酒蔵と看板
奥越の酒蔵(5)
真名鶴酒造(資)
■福井県大野市明倫町11-3
■代表銘柄/真名鶴・福一・奏雨・時の大河・恋石
■看板/高級淸酒 真名鶴 福井縣大野市 大野酒造合資會社
1751年(宝暦元年)創業。「神が酒造りのために創られた地」と云われるほど素晴らしい土地、大野を代表する蔵元。大野市は酒造好適米「五百万石」の特産地でもあり、名水百選「御清水(おしょうず)」の清烈な水と
雪深く厳寒な気候とも相まって酒造りの好適地と言われている。現在4つの蔵が残っている。蔵元・杜氏は泉恵介氏。
「真名鶴」の看板は大野市内の酒屋「竹内酒店」にて発見。旧社名の大野酒造となっている。(2006.4.19訪問/2009.6.27再訪)
㈱宇野酒造場
■大野市本町3-4-6
■代表銘柄/一乃の谷・大吟醸薫・月下美人・仁兵衛・暁
■看板/淸酒 一乃谷 宇野吟醸
1620年(元和20年)創業。400年近くの歴史を持つ福井県屈指の老舗酒蔵。「一乃谷」の酒名は、屋号の麦屋をかけて、京都の俳人が「麦屋の酒は一乃谷、熊谷で飲めばいつも義経」にちなんでいる。
大吟醸造りに力を入れ、山田錦の65%を捨てる精米法を福井県内で初めて導入。その後、「旨い酒造りは山田錦35%」が定説になったと言われている。
看板は酒蔵の壁にずらりと掛かっている。また、大野市内の竹内酒店にも残っている。(2005.6.18/2006.4.19訪問/2009.6.27再訪)
(有)南部酒造場
■福井県大野市元町6-10
■代表銘柄/花垣・七右衛門・米しずく・亀の尾・うすにごり
■看板/高級淸酒 花垣 ハナガキ 南部醸
創業は享保18年だが、もともとは茶の木屋という大野藩の御用商人、金物を取り扱う大店だった。酒蔵は1901年(明治34年)創業。
銘柄の「花垣」は謡曲「花筐」から。日本百名水に指定されている地下伏流水と酒米の五百万石より酒造を行っている。
看板は蔵元にはないが、大野市内の竹内酒店に掛かっていた。(2005.6.18/2006.4.19訪問/2009.6.27再訪)
源平酒造㈱
■福井県大野市要町1-33
■代表銘柄/源平・萬寿恵・華明り・玲瓏・茜
■看板/酒王 源平 ゲンペイ 源平酒造醸 1673年(延宝元年)創業。元は漢方薬も営んでいたが、江戸時代後期に酒造業に専念した。江戸時代は藩御用達酒・万寿屋の酒として出されていたが、大正初期の登録商標制度で新銘柄を「源平」と改名。山田錦、五百万石を酒米に淡麗、やや辛口タイプの酒を造っている。
看板は蔵元にはなく、大野市内の竹内酒店の自販機の陰で発見。(2005.6.18/2006.4.19訪問/2009.6.27再訪)
佐々木酒造㈱
■1995年廃業
■勝山市本町4-5-2
■代表銘柄/宇治川
■看板①/全国優等賞受賞 高級清酒 宇治川 田野屋醸 ②/清酒 宇治川
創業年代不明。すでに廃業して15年以上経過しているが、蔵元は勝山市の目抜き通りにそのままの状態で残っている。
看板は短冊形と丸型タイプを発見している。(2009.6.27訪問)
嶺北の酒蔵(10)
岡田酒造場
■廃業年不明
■あわら市吉崎1丁目819
■代表銘柄/立鶴
■看板/清酒 立鶴 タチヅル 吉崎 岡田酒造醸
酒造を廃業してかなり経つようだが、家主に聞いても分からなかった。現在は岡田酒店という酒屋を営んでいる。
看板は店内に2枚掛かっていた。(2009.6.27訪問)
美川酒造場㈱
■福井市小稲津町36-15
■代表銘柄/舞美人・舞妓・白の舞・ピッカ一・火不入(ひいらず)
■看板/優等清酒 舞美人 マイビジン 美川吟醸
1887年(明治20年)創業。代表銘柄「舞美人」の命名由来は福井藩主が小稲津の地で狩りをされた時、村一番の美人が舞を献上したことより「舞美人」と命名。
越前平野ののどかな田んぼに囲まれた地に建っている蔵である。 看板は蔵元に3枚貼られている。(2007.2.24訪問)
越前酒造(有)
