の探検は、大阪府から紀州街道に沿って和歌山県に行こうという計画である。
東大阪市では前回の探検で逃した「おかめローソク」を無事ゲットした。この看板は、当サイトと相互リンクしている「サムの趣味のお部屋」のサムさんから、「美空ひばりの金鳥」とともにご教示いただいたが、前回見つけることができなかったものだ。
その後、サムさんから何度もメールで情報をいただき、ようやくゲットできたというシロモノだ。それだけに見つけたときの喜びは半端ではなく、思わず頬ずりしたくなるくらいだった(笑)。
だんじり祭りで有名な岸和田市からは、紀州街道に寄り道しながら、JR阪和線に沿ってひたすら南下を続ける。
中でも圧巻だったのは、岸和田市の酒屋。店の入口に整然とレアもの看板が貼られている。酒、ソース、酢、ワインなど、どれも初見ものばかりだ。
撮影許可を貰うため、薄暗い店内に入ると、そこには一杯飲み屋のスペースがあり、スルメを咥えた白髪頭や、すでに出来上がっている、ねじり鉢巻のオヤジたちが振り向いた。
「どや、にいちゃんも一杯やっか!?」 まだ昼下がりだというのに、このオヤジたちはごきげんである(笑)。
どうやらこの店はホーローマニアにとっては有名なようで、店主に話をすると、気さくにOKをくれた。だんじりの山車がホーロー看板を貼ったこの店の前を疾走する姿を想像するのも悪くない。

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泉佐野市では、何気なく覗いた駄菓子屋が凄かった。外見はごくふつうの菓子店だが、店内は昭和30年代そのままのつくり。80歳を超える老夫婦が店番をしていた。
懐かしい駄菓子屋そのままで、壁にはなんと幻の「森永キャラメル」看板が貼ってあるではないか。
駄菓子が入った缶も半端ではない。店主と長話になってしまったが、この店は明治の末頃に開業して、終戦後の昭和23年から店内のレイアウトは変わってないらしい。いまだにヤラセでもないこうした店があるとは驚きだった。
夕刻が近づき、阪和線に沿って更に南下を続ける。和歌山県の湯浅まで仕事で何度も訪れていることもあり、線路沿いの看板のあり場所はチェックしている。
しかし、車で探すのと車窓から見るのとはかなりのギャップがあり、ほとんど見つけることが出来なかった。
収穫といえば、泉南市の看板屋敷だろうか。これは車窓から確認していたが、実際にその前に立って見ると、インパクトがある屋敷だった。
何よりも「ブラックニッカ」が素晴らしく、「月虎かとりせんこう」もよく目立っていた。
和歌山県に突入する手前で夕食をとることにした。有名な和歌山ラーメンの誘惑に負けそうだったが、時間の余裕がなく、ラーメンが讃岐うどんに代わってしまった。
宿泊は和歌山県湯浅にある、私の会社の保養所にした。泉南市から吉備インターまで高速を乗り継ぎ、汐の香りが漂う湯浅に着いた時は、すでにどっぷりと日が暮れていた。
朝からあくせくと回ったが、久しぶりの大量収穫に満足の一日だった。(つづく)
(2006.2.27記)
※画像上/紀勢本線沿いにある強烈な看板屋敷。これだけ貼られていてもホーロー看板は4枚しかない。
※画像下/泉佐野市の駄菓子屋。壁に貼られた「森永キャラメル」の看板がレア。まるで時間が止まってしまったような商店だ。



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Profile

つちのこプロフィール
つちのこ
岐阜県在住。
歩き旅とB級グルメの食べ歩きが好きな定年オヤジです。 晴耕雨読ならぬ“晴読雨読”生活に突入し、のんびりとした日々を送っています。
2020年には、少年のころからの夢だった、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断。
旅の様子はブログ『つちのこ更新日記』で発信中です。


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