■福井県あわら市北5-86
■代表銘柄/越乃泉 1806年(文化3年)創業。福井県酒造組合には名簿がないが、杉玉が下がっているところをみると、酒造はしているのだろう。
土蔵造りの蔵が歴史を感じる景観だった。(2009.6.27訪問)
久保田酒造場(資)
■坂井市丸岡町山久保27-45
■代表銘柄/富久駒・駒ヶ瀬屋・杜氏一献・ 丸岡城・一筆啓上・蔵の宿・鬼作左
1754年(宝暦3年)創業。丸岡城主・有馬 允純(ますずみ)の命により現在地で庄屋をしていた久保田喜兵衛が創業。
「富久駒」命名の由来は、創業者の子々孫々富み栄える様にとの願いを込めて、福[富久]を見返りつつ駆ける馬[駒]の姿・富久駒としたことによる。
あいにくの休業日とあって、酒蔵の中には入れなかった。看板の有無は不明。(2009.6.27訪問)
力泉酒造(有)
■福井市島山梨子町20-10
■代表銘柄/越前行きのまち・明乃鶴・越の鶴海・福井藩
明治中期に創業、現在は四代目。当初「七瀬川」の銘柄で販売、後に「明乃鶴」に改名し現在に至っている。 少々入り組んだ場所にあり、わかり難い。
看板はないようだ。直売店あり。(2009.6.27訪問)
伊藤酒造(資)
■福井市江上町44-65
■代表銘柄/越の鷹・粋星・大安寺鬼ごろし・しぼりたて
1894年(明治27年)創業。明治37年河舟による交通運送の便を求め福井市高屋に転出。明治44年水力の利用を求め現在地に移転。福井大震災により全壊。
昭和29年に法人伊藤酒造合資会社となる。五百万石をはじめ、県米産を原料にした酒を造っている。田んぼの中にぽつんと建つ蔵である。看板の有無は不明。(2009.6.27訪問)
田辺酒造(有)
■吉田郡永平寺町松岡芝原2丁目24
■代表銘柄/越前岬・優勝・越前菊水
1908年(明治41年)創業。古い町並みが残る永平寺町松岡にある蔵。松岡は「清流の町」と知られ、福井平野の米どころと言われている。
酒造りは米選びから基本とする蔵では酒造好適米を丹精に磨き、清澄な白山伏流水を仕込み水に南部杜氏、鷹木美芳氏が酒造している。
残念ながら蔵には看板は残っていない。しかし、えちぜん鉄道松岡駅から蔵がある芝原地区は古い町並みが残っており、一見の価値がある。(2007.2.24訪問/2009.6.27再訪)
黒瀧酒造㈱
■吉田郡永平寺町松岡春日1丁目38
■代表銘柄/黒龍・九頭龍・石田屋・二左衛門・しずく・龍・八十八号
1800年(寛政12年)創業。酒名は九頭竜川の源名、黒竜川にちなんでいる。兵庫の山田錦、五百万石でしこみ、昭和50年から吟醸酒を中心に造っている。
建物も古く立派な蔵であるが、残念ながら看板は残っていない。(2007.2.24訪問/2009.6.27再訪)
青木蘭麝堂
■福井県福井市脇三ヶ町25-19
■代表銘柄/蘭麝酒
■看板①/滋養強壮美味芳醇 商標本家 蘭麝酒 ランジャシュ 福井市脇三ヶ町 青木蘭麝堂(大) ②/滋養強壮美味芳醇 商標本家 蘭麝酒 ランジャシュ 福井市脇三ヶ町 青木蘭麝堂(大) ③/商標
高級滋養 ランジャ酒 福井県足羽郡東郷 青木蘭麝堂勤製(短冊)
戦国朝倉氏から伝わる一子相伝の健康酒「蘭麝酒(らんじゃしゅ)」を醸造販売している四百余年の歴史を誇る老舗。
ホームページを見ると、明治から昭和初期までの広告宣伝の変遷が紹介されており、積極的に拡販を行っていたことが伺える。
看板は蔵元に3種類が貼られている。また、福井市内の薬局でも発見した。福井市博物館にも収蔵されている。(2007.2.24訪問)
丹南の酒蔵(3)
(資)北善商店
■南条郡南越前町今庄81-3
■代表銘柄/聖乃御代・北陸街道今庄宿・吟吹雪・ゆきの酒蔵・一番蔵出し
1682年(天和2年)創業。現在の酒名「聖乃御代」は戦後、「平和の時代」の意味で京都の高僧が命名。北陸路の最後の宿場として栄えた江戸時代、初期に庄屋を営むかたわら旅人にお酒を売っていたのが始まりで宿場町と共に歩んで来た酒蔵。
自社の山林から引いた水で吟醸酒造りを行っている。看板はない。(2005.3.27訪問/2005.11.29/2009.10.18再訪)
(資)白駒酒造
■南条郡南越前町今庄82-24
■代表銘柄/白駒・夜叉龍
1806年(文化3年)創業。今庄宿の中心に位置する蔵。JR北陸本線の今庄駅からも「白駒」と大書きされた蔵の看板を見ることができる。
珪石の岩肌からにじみ出て来た良質の水にこだわった酒造りを行い、冬の凛とした寒さの酒蔵で昔ながらの手づくり酒醸法で深いコクときめ細かい味わいを持たせた酒は創業以来受け継がれている。看板の有無は不明。 (2005.3.27訪問/2005.11.29/2009.10.18再訪)
堀口酒造(有)
■南条郡南越前町今庄76-1-2
■代表銘柄/鳴り瓢・瓢酔匠 1806年(文化3年)創業。江戸末期の国文学者橘暁覧(たちばなあけみ)の歌「とくとくと たりくる酒の 鳴り瓢 うれしき音を さするものかな」より命名。看板の有無は不明。
今庄宿は北陸道と北国道、両街道の交差する宿場町で、狭い街道沿いに4軒の酒蔵があるが、畠山酒造は未訪問である。町並みの雰囲気も素晴らしく、観光客が少ないのもまた良い。
(2005.3.27訪問/2005.11.29/2009.10.18再訪)
嶺南の酒蔵(5)
敦賀酒造(有)
■敦賀市相生町21-10
■代表銘柄/福寿杯
1624年(寛永元年)創業。敦賀市街地の古い町並みも随所に残った閑静な住宅街にある。あいにく休みであったが、湧き水と杉玉、そして社名が記された木製の看板がなければ酒蔵と分からなかった。
看板の有無は不明。次回再訪して調査したい。 (2009.10.18訪問)
鳥浜酒造㈱
■三方上中郡若狭町鳥浜59-30
■代表銘柄/加茂榮 ■看板①/優等清酒 加茂榮 カモサカエ 鳥濱酒造(大) ②/清酒 加茂榮 鳥濱酒造(小)
1920年(大正9年)創業。三方鳥浜の地で、「我らの酒をつくろう」と男たちが集い、地元住民50人が株主となって蔵が生まれた。地元の甘口志向に応えて、頑固なまでの甘口の酒を造っている。
琺瑯看板は2種類を見つけている。三方町では電柱に貼られた看板も残っている。蔵元の売店にも1枚が保存されている。 (2010.11.7訪問)
㈱小浜酒造
■旧わかさ富士(2017年廃業)
■小浜市木崎13-7
■代表銘柄/わかさ・熊川宿・若狭街道・まごころ・おやじ・御食国・ささにごり
■看板/清酒 わかさ富士 わかさ
1862年(文久29年)創業。熊川宿で運輸、両替、呉服商を営んでいた祖先が酒屋株を購入したのが創業であると伝えられている。酒名の「わかさ」は、“若狭”と“若さ”からとったもの。酒は口あたりの柔らかさと上品なうまみが特長。蔵は近代的な建物になっている。
看板の吉岡酒造場、若君酒造は(株)わかさ冨士に譲渡。同社は2017年廃業。新設会社㈱小浜酒造へ事業譲渡。
看板は1種類、小浜市周辺の3ヶ所で発見した。 (2010.11.7訪問)
浜小町酒造㈱
■廃業年不明
■小浜市駅前町6-35
■代表銘柄/濱小町・うり割りの酒
■看板/清酒 濱小町 Hamakomaci
平成12年度の全国新酒鑑評会で入賞をしているところをみると、廃業はそれ以後か。小浜駅前にあった蔵の跡地は、臨時駐車場などに使われている。
看板は1種類、小浜市周辺の2ヶ所で発見。女性受けする斬新なデザインである。 (2010.11.7訪問)
三宅彦右衛門酒造(有)
■三方郡美浜町早瀬21-7
■代表銘柄/早瀬浦
1718年(享保3年)創業。以前は「三宅酒造場」と呼ばれ、銘柄「澤の井」を造っていたが、現在は「早瀬浦」のみ。石高は300石、現在の蔵元は12代目である。蔵は三方五湖に近い若狭湾に面した小さな集落の中に建っている。
社名看板が出ていないので分からなかったが、蔵は映画「夜叉」のロケでも使われた歴史を感じる概観。看板の有無は不明。 (2010.11.7訪問)